東京都議会は2023年2月9日、「不健全図書類」の改称を求める陳情を不採用とした。
不健全図書に指定されると、18歳未満の都民へ販売や貸付けなどをすることを禁じられる。18歳以上の成人へも販路が激減するなど、発売頒布禁止処分(発禁処分)に相当する扱いを受けるとして、表現の自由を脅かすおそれがあると懸念されている。
人気マンガ「はじめの一歩」で知られるマンガ家の森川ジョージさんは、J-CASTニュースの取材に対し、長く続いた制度を変えるのは難しいとしながらも、明るい兆しを感じたと述べる。
改称に前向き…でも「不採択」の会派も
不健全図書は、東京都健全育成審議会が青少年の健全な育成を阻害するおそれがあると判断した際に指定される。成人への販売を規制する制度ではないものの、指定を受けた書籍は大手通販サイト・アマゾンなど一部事業者で取り扱われなくなることがある。
陳情は、不健全図書を成人向け相当の内容であるといった名称に改めるよう要望するものだ。前都議・栗下善行氏が22年12月12日に都議会に提出した。森川さんをはじめ、ちばてつやさん、諫山創さん、村田雄介さんら多くのマンガ家も賛同している。
不健全図書の改称を求める陳情は、都議会文教委員会で審議され、前向きな意見が多く寄せられたが、賛成少数で不採択となった。審議では、自民党、都民ファーストの会の担当者が会派として不採択を表明した。
自民の鈴木純氏は、その時代に合った名前に変えていかなければならないとしながらも、会派として今すぐに取り組むことはできないと意見した。
「不健全という名前を変えるにあたって、条例の改正やほかのところも知らなければならない。子どもたちの保護者の意見が全く入っておらず、そういった部分も詰めていかなければなりません。さらにこのネーミングをどうしたらいいのかも考えていかなければならないと思います」
都ファの白戸太郎氏も「不健全図書の名称変更やその不利益の解消に向けて、私達も積極的に取り組んできた」としながらも、会派としては陳情を不採択とすると表明した。
「この条例自体が、成人向けの図書指定しているわけではなく、本陳情をそのまま採択とするのは難しいと考えます」