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はじめに
はげます会では毎週金曜に、会員限定のメルマガを配信しています。限定コンテンツのコラムで「行ってよかった市区町村」をライターに紹介してもらいます。今回はパリッコさんからのイチ推しの場所です。
なんだか妙に波長が合う街、埼玉県入間市
(パリッコ)
3年ほど前、街歩き雑誌の「散歩の達人」が、埼玉県の、所沢、飯能、狭山、入間の徹底特集号を作るということで、僕に記事執筆の依頼があった。
まずもって、なんというニッチな内容だ。関東地方はおろか、その4つの街のいずれかに住んでいる人だって、他の3つの街にそんなに興味がないんじゃないか? だけど、そこがいい。さすがは散歩の達人。
僕の担当は、それぞれの街で良き酒場を見つけ、紹介すること。独断と偏見でいいそうだ。そこでしばらくの間、そのエリアに頻繁に通うことになったのだけど、特に「入間市(いるまし)」の不思議な魅力が印象深い。
入間市駅は、池袋駅から西へ下ること22駅。埼玉県屈指の繁華街である所沢、観光地的要素のある飯能、茶所狭山と比べると、はっきり言って、特筆するべき点が思い浮かばないような街だ。もちろん、土地勘もまったくない。ところがひとまず行ってみて電車を降り、駅の南口に出てみたところで、もうこの街が好きになった。
駅前にでかでかと「おでん野球」という看板がある。なんだ、おでん野球って? とりあえず「入口」と矢印が書いてあるほうを見てみると、明らかにビルの裏手を指している。本当にこの先に? おそるおそる進んでみると、そこには信じられないくらいに簡素な、ビニールシートで手作りされた小屋のような物件がある。しかしながら、店内に入ってみると、超広々空間。異次元にでも繋がっているのか? で、おでんがうまいのはまだわかるとして、もうひとつの名物、七輪焼きの肉のクオリティーが異常に高いのがまた笑えた。
駅から15分くらい歩いた場所にぽつんとある飲み屋街にもよく行った。焼鳥屋の「鳩家」(焼鳥屋でなぜその名前?)は、石油ストーブの香りに心安らぐ名店だし、「範(てほん)」という小さな酒場では、福島出身のママが、たった100円のお通し代だけで、手作り料理を延々と出してくれるから、誰も酒以外のメニューを頼まない。
駅前の繁華街に堂々とあった「屋台ラーメン 大吉」も最高だった。あまりに気に入り、取材して「天国酒場」という本にまで収録させてもらったけど、本が完成したことを電話で大将に連絡したら。「ありがとうな〜、でもオレ、大吉やめちゃったんだよ」と言われた時はショックだった。
他にも、行くたびになぜか僕好みの、妙な味わいの酒場が見つかる街。波長が合うというやつだろうか。しばらく行けてないけど、また入間市に、ふらりと飲みに行きたくなってきた。
終わってふたたび解説です
いろいろ街歩きをしているパリッコさんが選んだのは「埼玉県入間市」でした。「出没!入間チック天国」も掲載していましたね。
【波長が合う】という表現はめちゃくちゃ良いですね。とってもしっくりきました。
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