86インチで15万円。Visioの4KTVはポート不足を妥協できればアリ

このサイズでこの価格なら、と。

今年4月、Vizio(ビジオ)から1,000ドル(約14万7000円)の4K/86インチTV「V4K86C-0804」が発売されました。米GizmodoのKyle Barr記者がレビューして、価格カットの分どこに妥協してるのか教えてくれています。


QLEDやらOLEDやらハイエンドな画像技術に食傷気味になると、廉価TVのシンプルさが一服の清涼剤にも感じられます。でも、Vizioの86インチスマートTV「V4K86C-0804」(これが製品名なので、以降V4K86C-0804と呼びます)は、1,000ドルという価格なりのトレードオフもありますが、単に大きいだけじゃない良い部分もたくさんあります。

V4K86C-0804は、同じくVizioの170ドル(約2万5000円)のサウンドバーVizio 2.1と好ペアになります。V4K86C-0804とVizio 2.1をくっつける独自の「Quickfit」システムがあり、TVの下にすっきり収納できるようになってます。ただVizio 2.1の音は、安めのサウンドバーとしては悪くないですが、86インチ画面の迫力には匹敵しないかもしれません。

Vizio V4K86C-0804 / Vizio 2.1

この価格でこれ以上の大画面はなかなかないけど、ポートの貧弱さは残念。

◾️これは何?:Vizioのお手ごろ86インチTVと、2.1ch サウンドバー

◾️価格:V4K86C-0804:1,000ドル(約14万7000円)。Vizio 2.1:170ドル(約2万5000円)

◾️好きなところ:このサイズにしてこのお値段、画質もまあまあの4K、Vizioのメニューが劇的改善、Vizio 2.1設置が簡単で音も良い

◾️好きじゃないところ:HDMIポートが足りない、イーサネットポートがない、画質設定は試行錯誤が必要かも、見やすい角度が狭い

V4K86C-0804はこの巨大サイズで1,000ドル(約14万7000円)。例えばTCLの85S551G Google TVは、若干小さい85インチで定価1,300ドル(約19万円)。でも、ほとんどの人は家にそんな巨大TVを置くスペースすらないはずで、スペースがあっても、mini-LEDみたいな高価なものは買いたくないというのがV4K86C-0804を選ぶ考え方です。

こういうディスプレイには、ちょうどいい使い方があります。米Gizmodo編集部では、この夏のパリ五輪をずっとV4K86C-0804で見てました。サイズが大きすぎてオフィス用のテーブルにも置けず、フロアに直置きして、周りに椅子やソファを置いて編集部の皆で楽しみました。画角はかなり狭いんですが、ちゃんと大人数で見られました。

とはいえ、視聴体験としては、最高とは言い難いものでした。まずV4K86C-0804には、イーサネットポートがありません。安めのTVにはありがちですが、イーサネットポートがないということは、画質がWi-Fiの速度に依存してしまいます。今回はふだん使っているものより不安定なゲスト用Wi-Fi経由だったので、なおさらでした。

巨大、でも安定はしてる

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リモコンのデザインは簡潔で効率的
Image: Artem Golub – Gizmodo US

V4K86C-0804の設置方法には、いくつか選択肢があります。スタンドの足はTV本体と同じ、63インチ(約1.6m)いっぱいに伸びてます。なので相当巨大なTV台を用意するか、壁掛けかということになります。

スタンドの取り付け作業は、1人より2人いたほうがやりやすいです。足を付けたら、V4K86C-0804は非常に安定していて、試しにかなりの力をかけてみましたが、プラスチックがピキッと割れたりもしませんでした。

その理由の1つは、本体の厚さにあります。TV部分だけで一番厚い部分は3インチ(約7.5cm)あり、スタンドも含めると奥行きは17インチ( 約43cm)にもなります。

ポートが足りない!

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Image: Artem Golub – Gizmodo US

V4K86C-0804の電源端子はHDMIポートの反対側にあり、HDMIポートはやや少なめです。eARC対応HDMIポートは1つしかないので、Vizioサウンドバーをそこにつなげるとしたら、ゲーム機など他のデバイスをつなげるHDMIポートは、残り2つしかありません。

また、HDMIやUSB-Type Aポート(1つ付いてます)を経由して、インターネットにつなぐためのドライバーをインストールする手段もありません。つまりネットにつなぐ方法はWi-Fiしかないので、自宅Wi-Fiが不調だとどうしようもないです。

若干救いなのは、VizioがUIをリデザインしたので、操作全般はしやすいことです。メインのページが読み込めれば、よく使うアプリやサービスのフォルダが自分のアプリとか入力のすぐ隣にあって、簡単に見つけられます。設定メニューもすっきりして、(僕が使ってるLGのTVみたいに)ムダにあちこちクリックする必要がありません。

ただV4K86C-0804には、SONY(ソニー)とかSamsung(サムスン)のTVみたいなゲームバーはありません。これがあるとリフレッシュレートや解像度を変えたり、HDR設定をチェックしたりが簡単なんですけどね。

超高画質じゃないけどまぁ納得

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mini-LEDみたいな深い黒は期待しないで
Image: Artem Golub – Gizmodo US

有機ELやらmini-LEDやらがもう出尽くして、今はタンデムOLEDやらmicro-LED、NanoLEDが注目される時代です。それでも4KTVは4KTVに違いなく、V4K86C-0804の画質も設定をうまく調整できればかなりキレイです。

といっても、画質設定もそんなにいじるところはありません。僕の場合、ゲーム以外のコンテンツではキャリブレーテッドモード、Xbox Series XやPlayStation 5で遊ぶときはゲームモードにしていました。自動で設定された色は「ウォーム」で、映画『マトリックス』は本来の色よりだいぶ緑に寄って見えました。色の設定は「ノーマル」にした方が、より映画館に近い見え方になると思います。

詳細設定の中では、いくつかいじらない方がいいものもあります。アクティブ・ピクセル・チューニングは、画質がムダにシャープにスムージングされます。バックライトコントロールは、コントラストを維持するためにオンのままがいいです。ブラック・ディテール設定は、画面の暗い部分のディテールを良く見せるための機能のはずですが、実際はコントラストを立たせるというより、光を強くしてるだけでした。

V4K86C-0804のようなDLEDのTVでは、mini-LEDほどのコントラストにはなりませんが、それでも黒はかなりディープでした。と言いつつ、『オッペンハイマー』では、キャリブレーテッドダーク設定にしていても、本来よりずっとグレーな場面が散見されました。それでも4Kかつ86インチなので、部屋の反対側からでもきれいに見られます。また窓際に置いたときでも、思ったほど反射やグレアはありませんでした。

ゲーミングに関しても、PS5とXbox Series Xの両方で、FPS最大で滑らかにプレイできました。『STAR WARS ジェダイ:サバイバー』のようなゲームの色も鮮やかです。

ただDLEDなので、きれいに見えるのはTVの真ん前だけです。ちょっとでも外れると色がおかしくなるので、TVのシルエットの範囲内で見るようにしないといけません。

サウンドバーはどう?

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Vizio 2.1はネジ2本付ければスライドインでき、VizioのTVへの着脱がしやすいようになっている
Image: Artem Golub – Gizmodo US

30インチのVizio 2.1を設置するとき一番たいへんだったのは、変わった形の箱から取り出すときでした。箱から出せれば、あとは簡単です。

Vizioのソフトウェア群とペアリングしやすいようにできてるし、TVとくっつけるQuickfitシステムもシンプルです。ただこの仕組みは、サウンドバーをしっかり固定するというより、TV本体の下にくっつけて、TVの下の掃除もしやすいようにするという感じです。

Vizio 2.1はTVのeARC HDMIポートに接続することが推奨されてて、つなげるとTVのリモコンやVizioアプリから操作できるようになります。サブウーファーがある分、TV内蔵のスピーカーよりも深い低音が加わります。音を最大限楽しむには多少のスペースが必要になりますが、86インチTVを置けるような部屋なら多分大丈夫でしょう。

音に深みが加わるだけでなく、部屋の場所を移動しても同じ音が楽しめます。ただこの違いは、Vizio 5.1のようなもう一段上のスピーカーほどじゃありません。170ドルの2.1chサウンドバーでは、86インチ画面のインパクトには釣り合わない感じがします。このサイズのTVを活かすには、229ドル(約3万4000円)のVIZIO 5.1 Soundbar SEの方がベターではないかと思います。

結論

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Image: Artem Golub – Gizmodo US

VizioのTVに限らず、86インチのTVを検討してる人には、まずは設置場所のサイズをしっかり測ってみてほしいです。ただ86インチの画面が収まるかってだけじゃなく、幅・奥行きのあるスタンドを載せられるTV台(または壁かけ場所)、視聴時に座る位置関係もしっかりシミュレーションしたほうがいいです。

もしスペース的に問題なければ、V4K86C-0804に関しては、イーサネットポートがないこと、HDMIポートが少ないこと、画質がそれほどでもないことを許容できるかどうかが考えどころになります。といっても4Kには違いないので、しっかり設定できれば見心地は悪くありません。しかし、数百ドルをセーブすることが一番の決め手だとしたら、「巨大画面、すご〜い!」みたいな感動は期待しない方が安全だとは思います。

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