センター試験をヒンズースクワットで解く
試験の問題文の設定が妙に現実的なことってありませんか。
お弁当を忘れたまま時速2kmで学校に向かう弟を時速3kmで追いかける兄。八百屋でりんご4個をそれぞれ200円で買う太郎さん。
センター試験でも、たまに設定が現実的なときがあるのです。問題文の設定をそのままなぞることで、計算せずとも体当たりで解けるようなときが。
※2007年1月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
今回は、2006年に行われた理科総合Aの試験から、次の問題をピックアップして、実際に体当たりでやってみることにしたい。まずは、ちょっと長いけど問題文をごらんください。
第4問 ペットボトルを用いた実験に関する文章Aと、資源とペットボトルに関する文章Bを読み、下の問い(問1~5)に答えよ。 (中略) 室温と同じ温度の水200gを、質量が無視できるペットボトルの空容器に入れ、フタをしめたものを二つ用意した。片方のペットボトルはそのまま放置しておき、もう片方には以下の操作を行った。 a) ペットボトルを持ち上げたのち、静かに手を放し、1m下のクッションの上に落とす。 (後略) (2006年度大学入試センター試験 理科総合A 第4問より) |
問題はこの後、このような操作をしたペットボトルの中の水温が上がることについて考察する内容になっている。
が、そんなことよりも、まずはやってみよう。この実験のとおりに。そして何度上がるか見てみたい。
実験開始
以下、実際にやってみた。
『片方のペットボトルはそのまま放置しておき、もう片方には以下の操作を行った』
a) ペットボトルを持ち上げたのち、静かに手を放し、
1m下のクッションの上に落とす。
b) 上の操作を1000回くり返す。
900回から最後の100回は、勢いでヒンズースクワットを試している。
『上の操作で、ペットボトルがクッションの上に落ちると、小さな音がし、クッションがへこんでペットボトルは止まった。』
実験終了
さあ、実際に温度が何度上がったか測ってみよう。そしてそれは理論値と比べてどれくらいなんだろうか。
結果は、1.9℃の上昇だった。理論値を知るために、まずは問2を見てみよう。
問2:
(2006年度センター試験 理科総合A 第4問 問2より) |
この答えは2番、約2Jとなる。
(理系の方向け→ 0.2kg * 9.8(m/s^2) * 1m )
これを1000回繰り返すのだから、理想的には水温は 2.4℃上がるはずだ。
(理系の方向け → 1000 * 2J / 4.2(Cal/J) / 200ml)
ということは、0.5℃足りていない。なぜだろう?
問3:
(2006年度センター試験 理科総合A 第4問 問3より) |
実際にやった人だけが、この問を実感をもって答えることができるのだ。クッションとして床に置いた上着が変形するのも見ている。落下時の音も聞いている。答えは2番である。
1.9℃の上昇は上がりすぎな気もするが、たぶん体温が伝わってしまったのだろう。
今回の体当たりはどうなのか
体当たりで解く、といってみたが、今回の問題で体当たりが効果があったのは問3くらいか。全体としては単に筋肉トレーニングになって水温よりも体温が上昇しただけだった。
机上の計算ではなく、実際に体を使ってみて初めて分かることがある。それは事実だけど、ちゃんと頭を使って計算したほうがいいこともあります。