微小重力の宇宙でも使えるエアコンを作るためにISSでデータ収集中

いつの日か人類が火星や月に移住したとき、エアコンって使われるんでしょうか?

地球で快適な室温を保つために使われる空調システム。これ、宇宙にも持っていけるのかな…。

国際宇宙ステーションでのデータ収集

8月頭にシグナス宇宙船に乗せて、Flow Boiling and Condensation Experiment (FBCE:対流沸謄凝縮実験)が国際宇宙ステーション(ISS)へと送られました。

FBCEはNASAのグレン研究センターとの11年もの共同研究で、実験を主導しているのはパデュー大学。微小重力環境が凝結という現象にどう影響するのかを調査します。

パデュー大学が開発した設備第1弾がISSに到着したのは、2021年8月のこと。そこから2年を経て、今回第2弾のモジュールを設置。計2つの設備が2025年までの間、ISSにて微小重力環境でのデータ収集を行ないます。

沸騰と凝縮

沸騰と凝縮は、暖房や換気など、地球の空調システムには必須です。

地球とは異なる重力環境でその働きを調査することで、流体物理学の疑問が解決されるだけでなく、未来の月・火星コロニーにおける空調システムの設計にも役立つかもしれません。

また、この実験での収集データによって、宇宙空間で低温液体を推進力としてどう利用するかという理解が深まれば、長時間フライトのための軌道上燃料補給に関する助けになる可能性もあります。

「地球の重力下での暖房・冷却システムの働きは、100年を超えて理解を深めてきました。しかし、重さのない環境においてはまだわからないことばかりです」

プレスリリースにてそう語ったのは、パデュー大学の機械工学教授Issam Mudawar氏。「小さな重力環境下で液体と沸騰に関する科学に幕引きするつもりで臨んでいます」と続けています。

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