美容とパーソナルケア業界のエグゼクティブであるロッド・リトル氏が、2018年にパーソナルケアの複合企業、エッジウェル(Edgewell)にCFOとしてとして入社したとき、中核事業のシェービングと生理用品は1桁台半ばの減少を経験していた。プロクター&ギャンブル(Procter & Gamble)のような大企業やビリー(Billie)などのD2Cのディスラプターと競合するエッジウェルには変革が必要だった。
リトル氏は2019年に社長兼CEOに就任、シック(Schick)、バナナボート(Banana Boat)、プレイテックス(Playtex)など米国ではおなじみのブランドを所有するエッジウェルに変革が必要な分野を特定した。
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同氏はGlossyビューティポッドキャストの最新のエピソードで、「当社はテクノロジーにフォーカスしすぎるというリズムに陥ってしまい、消費者主導ではなく、テクノロジー主導になっていた」と述べている。
リトル氏の転換戦略には、フォーカスを消費者へと移行することのほかに、スタートアップの考え方を導入して成長分野での新しい買収を進めることも含まれていた。ハリーズ(Harry’s)の買収の試みは2020年、FTC(連邦取引委員会)により阻止されたものの、エッジウェルは過去5年間に4件の買収を行っている。男性用グルーミングブランドのブルドッグ(Bulldog)とジャックブラック(Jack Black)とクレモ(Cremo)、そしてかみそりのスタートアップのビリーだ。同社の新規ブランドが2桁の成長を牽引する中、エッジウェルのシェービングと生理用品カテゴリーは今年「1桁台半ば」に成長し、一方でサンケアカテゴリーは力強い成長を見せている。今週のポッドキャストでリトル氏はエッジウェルの買収戦略、FTCの決定に対する意見、ブランドが拡大しながらも革新的であり続ける方法について詳しく語っている。
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成長ポートフォリオの作成について
「私の見解では、成功の準備ができていないポートフォリオがあった。当社には低迷、または下降しているカテゴリーへの露出が多すぎていた。
関与を狙うカテゴリーにおいてコアではないものを販売していたが、最終的に成功を収められると考えていた。同時に、この5年間で4件の買収を行ったが、どれも2桁の成長を遂げているカテゴリーだ。
適正なポートフォリオにして、グルーミング、サン(紫外線対策)、スキン分野、さらにはスタートアップのディスラプター分野で買収を進めているのは意図的である」。
成功につながる買収のための準備
「他企業にいた際に、事業やブランドを買収してそれが成功しなかった例を見てきた。その失敗を目のあたりにしてきた。
私自身の個人的な経験から、企業やビジネスを買収するならば、そのビジネスを運営している人々は、買収するブランド以上ではないかもしれないが、重要度は同じぐらいだという結論に達した。
その買収において人々が最重要であるという(マインドセットから)始めれば、違う方法で彼らに対応したりコミュニケーションしたり、彼らが構築したものと彼らが特別だと信じているものを維持しようと尽力するようになるだろう。
歴史的に、大規模な企業はどんな理由であれ、小規模なビジネスを購入するときは善意を持っている。だが、大企業は小規模なブランドが持っている特別なものを次第に蝕んでいく。そして、時が経つにつれて、小規模なブランドはリーダーシップ、マインドスペース、またはリソースの割り当てに関して競合することはできなくなる。新しかったそのブランドに対して大企業が費やすリソースは次第に少なくなり、(数年以内に)大企業は小規模なブランドに対してあきらめてしまうかもしれない。
我々はスタートアップとディスラプターのように運営している優れた中間層を作ろうとしており、(創業者は)そこで経験を積むことができる。また、そこにはセーフティネットもいくつかある。失敗したとしても基本給がある。3、4年先に結果を出すという目的のためだけに(創業者らは)関与しているのではない」。
企業内でディスラプターマインドセットを維持することについて
「ある日、突然『ディスラプターのようになる必要がある』と気づいた。そこで、消費者に焦点を合わせ始め、メッセージやマーケティング、イノベーションのパイプラインに投入しているものや、ブランドとしての価値説明にもフォーカスし始めた。なぜなら、特にミレニアル層は自分のバスルームやキッチンにおいてブランドや製品がもたらす効果と同じように、自分の価値観に沿ったブランドの購入を重視しているからだ。
いまでは当社が獲得したディスラプターたちがチームに加わっている。そして、レガシーブランドにも、新鮮で若く、ハングリー精神旺盛で、意欲的に学んで変化を推進したいと思っているチームメンバーも存在している」。
[原文:Edgewell CEO Rod Little: ‘We’re operating more like a startup and disruptor’]
LIZ FLORA(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)