薄れる国民の関心、どうする岸田首相?今後は短命政権が4-5人続く

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岸田政権が危機感に包まれています。この週末、支持率調査が重なったのですが、まずはその動向です。

毎日 調査日 9月17日-18日 内閣支持率29%(前回36%、前回比マイナス7%ポイント)
共同通信 調査日 9月17日-18日 内閣支持率40.2%(前回54.1%、前回比マイナス13.9%ポイント)
日経 調査日 9月16-18日 内閣支持率43%(前回57%、前回比マイナス14%ポイント)
時事通信 調査日 9月9日-12日 内閣支持率32.3%(前回44.3%、前回比マイナス12%ポイント)

今後、朝日、読売、NHKなども調査がありますが、同様の傾向を示すものと思われます。

会見する岸田首相 同首相SNSより

9月の調査の特徴は下落幅が軒並み2桁%ポイントとなっていること(毎日は前回調査で2桁下落しています)でその分析は各紙ともほぼ同じで旧統一教会問題と国葬であります。

第一次岸田内閣が発足したのが21年10月4日ですので間もなく1年になろうとしているところですが、岸田政権の成果は何、と聞かれてぱっと思い浮かぶでしょうか?燃料油補助金、ロシア制裁、顔つなぎ外交…といった感じでしょうか?そもそもそれが成果なのかという異論も多いと思います。

長期政権の後は短命政権が続くことが多いのが日本の歴史です。とすれば国葬をするほどの長期政権だった安倍氏のあとは短命政権が4-5人続くとみるのが順当な発想ですが、私はこれが怖い部分でもあるのです。なぜ、長期政権の後、短命が続くのか、ある見方をすれば時間をかけて長期政権の色を消す、という見方もできます。つまり、「振出しに戻る」であって変わらない日本を演出するわけです。

一方、今回の情勢を見る限り、野党の支持率が概してとびぬけたわけでもないので自民党の「一人芝居」ともいえます。つまり、与党の最大の反対勢力は野党ではなく世論なのです。故に私も世論調査にはそれなりに注目していて各調査のトレンドを見ているわけです。そこから見えることは今回の調査はあまりにも無抵抗に支持率を下げてしまったという点であります。

では私の懸念です。仮に岸田氏が政権運営を投げ出してしまった場合、次の有力者がいない点です。唯一現実性があるのが菅氏の再登場ですがその場合、とても地味な感じになるでしょう。しかし、そうとも言っていられないという気もします。

他国の場合、政権交代が起きない限りにおいて、閣僚に有力者がいてその人の働きや活躍ぶりが評価されて次の国家元首になるのが順当なケースです。ところが自民党の「人事政策」は選挙での再選回数で「大臣候補リスト入り」する傾向が強く、まるで大企業が外向きに「部長」の肩書をくれるようなものです。ところが「部長」は社内的には「担当部長」で部下がいない点に於いて最近の増える大臣ポストはそのやり方を具現化しているようなものです。

つまり私からみる自民党の構造的弱さとは強い人を育てられない仕組みがそこにあるのです。大臣ポストは「みんなで仲良く順番に回しましょう」なのです。これではダメ。大臣ポストは次に残れるかの厳しい試験であり、成果を上げ、国民評価を経て総理へのチャンスとすべきでしょう。

私が自民は割るべきと再三申し上げているのは能力ある人材が埋没しやすい組織体で国民にとっても政治家にとっても決して良い形ではないからです。私はいっそのこと、野党を含めた政党再編成を行う方が良いと思っています。維新、国民、参政などを含めた大改編です。立憲は本来持てる力があるし、潜在的チャンスがあるのに支持が伸びないのは国会での攻め方が下手だからでしょう。感情が入り過ぎてパフォーマンスがかった芝居は見たくないと思う人が多いのです。

岸田氏の抱える問題は山積しています。内政については国家防衛、円安と海外物価高騰に伴うインフレ対策、エネルギー政策、社会保障があがり、今般の台風で甚大な災害が出ればその対策対応と長年指摘されている国家強靭化計画も再度課題に上がるでしょう。少子高齢化に加速度がかかってきている日本に於いて国家運営と国家の生計の立て方も考える必要があります。

外交についてはこじれる日中関係、日米関係の維持、すれ違う日韓関係の行方、日台の経済を中心とした連携強化、さらには対ロシア政策、東南アジア諸国との連携、クアッドや拡大TPP11も議論の対象になるでしょう。外交は国家のミーイズムが強まる中、二国間関係が主流になる気がしますが、それ以前に日本の立ち位置や方向性を決めないと全方位型外交ではなく「八方美人外交」となり、締まりのない時間だけが過ぎていく外交になってしまいます。

岸田氏が唯一自ら動こうとしたのは21年の総裁選の前でそれ以降は昔の岸田節に戻ってしまっています。今、彼に「再起だ、立ち上がれ、キッシー!」といっても無理な気がします。ならばこれ以上状況が悪化する前に対策を打つべきだと思います。岸田氏では残念ながら上記の内政と外交のイシューで成果を生み出せる期待感はほぼないと思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年9月19日の記事より転載させていただきました。

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