2023年は ボディケア がブームになると予測:#bodycareroutineは再生回数が8億回

DIGIDAY

皮膚の10%を顔が占めるというのが正しいのか定かではないが、ボディケアは「残りの90%をケアすること」とよく耳にする。ボディケアの領域は過去数年間で着実に成長しており、2023年には爆発的に拡大しそうだ。

2022年の年末には、ボディケアの新規ブランドの増加と、既存ブランドによる拡大が、どちらも凄まじい勢いでみられた。タッチャ(Tatcha)は、森林浴に着想を得たヒノキコレクション3点セット(角質除去ボディウォッシュローションオイル)を発売した。手ごろな価格で人気急上昇中のナチュリアム(Naturium)は、ビタミンCグリコール酸などの成分が特徴の6種類のボディウォッシュで、ボディケア領域に参入。スキンケアやヘアケア製品で知られるジョシュ・ローズブルック(Josh Rosebrook)は、ボディウォッシュ角質除去ボディセラムビタミンCをベースにしたボディクリームのボディケア製品3点を発売した。そして7月にお尻用のクリーム「ブーティ・バーム(Booty Balm)」を発売したジェイロービューティ(JLo Beauty)は、12月26日にボディセラムとクリームを製品群に加えた。一方で、新しく登場したブランドには、マリアンヌ・フォンセカ氏(モデル)が共同設立したジェンチ(Gente)がある。これは最近人気が高まっているブラジルのリンパドレナージュ・マッサージの、効果を高める製品を提供するブランドだ。他にも新規参入したブランドには、イオタ(Iota)がある。マイクロバイオームの健康に焦点を当て、ボディウォッシュボディセラムにプレバイオティクスならびにポストバイオティクスを活用している。

これらのローンチは、ボディケアのトレンドが来年も続くと予想されていることを物語る。ボディケア市場のポテンシャルを理解するには、まずスキンケアの消費者がこれまで以上に情報に精通していることを考慮すべきだろう。自身の名前をブランドに冠したジョシュ・ローズブルック氏によると、ボディケアへの関心は「なぜ顔と同等のケアを、ボディに施していないのだろうか?」という疑問から始まるのだという。この疑問がインスピレーションとなり、現代のスキンケアの消費者のあいだではすでに知られているペプチド、ビタミンC、グリコール酸などを配合したボディケア製品につながっている。

ブリス(Bliss)のグローバルビジネス開発担当シニアバイスプレジデントであるジェン・スムート氏も、消費者啓発がボディケアブームに貢献しているとの意見に同意する。同ブランドは、肌がざらつく毛孔性苔癬(KP)に効果的といわれるAHAを10%配合したテクスチャー・テイクダウン・スキン・スムージング・ボディ・バター(Texture Takedown Skin Smoothing Body Butter)を8月に発売している。

「以前は顧客が、この肌トラブルが何と呼ばれるものなのかさえ知らなかったが、現在はTikTokやインスタグラムに膨大な量の情報があるため知っている」とスムート氏。TikTokでは自身のボディケアのルーティンを紹介することがトレンドになっているという。#bodycareroutineというハッシュタグは、再生回数が8億回を超える。

ソフト・サービシズ(Soft Services)は、グロシエ(Glossier)に勤めていた2名が2021年に立ち上げたボディケア・ブランドだ。共同設立者のアニー・クリーバウム氏は、エディターとして積んだ経験で得た洞察が、ブランドの発展において役立ったと語る。同ブランドはこれまでのところ、ニキビやKPなどボディケアで多くの人が抱える悩みを対象とした製品にフォーカスしている。

クリーバウム氏がかつて美容サイト「XOヴェイン(XOVain)」(現在は閉鎖されている)で働いていた頃、太ももの内側の肌が擦れる「股擦れ」の話題が注目を集めたことを振り返る。「多くの人々がこの問題を抱えていたのは明らかだった。あの記事で私たちのサイトに膨大なオーガニックトラフィックが流入したのは、人々がこの問題の解決策をオンラインで探していたからだ」。

同氏はさらに「このようなタブーとされてきた懸念は、人々に孤独感を覚えさせてきた。しかし体ニキビはごく一般的な悩みであり、米国の成人の40%がKPを患っている。主流の美容の話題として、取り上げられてこなかっただけだ」と付け足す。

このような懸念が主流のものになり、消費者への啓発が進み、製品が利用しやすくなることで、ボディケアはスキンケアと同様の進化を遂げていくだろうと同氏は期待する。

ミレニアル世代の加齢も、ボディケア領域の発展に貢献すると同氏はみている。「この層は自身の身体の変化を目の当たりにしており、そのソリューションをオンラインで探すことにも長けている。そして、そこで製品を見つけることを期待しているのだ」。

顔用のレチノールと同程度の需要が見込めると考え、ソフト・サービシズではボディ用のレチノール・セラムを来年発売する予定だ。整形手術のアフターケアや産後のケア製品、メンズ専用の製品も、ボディケア領域で伸びる可能性があるとクリーバウム氏は語る。

「整形手術を受けようとしている人のなかには新しい世代がいて、使用する製品にこれまでと異なった期待を抱いている」と同氏。「彼らは、病院内の薬局で買おうとしていない」。

新生後に伸びたボディケア・ブランドとしてよく話題に上るのは、2018年の年末に設立されたネセセール(Necessaire)だ。設立当初はボディケア製品のみを扱っていたが、髪や顔のための製品を販売するように。同ブランドの起源について、共同設立者のランディ・クリスチャンセン氏は「ボディケアは、フレグランスと同じだと感じている」と述べる。「そして、本当に作りたかったのは、身体への効果がある製品。身体のスキンケアのために、手に取ってもらえるようになりたかった」。

ネセセールが目指すのは、製品が香りでなく効能によって評価され、自立できるようになることだった。ボディウォッシュデオドラントなどはユーカリやサンダルウッドの香りの他、無香性の製品も用意されている。ボディローションセラムは、無香の製品のみでの提供だ。顔用の保湿セラムと同様、ボディセラムには分子量が異なる5種類のヒアルロン酸が含まれており、米国皮膚炎協会(National Eczema Association)の認証(Seal Of Acceptance)を取得している。

ボディケア領域は、新製品の登場のおかげで人々がより良いものに載り帰ることができ、引き続き「成長できる準備が整っている」とクリスチャンセン氏は語る。

ミランダ・カー氏のコーラ・オーガニックス(Kora Organics)は2022年秋にスクラブローションボディウォッシュからなるボディケア・コレクションをリニューアルした。これらはすべてセフォラ(Sephora)にて、オンラインで入手可能だ。「最初の頃セフォラは、今のようにボディケアには関心が無かった」とカー氏。「人々は以前よりも、肌に何を塗っているのか意識するようになり、肌は身体の中で最も大きな臓器であることを理解している」。

美容ブランドにとって、ボディケアへの参入は難易度が高くなり得る。ローズブルック氏が言うところによると、「必要な注文量は増え、利益率は下がり、送料がかさむなど、すべて高くつく」からだ。さらに昨今の消費者は、顔用の製品にかけるほどの金額をボディ用には費やさない。さらに、消費者は新たな有効成分を探し求め、それを配合した製品を開発し手頃な価格で提供するよう、ブランドに圧力をかけてくる。「基本的なローションとボディスクラブだけを扱うブランドがとても多いのは、これが理由だ」とのことだ。

「ボディにも、顔と同等のケアを」とは、ボディケアのルーティンを喧伝する人々のあいだで繰り返し耳にするフレーズだ。だが、クリーバウム氏によると、ソフト・サービシズの見解はこれとは異なるという。

「身体には、異なるニーズがある」と同氏。「身体に真菌による炎症があって、顔に塗るのと同じエモリエントやオイルを使うと、かえって悪化させてしまう可能性がある。ボディケアに対して、思慮深いアプローチをとるべきだと私たちは考えている」。

[原文:Glossy Pop Newsletter: In 2023, expect a body-care boom

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:田崎亮子/編集:山岸祐加子)

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