ギズモードが運営するバーティカルメディア「FUZE」2024年10月8日掲載の記事より転載
渋谷のZeroBaseで開催中の「PontaパスStation」ポップアップストアが話題を集めている。KAWAII LAB.所属のアイドルグループがアンバサダーを務めるこのイベントでは、渋谷エリアで使えるクーポンの抽選や、コラボグッズの販売、猿田彦珈琲とのコラボカフェなどが楽しめる。
Pontaパスの魅力を直接体験できるこのイベントは、10月13日(日)までの期間限定で行われており、既にたくさんの訪問者で賑わっている。
従来型クーポンから進化
このポップアップストアで、Pontaパスのクーポン発行システムにNFT(非代替性トークン)技術が導入されていることはご存知だろうか?これは単なる技術導入ではなく、デジタルクーポンの未来を切り開く革新的なステップとして注目に値する。
従来、クーポンと言えば主に紙媒体、もしくはアプリを経由したデジタルコードが主流であった。しかし、KDDIはこの枠を超え、ブロックチェーン上でクーポンの保有記録や利用履歴を管理することで、新しいユーザー体験を提供しようとしている。NFTを活用することで、クーポンは単なる割引手段を超え、デジタルなユーティリティとしての価値を持つことになったのだ。
もともと共通ポイントのサービスであるPontaはNFT導入に積極的だったが、今回はPocket RDが提供する「Digital Double」を活用。カウンターでボタンを押すと、クーポンのNFTを発行するためのQRコードが背面のディスプレイに表示される。このQRコードをスマートフォンで読み取ることで、webブラウザが開かれて個別にNFTを受け取ることができる。これにより、個人情報を入力して登録したり、アプリをダウンロードしたりというプロセスが不要で、シンプルなサービス体験が可能となる。
「お客様にとってはWeb3と意識することなく、また事業者にとってはお客様の個人情報をお預かりしなくても、お得な特典をご提供することができます」とは、この仕組みについてご説明いただいたKDDI株式会社Web3推進部・川本大功さんの言葉だ。
アプリも経由せず、ブラウザ上の処理で表示されるので、簡単で安心。NFTでクーポンを付与する最大の魅力は、個人情報の入力が不要であることにある。面倒な手間がないだけでなく、ユーザーの個人情報が第三者に漏洩するリスクも低減できる。
個人情報の取得なしに利用履歴を把握
さらに、NFTならではの「利用履歴の透明性」も大きな利点である。企業は個人情報を保持することなく、クーポンの利用状況を把握でき、正確に効果測定が可能だ。
これにより、マーケティング戦略の最適化が図られ、企業とユーザー双方にとってメリットの大きいシステムが実現する。
この技術の興味深い点は、プライバシーの保護という観点からもさまざまな分野に応用が期待できるところだ。たとえば、メディアが個人情報を取得せずにコミュニケーションや効果測定を行う仕組みとしても利用可能であり、Web3時代における新たな可能性を示唆している。国内においても、サイバー攻撃による情報漏洩の問題が取り沙汰されている中で、ユーザーにとっても企業にとっても新しい収益モデルが生まれることが期待される。今後も、この分野の技術革新に注目していきたい。