こんにちは。編集部 石川です。
デイリーポータルZの記事は基本的に自分たちで写真を撮っています。僕のような何年撮ってても素人写真の人もいるけれども、中には技術も機材もめきめきグレードアップしていく人もいます。
今日はライター陣の中からカメラにこだわる4人をお迎えして、普段使っている機材について聞きました。全2回、1回目の今日は「取材用カメラ&カメラグッズ編」です。
※この記事はAmazonプライムデーセールに便乗したアフィリエイト企画です。ここからリンク先でお買い物していただくとサイト運営費の支えになります。何卒!
今回集まってくれたカメラ好きはこの4人。本人持参の撮影機材でご紹介します。(カッコ内が撮影機材名。一部カメラは2回目で紹介します)
安藤昌教(LEICA M10 + LIGHT LENS LAB M 35mm f/2)
カメラマンと中古カメラ店の店主、両方のキャリアを持つ強者。
伊藤健史(SONY α7Ⅲ+FE 100mm F2.8 STF GM)
全国を飛び回り良いカメラでハブを撮り続けている。
地主恵亮(SONY α7Ⅳ + FE 24-70mm F2.8 GM )
「カメラは仕事道具なので趣味のカメラはわかりません」と言っており逆に信頼できる。
JUNERAY(NIKON Z fc + 16-50 VR SL)
2年前まで写真をすべてiPhoneで撮っていたが、いまカメラ沼の淵に膝まで。
聞き手
石川大樹
カメラ初心者15年目(謙遜ではない)。
素人視点で質問していきます。
なお、対談風景の写真は素人の石川が撮っておりますのでご了承ください。カメラの物撮りだけ地主さん&伊藤さんによる撮影です。
JUNERAYさんの取材用カメラ
石川:キットレンズっていうのはカメラについてくるレンズってことですか?
JUNERAY:そうです。レンズ付きを買うとついてくるレンズ。
石川:18-140っていうのは?
安藤:それは焦点距離。①はズームレンズで18mm(広角)~140mm(望遠)までズームできるってことで、②の40mmは単焦点レンズ。ズームできないやつですね。そのあとのf値は明るさです。
石川:へー。
JUNERAY:私は初期の記事はすべてiPhoneのカメラで、iPhoneの写真ってiPhoneで見るとめちゃきれいなんです。でもすごいパリピ仕様で、昼間の風景とか海の写真はめっちゃきれいに撮れるんですけど、夜に部屋で茶色いごはん撮るとマジで最悪。
安藤:iPhoneは暗いところには弱いですよね。
JUNERAY:色がすごく茶色っぽくなるか緑っぽくなるかに寄っちゃう。だから最近はTwitterに載せる写真もこのカメラで撮ってます。
安藤:ニコンはなんとなく年配のカメラ好きが使ってるイメージあるからJUNERAYさんくらいの若者が選んで使ってるのはしびれます。
JUNERAY:いろんなお店を見て回って、ニコンが一番カメラギークっぽさを感じて。
地主:あー
JUNERAY:動画クリエイター用の低価格帯のカメラ出てるじゃないですか。ニコンってその路線でもキュートなガジェット感がなくて、その媚びなさがいいなと思って。
説明書もめちゃめちゃ分厚いのがついてくるし。(※購入当時。いまはオンライン化されて薄い)
安藤:わかる。一回も読んだことないですが。
JUNERAY:このカメラもかなりストイックな説明書を見ながら、いちいち細かく調べて読み進めながら実践しないと撮れない感じで、結果として早く習得できてよかったなあ(泣)…という意味で「初心者に優しい(ある意味で)」でした。
石川:思ってた「初心者に優しい」と違った!
石川:キットレンズの①はいわゆる普通のレンズだと思うんですけど、②って何に使うんですか?
JUNERAY:②の画角はテーブルフォトにすごくいいんです。マクロレンズですごく寄れるので、ケーキ作ってそのイチゴにだけめっちゃ寄ったり。おうちで使いやすい。
石川:「Micro(マイクロ)」ってマクロのことなんだ。
安藤:それはレンズの名前ですよね。古くはマイクロニッコールっていうレンズから来てるんだと思います。マクロが撮れることに違いはないですが。
②のレンズはすごいJUNERAYさんっぽいなと思いました。寄れるし、(背景が)ボケるし。
JUNERAY:私が撮るのって基本的に食べ物か植物なので、おうちで使う分にはすごくいいんです。
①だとそこまで寄れないから、おうちで使ってると「これ以上は壁だから引けない!」ってなったり。引くことで背景の余計なゴチャゴチャが写ってしまうこともあるし。そういうときにも②を使います。
安藤:最近、散らかっててもそのまま出すようにしてますよ。「もうありのままいこう!」って。
安藤さんの取材用カメラ
伊藤:これは名機。
安藤:デイリーライターの何人がこれ持ってるんだっていう。
石川:持ってる人挙手してもらえます?
安藤:ほかに平坂さん、玉置さん、きだてさん、林さん。ほんとみんなこれですね。
JUNERAY:なんでですか?
安藤:まず丈夫なんです。1mの高さから落としても壊れない。(カメラを見せて)これが実際に1mから落とした時の傷です。本体のダメージはこのくらい。レンズはもげましたが。
石川:もげたんだ(笑)
安藤:レンズも広角寄りで、だいたいの撮影はこれでいけます。
アタッチメントのレンズは魚眼で、これをつけると絵がコミカルになるんですよ。江ノ島くんとご飯食べてるときにも、このくらいまで寄れます。
安藤:むかし犬の鼻デカ写真ってあったじゃないですか、あれは魚眼レンズなんです。まんなかを強調してコミカルに撮れるから、僕はデイリーの写真でこれをけっこう使います。
地主:防水なのもいいんですよね。海入るときは絶対これ使います。
伊藤:防水ケースなしで水中いけるのがいい。単純に雨降ってるとき外で撮れるし。
地主:GPSもついてるし。マクロすごい寄れるんですよね。
安藤:顕微鏡モードがあって、顕微鏡並みに寄れるんですよ。虫の眼とかも撮れますよ。
石川:JUNERAYさん、スマホ見てるけど注文しようとしてます?(笑)
JUNERAY:値段見てるだけです!
伊藤さんの取材用カメラ
伊藤:取材で一番使ってるのは①。だいたいこれでいけます。
僕の記事はだいたい街歩きだったりヘビを撮ってるんですけど、引いても寄っても撮れるから構図が決めやすい。
石川:ハブが撮りやすい?
伊藤:ヘビってあっちこっち動くじゃないですか。特にハブは手で押さえたりするわけにはいかないから。
石川:噛まれたら一大事ですもんね。
伊藤:で、こういうのでズームでハブ撮ってると、単焦点でカリっと撮りたくなってくる欲望がわいてくるんです。つきあいのある昆虫写真家さんたちもみんなちゃんとしたマクロレンズ持ってるしと思って、②を買ったんです。
明るくてマクロなのでハマるとめちゃくちゃキレイなんですよ。蛇のうろこの感じとかも、こう、リアルで…。
石川:だいたいヘビを基準に組み立てられてますね。
JUNERAY:ヘビ用の機材構成。
伊藤:ただこっちもちょっとアップめなので、不便だったのが、蛇のここ(胸)から上しか撮れない…みたいな。
地主:蛇のバストアップって考えたことなかった。
伊藤:で、広角の単焦点を買おうと思って、40mmのを買おうとしたんです。ヤフオクで見つけて、落としたら…100mmが来たんです。それが③。
地主:(画角が)狭くなってる!
伊藤:見つけたとき「これはハブ撮るためのレンズだ!」って興奮して、間違えて隣の画像クリックしちゃったんでしょうね。癖のあるレンズが届きました。
JUNERAY:どう癖があるんですか?
伊藤:ボケをきれいにするために、レンズの周辺に向かって解像度を下げるためのフィルタが入ってるんです。そのせいでピント合わせに特殊な操作が必要で、動き回るヘビがめちゃくちゃ撮りにくい!
…ただ、写りがめちゃめちゃいいんです。うっとりするくらい。
安藤:写りがよければ苦労してもいいって思いますよねー
伊藤:あと、取材に行ったときに、地元の人に話しかけて聞き込みってけっこう勇気いるじゃないですか。こういうデカいレンズ持ってると、「あんた良いカメラ持ってるねー」って向こうから話しかけてくれるんですよ。
地主:めっちゃあります。わかる。
伊藤:これがすごくよくて。で、「ハブ撮ってるんです」って言うと「はっ?」てなって、そこから情報を引き出せるんです。トンネルの横の側道で見るよ、とか。ネットじゃわかんない情報が。
安藤:コミュニケーションツールとしてね。
地主:すべてはハブに行きつくんだ。
伊藤:本当に細かいローカルな情報は、デカいレンズを持つと得られる。
安藤:デカいとそうですよねー。機材好きな人はいますからね。
地主:アポ取って取材に行くときも、機材はデカければデカいほどいい気がしません?
伊藤:ちゃんとしてるんだって思われるから。
地主さんの取材用カメラ
石川:「安い!」って書いてますけど、だいぶいいお値段ですよこれ。
地主:高いけど、安い方なんですよ
安藤&伊藤:それはわかる。
地主:一個下のα7Cは、ゴツさがなくなるんですよ。取材先に説得力を持たせたいので、ゴツさが欲しいんですよ。
安藤:α7のシリーズは僕も初代のを持ってるけど、シリーズが進むにつれどんどん値上がっていって、もうみんな金銭感覚がマヒしたんですよ。マヒした状態でα7の中ではこれが一番安いから、この金額だったら妥当かなって思っちゃう。
地主:写りも良いんです。僕の場合はロケ物の撮影が多くて、いちいちレンズ変えてられないからズームレンズがいいんですよ。
明るい方がいいので①。広い絵が好きなので②。
石川:広い絵が撮りたいときに変える?
地主:そうです。あとオートフォーカスが早いのが売りなんです。ソニーは。
安藤:地主くん長らくパナソニックだったじゃん?
地主:動画は今もパナソニックなんですよ。写真はSONYです。これとiPadつないで、写真飛ばせるんですよ。カメラマン仕事の時はクライアントにiPadで確認してもらいながら、みたいな。
伊藤:どっちもG Master?すご。
石川:G Masterっていうのは?
地主:ソニーのレンズで一番ランクが上のやつです。明るさだったり、写り、解像感…。
伊藤:これハブ撮るのにいいっすよ~。24-70のG Masterは。
一同:(笑)
地主:GMasterなら、写りが悪くても「俺の機材のせいじゃないです」って言えるなと思って。どっちも通しでF2.8です。
JUNERAY:「通し」だとすごい?
地主:普通ズームしていくと暗くなっちゃうんですよね。「通し」っていうのは、ズームしても明るさが変わらない。
安藤:撮る範囲が狭まると入ってくる光の量も少なくなるじゃないですか。そこを屈折率の高いレンズを使ってなんとかしてるわけです。
地主:その代わり、重量は重くなることが多いですね。
安藤:レンズの真ん中しか使ってないんですよ。最大ズームしたときにやっとレンズ全体を使うようになるんじゃないですかね。だから重いし高い。
地主:価格についてはマヒしてるところもあると思うんですけど、買わないって選択肢はないんですよね。仕事だから。これが30万でも40万でも50万でも買うんです。「高いから買えない」とは言ってられない。
石川:機材がないと仕事ができないから
地主:だから高いけど、安い。
カメラグッズ編
伊藤:そのストラップについてるのなんですか?
JUNERAY:これ?これはレンズキャップをこう…
伊藤:おー!そういうのがあるんだ…!
地主:レンズキャップ、だいたい失くしますよ
JUNERAY:みんな失くす失くすって言うから買いました。
安藤:これは全員買った方がいいです。
伊藤:このストラップホルダーいいですよ。三脚とか使うときに、サクッと取り外しできるんです。
JUNERAY:これはめちゃくちゃいい
石川:ストラップ自体は?
地主:僕のストラップはハクバです。簡単に長さ変えられるから。山登るときとかピタッとくっつけておきたいので
石川:データはどうしてますか?
地主:SDカードに入れっぱなしです。消さないんですよ。どんどんSDカード買い足します。
安藤:僕もです。SDカードはフィルムと同じで使い切りだと思ってますね。
伊藤:僕はハードディスクとAmazonフォト。Amazonフォトは、圧縮しないでクラウドに無制限に保存できるのがめちゃくちゃよくて。
安藤:RAWでプレビューできるんですよね。あれはたしかに便利。
伊藤:めちゃめちゃ便利。
石川:Amazonフォトってプライムとは関係ないんですか?
伊藤:プライム入ってたら使えますよ
石川:そうなんだ!全然使ってなかった。使います。
JUNERAY:使お。
伊藤:いま40万枚くらい入ってて、ぜんぶ圧縮されないでとっておける。40万枚あると、Amazonに生殺与奪を握られてる感がすごいですけどね。来週から「月20万円です」って言われたら払うしかない。
明日に続く
というわけで、第1回「取材用カメラ&カメラグッズ編」でした!
第2回は明日公開です!おたのしみに。