#VRChat 巡りのプロに「脳裏に刻まれたワールド」を教えてもらった

GIZMODO

削除された場所もあるとはいえ10万ワールドはあるんじゃないか、といわれるVRChatです。

1年以上の年月をかけて作り込まれたワールドもあれば、勢いで作った習作ワールドもある。なかには視界を狂わせるような厄介系いたずらワールドもありますが、「これは僕が求めていた世界だ!」と思えるワールドとの出会いはなかなか難しいところがあってですね…。

こういったときは、ワールド巡りの先輩に聞きましょう。VRChatワールド探索部@vweclub)の部長、タカオミさん@takamin_)に。

言語化することで空間に対する解像度が上がる

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Photo: 武者良太

「美術館に行くのが好きだったり、おしゃれなお店のインテリアを見るのが好きな人は、ぜひVRChatのワールドを巡ってみてください」というタカオミさんは現実空間では映像作家、VRでもワコムが主催したアートイベント「コネクテッド・インク」の一環として公開されたVR美術館的ワールドMetamorphosisのディレクションを担当した人物です。

ところで毎週々々、VRChatワールドツアーを行なうほどVRChatにハマったきっかけはなんだったのでしょうか。

タカオミ:僕が映像編集をしているWEEKLY OCHIAIに三越伊勢丹の方がゲストとして登場し、バーチャルマーケットに出展したときのお話をされていたのを見て「なるほど」と思ったんです。

ちょうどコロナで、ファンと交流できる機会がなくなってしまったイラストレーターの友達が「孤独でしんどい」といった話をしていて「ソーシャルVRだったらそういう問題を解決できるんじゃないかと感じたんですよね。

いろんな空間を見てみたいとも思ったし、バーチャル上でショップを作って接客をして画集を売るといった可能性も感じてVRChatに入ってみたんです。

当時から、自分がいつか空間を作ることになるだろうと考えていたタカオミさん。VRChatワールド探索部を設立。仮想空間の魅力を記して残すnoteもはじめます。

タカオミ:すべてのVRChatワールドは、作者さんの思いが結実した作品です。だから僕は芸術鑑賞としてワールドを巡っているところがあります。

専門学生時代にいろんな名作映画を見て感想をレポートする授業があったのを思い出して、VRChatのワールドの良かったところを言語化することで、空間に対する解像度が上がるんじゃないかなと。

映像作家と写真撮影を行なう知人と一緒にVRChatワールド探索部を立ち上げました。

自分で言語化を繰り返すことで、また部活動に参加した人の意見を聞くことで、自分がどんなワールドが好きかというのも明確になっていくそうですよ。

タカオミ:VRChatワールド探索部をはじめた当時はまだワールドの情報が少なかったので、noteをつかって自分たちで情報を発信すれば逆に情報が入ってくるだろう、という狙いもありましたね。

VRChatワールドにもトレンドがある

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Photo: 武者良太

2020年11月15日に第0回、11月19日に第1回のイベントを開催したVRChatワールド探索部の活動は先日、100回を数えるに至りました。数多くのVRChatワールドを歩いてきたタカオミさん。活動を通じてワールドのトレンドの変化を感じたことはありますか?

タカオミ:はい。2021年3月のころに、クルマを運転できるワールドが一気に増えたことがあったんです。また2022年5月にORGANISMが公開されたことで、かなり歴史を変えた感じがしました。

あの頃からいわゆるオムニバス形式の空間が増えたように感じています。理由はまだ掴めていないんですけど、綺麗なワールドで写真を撮ってツイートするVRChat写真文化との関係があるかな、とは考えています。

確かに、アバターを可愛く/かっこよく撮るだけではなく、空気感を感じさせてくれる景観写真を撮るVRフォトグラファーも増えてきたという印象はありますね。

では今まで回ってきたワールドのなかから、記憶に強く残っているワールドを教えていただきましょう。

Virtual Airline 虛擬航線 仮想ルート(PC/Quest)

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Photo: 武者良太

ターミナル、フレームワールド、ミームワールド、社会という4つのテーマを表している空間。基本的に動きはなく、静謐なオブジェクトによって様々な視覚要素を構成しているワールドです。

タカオミ:建築ではない。部屋でもない。街でもない。他のワールドとは明らかに違うんですよね。平面デザインの方が作ったという印象ですけど、ワールド作者さんが車の運転とかしてる時に、こういう風な心象風景を得ることがあるらしいんです。そう言われるとそうかなとも思うんですが…なんだ、これは、と(笑)。見る方が試されているような感じがしますね(笑)

Vacuous Park:Alter(PC)

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Photo: 武者良太

光る点群のなかにいるような、無数のパーティクルが織りなす遊園地。グリッチによる特異な表現ともなっており、「美しい」という声が自然ともれそうになります。

タカオミ:これだけじゃないんです。ワールドの中にある輪の中には、別の空間が広がっているんです。いろんな場所、角度から輪の中をのぞいたり、輪の中に入っていくと、同じ場所であるはずなのに見える景色が変わってしまう。

この体験はバーチャルでしか得られないというか、2018年に作られたワールドですが今でも新鮮だと感じるのも、いい意味で恐ろしいですね。

Alter Sound Wave Club(PC)

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Photo: 武者良太

動画の色情報をZ軸方向に変化させ、強引に飛び出す3D映像に変化させるライブスペース。元の2D映像も表示されていますが、その変容っぷりに圧倒されます。

タカオミ:ストーリーがあるような映像ではなくアート寄りの映像だと、今までとは別の新しい鑑賞体験として得られるものがあります。見慣れた作品が違ったものに見えるという意味でも面白いなと思っています。

素敵なVRChatワールドを見つけるポイント

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Photo: 武者良太

Twitterで #VRChatワールド探索部 のハッシュタグを追うと、部活中に撮られた素敵なワールド写真が怒涛の如くあらわれます。いったいタカオミさんは普段、どのようにワールドの情報を収集しているのでしょうか。

タカオミ:時間があるときに猫チーズさん(@_nekocheese_vrc)が作られた「VRChatワールド紹介まとめ」 を見て、行ってみたいワールドをリスト化しています。ただ実際の部活動中は20以上のワールドをめぐる日もあるので、時間がかかりそうなところとワールド定員が少なくて部活中の全員が入れないところは避けています。

また前述したVRフォトグラファーをチェックするのもお勧めとのことです。

タカオミ:作風が好きなVRフォトグラファーさんのTwitterアカウントをフォローしておくと、常に自分のタイムラインにワールドの情報が流れてくるようになりますから。

毎日新たなワールドが生まれていくVRChat。最新作のなかからDigっていくのもいいですし、自分と好みが合いそうなユーザーのツイートから行き先を見つけるのもいいでしょう。しかしご注意ください。ワールド作者の善意で作られているため、いつ公開が停止されるかわかりません。2022年にどんな仮想空間があり、歩くことができたのか。見逃さないようにしたいですね。

Source: Twitter

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