Netflixで配信しているアニメシリーズ『PLUTO プルートゥ』。
漫画の神様・手塚治虫の『鉄腕アトム』に登場するエピソード「地上最大のロボット」を原案として、『20世紀少年』などで知られる浦沢直樹がリメイクした漫画を原作としたアニメです。
『PLUTO』のあらすじ
アトムを含め世界に7体ある最高性能のロボットを狙う正体不明の殺人犯が現われるところから物語は始まります。高性能のロボットのひとりであるゲジヒトの視点を主軸に、その事件の解明と犯人の正体を追っていきます。
秘密裏に開発したとされるプルートゥという最強のロボットの存在やさまざまな陰謀が明らかになっていき、ゲジヒトやアトムはその真相に迫っていく…というストーリーです。
『鉄腕アトム』を原案とするSFでありながら浦沢直樹の得意とする本格サスペンスストーリーが魅力です。
完璧なロボットとはなにか?という問い
この作品において特に印象に残ったのは、作中で繰り返し問われている「完璧なロボット(人工知能)とはなにか」という点です。
戦って一番強いものが完璧なのか、人間のような感情を持つことか、ミスをしないことか、あるいは時にミスをすることか、何をもって完璧なロボット、最高の人工知能といえるのか、と観ている自分にも問われているように感じました。
人を殺してしまったロボット、かつて戦争に身を投じもう戦いたくないと願うロボット、怒りと憎しみを持つロボット、涙を流すロボット。人の憎しみと愛に触れながら彼らは何を思うのか、造った人間と造られたロボット、そしてロボット同士のさまざまな関係を通して考えさせられます。
そしてそれは、技術が発達していく現在だからこそ、考える価値があると思えます。
このテーマはオリジナルである手塚治虫の「地上最強のロボット」から一貫して問われているものでもあります。ロボットがより遠い未来として想像された時代でありながら手塚治虫は、人間とロボットの共存や完璧なロボットというものを時に温かく、時に残酷に描いていました。
この『PLUTO』は、エンターテインメントでありがなら、非常に多くのことを考えさせられる作品だと感じます。また、サスペンスドラマとしても上質でどんどん先が観たくなりましたね。