立憲民主党は2023年4月11日に開いた常任幹事会で、衆院憲法審査会をめぐる「サル」「蛮族」発言が問題になっていた小西洋之参院議員について、党規約で定める「幹事長による注意」にすることを決めた。
常任幹事会後に記者会見した岡田克也幹事長によると、小西氏への聞き取りを踏まえた上で、一連の行動は党規約の第48条で禁じる「政治倫理に反する行為、党の名誉及び信頼を傷つける行為」にあたると判断された。岡田氏は、小西氏の行動について大きく3つの問題を指摘。小西氏は処分を受けたことについて陳謝したものの、3つの論点のうち一つにしか反応しておらず、残りの論点への対応が注目される。
「サル発言」は「オフレコだと認識していたとしても明らかに不適切」
1点目が、問題の発言が出た場がオフレコだったか否かだ。小西氏は、「オフレコでも発言しない方がいいかもしれません」と発言したことをオフレコの根拠として挙げたというが、「『毎週開催』って書かないで」と、オンが前提と受け取れる発言もあったという。こういった点を踏まえて、岡田氏は「全体を見た時に記者からオンと認識されてもやむを得ないやり取りだった」と判断した。
2点目が、「サル発言」そのものについてだ。岡田氏によると「オフレコだと認識していたとしても明らかに不適切」。小西氏は、直後に発言を取り消したにもかかわらず発言が報じられたことを批判してきた。小西氏は「サルって言ったら差別発言になるのかな?」と発言したとされているが、岡田氏は
「もしこの表現であったとすると、明確に取り消したとまでは言えないと指摘されてもやむを得ない」
と小西氏の主張を退けた。
3つ目が、発言が報じられた後のツイートや記者会見での発言だ。ツイートではNHKとフジテレビは放送法違反の偏向報道を行っているとして「放送法などあらゆる手段を講じて、その報道姿勢の改善を求めたい」と主張したほか、記者会見では
「こういう報道のあり方が…報道というよりは、残念ながらちょっと言葉は控えた方がいいかもしれないが、法的に問題のある表現行為があったのではないかというふうに、今顧問弁護士とも相談をしている」
とも発言。自らの発言をめぐる報道が違法だとして提訴の可能性を模索していることも明らかにしていた。
岡田氏は、こういった行動について
「不適切な表現で記事の訂正の要求を行うなど攻撃的で誤解を招きかねない、慎重さを欠いたものがあった。この結果、ブリーフ(ィング)における発言について本当に反省しているのか、かえって疑念を持たせることになった」
と説明した。
立憲の規約では、国会議員や国会議員経験者が規約に違反した場合の「執行上の措置」として「幹事長による注意」「常任幹事会による厳重注意」「党の役職の解任又は一定期間内の停止」「公職の辞職勧告」の4つを定めており、今回の小西氏への対応は、最も軽い「幹事長による注意」にあたる。岡田氏はこの処分を選択した理由を「私の総合判断」「私としては適切だというふうに考えた」とした。
小西氏は4月11日夕方、次のようにツイート。問題視された3つの論点のうち、2番目にのみ反応した。
「本日の党幹事長からの注意措置を重く受け止め、深い反省の基に努めて参ります。衆議院の憲法審査会の毎週開催に関する『憲法のことなんか考えないサルがやること』、『蛮族の行為』などの失礼かつ不適切な発言について、改めて、衆院憲法審査会の先生方を始めとする皆様に深くお詫びを申し上げます」
4月11日は、衆院千葉5区、和歌山1区、山口2区、4区の4補欠選挙の告示日でもある。立憲としては、この日までに一定の方向性を示す狙いもあったとみられる。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)