天王星と海王星に新たな衛星が見つかる

これで衛星の総数は天王星が計28個、海王星が計16個に。

天王星で1個、海王星で2個の衛星が新たに発見されました。地上から観測したところ、小さな衛星たちは太陽系の果てのかすかな点みたいに見えたようです。

カーネギー研究所の天文学者Scott Sheppard氏は、チリとハワイにある天文台を使って2021年9月に海王星のこれまで知られていなかった2個の衛星を、そして2023年11月4日に天王星の衛星を初観測しました。

同氏は研究所の声明文にて、

新たに発見された3個の衛星は、これまでにこの2つの巨大氷惑星周辺で地上望遠鏡を使って見つけた衛星で最も暗いもの。

だと、説明しています。「そんな暗い天体を明らかにするには特別な画像処理を要しました」とのこと。

天王星の新衛星「S/2023 U1」

天王星に新しい衛星が見つかるのは20年以上ぶり。この衛星の幅はたった8kmと、28個ある衛星の中でおそらく最も小さいそう。680日間かけて軌道を一周します。

天王星のほとんどの衛星の名称は、シェイクスピア作品の登場人物(オフィーリア、シコラックス、ジュリエット、デズデモーナなど)に由来しています。現時点では「S/2023 U1」と呼ばれていますが、この衛星もやがて伝統に則った名前に変えられるでしょう。

海王星の新衛星その1「S/2002 N5」

太陽から最も遠い惑星である海王星の衛星2個のうち明るい方「S/2002 N5」は大きさが23kmで、9年近くかけて海王星の周りを一周します。

Sheppard氏はチリにあるマゼラン望遠鏡を使い、2021年10月及び2022年と2023年の11月の追跡観測でS/2002 N5の軌道を確認。軌道が確定された後、2003年に海王星付近で初観測されるも軌道を確認する前に見失ってしまった天体にまでさかのぼることができました。

海王星の新衛星その2「S/2021 N1」

海王星の暗い方の新衛星「S/2021 N1」は幅14kmで、27年かけて軌道を一周します。

カーネギー研究所によると、地上望遠鏡を使って発見された最も暗い衛星であるS/2021 N1の軌道を確かめるにあたって、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTとジェミニ天文台の口径8mの望遠鏡は新品同様の状態が求められたそう。

各国からの協力を得て撮影

Sheppard氏はNASAジェット推進研究所、ハワイ大学、ノーザン・アリゾナ大学、近畿大学の科学者たちの協力のもと、これらの発見を裏付けるために数晩にわたって3時間または4時間の間に5分露光を数十回撮影しました。

衛星は背景の星々や銀河と比べるとほんの数分で動きますから、長時間露光は動く天体のディープイメージを捉えるのに理想的ではありません。

これらの多重露光を重ねることで星や銀河は後の光跡と共に現れ、主惑星と同じような動きの天体は点光源として見え、衛星を画像中の背景ノイズから際立たせます。

とSheppard氏。

3つの新衛星の軌道はどれも楕円形で、離れていて、傾いており、天王星と海王星が形成された後にそれらの重力に捕らえられたことを示唆しています。

Source: Carnegie Institution for Science,

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