東京電力福島第1原発から出た処理水の海洋放出をめぐり、韓国の最大野党「共に民主党」がなりふり構わぬ動きを見せている。韓国国会前で座り込んで断食したと思えば、議員団を日本に派遣して抗議活動をすることを決めた。
日韓関係が改善するなか、与党を批判することが狙いだ。ただ、こういったパフォーマンスには効果が見込めず、実際に2023年4月の訪日時には成果がなかったことが批判された。与党や保守系メディアからは冷ややかな視線が注がれている。
朝鮮日報「野党議員が韓国国会で断食したからといって…」
「共に民主党」では、当選1回の尹才鉀(ユン・ジェガプ)議員が6月20日に国会前に座り込んで断食を始め、6月26日に当選4回の禹元植(ウ・ウォンシク)議員が加わった。この日は、李在明(イ・ジェミョン)代表が現場を訪れて激励もした。
朝鮮日報は6月27日の記事で、このパフォーマンスの意義を疑問視した。過去には金泳三(キム・ヨンサム)元大統領が当時の全斗煥(チョン・ドゥファン)政権に抗議して断食し、勢力の結集に一役買ったこともあった。だが、記事では「今回の野党議員の断食は様々な意味で奇妙だ。断食によって得られるものがないからだ」と断じている。「野党議員が韓国国会で断食したからといって、日本政府が数年前から準備してきた汚染水(編注:韓国メディアでは処理水を「汚染水」と表記している)放流を止める可能性はない」からだ。
「どうしても断食をしなければならないなら、日本に渡り、首相官邸の前で断食する方が効果的だろう」
とまで書いている。この記事が影響したかは不明だが、尹議員は同日、「より大きな、長い戦いを準備する」として断食の打ち切りを表明した。
国際的な争点化も進めたい考えだ。太平洋諸国に書簡を送って処理水問題で連帯を訴えたのに続いて、9月に行われる国連総会で議題にするように求める動きを進めているが、与党からは「二重外交」だとして批判が出ている。