「宇宙旅行に行くから飲み物用意しといて」と言われたら何にします? ビール? オロポ? お白湯? いやいや、コンブチャはどうでしょう?
コンブチャとは?
お砂糖に甘くしたお茶を酵母と菌で発酵させた飲み物。飲むと少し酸味があります。中国が起源とも言われているようですが、諸説あり。
海外の美&健康意識高そうなオシャスーパーに並んでいるイメージです。チアシードいりコンブチャドリンクがあるある。
でも、コンブチャがあるのはオシャスーパーだけじゃないんです。国際宇宙ステーション(ISS)にも持ち込まれています。
コンブチャの菌は生き残れるか?
コンブチャは宇宙飛行士の食糧としてISSに持ち込まれたわけではありません。コンブチャに住む菌は宇宙空間で生きていけるのか、欧州宇宙機関(ESA)が研究しています。
前述の通り、コンブチャは菌と酵母でつくる飲み物。ISS船外に、コンブチャの培養サンプルを保管し、宇宙の放射線と過酷な温度環境下にさらすという実験を実施。
サンプルを研究したところ、コンブチャにあるシアノバクテリアという微生物は、宇宙放射線に晒されたDNAを自ら修復する働きがあることがわかりました。
DNA修復後は、人間の肌やバクテリアバイオフィルムのような組織の再生に使う細胞分裂活動を再開。
(コンブチャの)培養物は、月や火星などに人類が長期滞在する大きなサポートとなる可能性があります。
そう語るのは、研究に携わるドイツ航空宇宙センターのPetra Rettberg氏。
ドリンクがバイオ工場に?
コンブチャの菌が、過酷な宇宙環境を生き抜ける可能性を持っていることから、これをバイオ工場として利用できないかと考えているそうです。
たとえば、火星に持っていっても、この微生物なら自立した生命維持システムを作り出していけるかもしれません。細胞集合やバイオフィルムが宇宙放射線から身を守ってくれれば、長期宇宙滞在において微生物を盾として活用できるかもしれません。
酸素を生成できることと宇宙工場としてのポテンシャルは、これからの人類の宇宙探査に大きな意味をもつ可能性があると、研究チームは期待を寄せています。
Source: ESA