世界的にコンテンツおよびテクノロジーを提供するトムソン・ロイターは、日本初開催となる「リーガルサミット 2024」を2024年7月23日(火)に開催した。メディア向けのラウンドテーブルでは、2024年4月にローンチし、日本市場にも導入予定の生成AIを搭載した新製品「CoCounsel」について、日本で初めて製品の詳細を説明した。
「CoCounsel Core」は法務特化型の生成AIツールであり、アメリカやカナダなどの国々で、すでに利用されている。同ツールでは、特定の質問に答えるために契約書一式をレビューする「Extract Contract Data」、一連の契約が特定のポリシー・ガイドラインに準拠しているかどうかを判断する「Contract Policy Compliance」、一連の質問に答えるために小規模な文書群を徹底的にレビューする「Review Documents」など、8つの法的スキルを利用することができる。
■信頼性の高い法務特化型生成AIツール
トムソン・ロイター株式会社 プレセールス統括マネージャー 森下 馨氏は、同社の事業や展望を説明した。
同社が掲げる「Innovation and AI」というテーマにおいて、「最大の投資は信頼への投資」と語った。「AIについては、さまざまな情報がどこから引っ張られてくるかという点が一つの不安要素となることもありますが、トムソン・ロイターというブランドを一つの信頼感として、私たちのコンテンツをご覧いただければ幸いです。」と語った。
続いて「トムソン・ロイターにはデータおよびAIの倫理に関する厳格な原則があります。AIの開発や導入、データの利用における信頼性の確保にも注力しており、ユーザーの皆さんが期待する正確性と安全性を基準に提供できるよう心がけています」と、信頼性をアピールした。
目的の推進を支援する方法、つまり同社のソリューションについては、「まず『Practical Law』、そして『Westlaw』、『Legal Tracker』、『HighQ』があります。それに加えて今回『CoCounsel Core』というソリューションを発表できる運びとなりました。現状、4つのソリューションがある上に、さらに『CoCounsel Core』が加わるという流れです」と語った。
同社のAI事業への取り組みに関しては、年間1億米ドル以上の投資をしていること、150年以上にわたり2,000名以上の専門家によって培われた信頼できる正確な法律・税務コンテンツを専門家に提供していること、AIおよび言語モデルを結集した業界を牽引するイノベーションを30年以上提供していること、データサイエンスおよびAIソフトウェアエンジニアリング125名の生成AI専門家を含む4,500名以上のエキスパートが関わっていることが紹介された。
■「CoCounsel Core」による契約書のレビューなどで業務効率化へ
引き続き、トムソン・ロイター AI&リーガルテック・リード アジア&新興市場担当 トーマス・チャン氏が法務特化型生成AIツール「CoCounsel Core」の詳細について説明した。
チャン氏は、「昨年、私たちはCasetextを6億5,000万ドルで買収しましたが、これはほんの始まりにすぎません。私たちは、生成AIの研究開発に年間少なくとも1億ドルを費やすことを約束しました」と、同サービスを生み出したCasetextの買収について触れた。
その後、「CoCounsel Core」の紹介へと話が移り、「『CoCounsel Core』は、弁護士が法務業務を遂行できるように私たちが開発したAIアプリケーションです」と話した。そして、「私たちが買収する前のCasetextチームは、実際にはGPT-4への早期パートナーシップと早期アクセスを持っており、それを使用してアプリケーション『CoCounsel』を開発しました。
ここでのアイデアは、『CoCounsel』が生成型AIを搭載した法律アシスタントとして機能し、弁護士が人間の同僚とやり取りするのと同じようにやり取りし、パラリーガルや研修生、若手弁護士などに委任する可能性のあるタスクを実行するよう指示できるというものです」と説明した。
「しかし、『CoCounsel Core』が『Copilot』や『Chat GPT』などの公開アプリケーションと本当に異なるのは、3つの主要なコンポーネントがあることです。まず、信頼性のためにいくつかのガードレールを設けました。『CoCounsel Core』では、『Chat GPT』のようなコントロールがそれほど多くないため、ハルシネーション(生成AIが誤った結果を出すこと)を起こす可能性があります」と、他のサービスと比較した。
「一方、『CoCounsel Core』では、適切な出力であることを明示的に検証した方法でのみ応答できるようにプラットフォームを意図的に制限しています。ユーザーに提供する回答は、ユーザーがアップロードしたドキュメントや、ユーザーが以前にアップロードしたポリシーセットなど、どこかから取得する必要があるように、『CoCounsel Core』を制限しています。検索拡張生成と呼ばれるプロセスを通じて、それらの場所のいずれかから回答を取得する必要があります。そして、このようにしてハルシネーションを排除することができました。なぜなら、『CoCounsel Core』は何も無いところから答えを単純に作り出すことはできないからです」と、いかに正しい情報を生成しているかを明らかにした。
チャン氏は、「『CoCounsel Core』が誤った回答を出さないという点で他の公開アプリケーションと異なることや、アプリがアクセスする範囲をユーザーがアップロードした書類などに限定することで、信頼性を確保している」と解説した。
また、実際に「CoCounsel Core」の画面をモニターに映し出し、法律文書の要約や複数の契約書から契約情報を抽出させる指示を出し、現在は非公式ではあるが日本語にも対応している点などをデモンストレーションとして実施した。
「CoCounsel Core」を使用することで、弁護士であれば10〜15分かかる作業が20〜30秒で終わるため、時間の節約ができ、業務の効率化に繋がる。現在、海外のユーザーから「CoCounsel Core」は好評を得ており、日本版をリリースするために日本仕様のチューニングを行っている。日本版は2023年秋にサービスを開始する予定だ。
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