【Hothotレビュー】5万円ちょいのGeForce RTX 4060。RadeonやIntel Arcと比較してどう?

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GeForce RTX 4060

 6月29日22時より、NVIDIAの新たなミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」の販売が開始される。

 この発売に先立って、GeForce RTX 4060を搭載するビデオカードをテストする機会が得られたので、ベンチマークテストでその実力を確認してみた。

NVIDIA最新世代の最安モデルとなるGeForce RTX 4060をライブでも解説!

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 6月28日(水)22時より、GeForce RTX 4060の解説をライブ配信します。スペックや特徴の解説、気になるベンチマーク結果、そして実動デモをお届けする予定です。解説はKTU・加藤勝明氏、MCは改造バカ・高橋敏也氏です。

※ライブ終了後は即アーカイブの視聴が可能です

299ドルのミドルレンジGPU「GeForce RTX 4060」

 GeForce RTX 4060は、NVIDIA最新のAda Lovelaceアーキテクチャに基づいてTSMC 4Nプロセスで製造されたGPUコア「AD107」を採用するミドルレンジGPU。搭載ビデオカードの価格は299ドルからとされており、GeForce RTX 40シリーズの中でもっとも安価な製品だ。

 GeForce RTX 4060のAD107コアでは、24基のSMが有効化されており、3,072基のCUDAコアや24基のRTコア、96基のTensorコアなどが利用できる。また、メディアエンジンにはAV1エンコードに対応する第8世代NVENCを1基備えている。

 VRAMには17Gbps動作のGDDR6メモリを8GB搭載しており、GPUコアと128bitのメモリインターフェイスで接続することで272GB/sのメモリ帯域幅を実現。GPUが備える24MBのL2キャッシュとの組み合わせにより、実効メモリ帯域幅は453GB/sであるとされている。バスインターフェイスはPCIe 4.0対応で、消費電力指標のTGPは115W。

【表1】GeForce RTX 4060の主な仕様
GPU GeForce RTX 4060 GeForce RTX 4060 Ti (8GB)
アーキテクチャ Ada Lovelace (AD107) Ada Lovelace (AD106)
製造プロセス TSMC 4N TSMC 4N
SM 24基 34基
CUDAコア 3,072基 4,352基
RTコア 24基 (第3世代) 34基 (第3世代)
Tensorコア 96基 (第4世代) 136基 (第4世代)
テクスチャユニット 96基 136基
ROPユニット 48基 48基
ベースクロック 1,830MHz 2,310MHz
ブーストクロック 2,460MHz 2,535MHz
L2キャッシュ 24MB 32MB
メモリ容量 8GB (GDDR6) 8GB (GDDR6)
メモリスピード 17Gbps 18Gbps
メモリインターフェイス 128bit 128bit
メモリ帯域幅 272GB/s 288GB/s
実効メモリ帯域幅 453GB/s 554GB/s
NVENC 第8世代×1基 第8世代×1基
PCI Express PCIe 4.0 PCIe 4.0
消費電力 (TGP) 115W 160W
実売予想価格 299ドル 399ドル

比較用GPUとテスト環境

 GeForce RTX 4060の比較相手には、前世代のミドルレンジGPUである「GeForce RTX 3060(12GB)」のほか、上位モデルの「GeForce RTX 4060(8GB)」、AMD最新のミドルレンジGPU「Radeon RX 7600」、Intelの「Arc A770(16GB)」を用意した。

 各ビデオカードのテスト時動作仕様は以下の通り。グラフィックスドライバについては、GeForce RTX 4060がレビュアー向けの「536.20」で、そのほかのNVIDIA製GPUではテスト時点での最新版である「536.23」を利用している。

【表2】各ビデオカードの動作仕様
GPU GeForce RTX 4060 GeForce RTX 3060 GeForce RTX 4060 Ti Radeon RX 7600 Arc A770
ビデオカードベンダー MSI ZOTAC NVIDIA AMD Intel
製品型番 GeForce RTX 4060 VENTUS 2X BLACK 8G OC ZT-A30600H-10M Founders Edition リファレンスモデル Limited Edition
ベースクロック 1,830MHz 1,320MHz 2,310MHz 1,720MHz 2,100MHz
ゲームクロック 2,250MHz
ブーストクロック 2,490MHz 1,807MHz 2,535MHz 2,655MHz
メモリ容量 8GB (GDDR6) 12GB (GDDR6) 8GB (GDDR6) 8GB (GDDR6) 16GB (GDDR6)
メモリスピード 17Gbps 15Gbps 18Gbps 18Gbps 17.5Gbps
メモリインターフェイス 128bit 192bit 128bit 128bit 256bit
メモリ帯域幅 272GB/s 360GB/s 288GB/s 288GB/s 560GB/s
PCI Express PCIe 4.0 x8 PCIe 4.0 x16 PCIe 4.0 x8 PCIe 4.0 x8 PCIe 4.0 x16
Power Limit 115W 170W 160W PL1=PL2=190W
GPU PPT(持続/短時間) 130W/156W
温度リミット 83℃ 83℃ 83℃ 105℃(Hotspot) 90℃
Resizable BAR 有効 有効 有効 有効 有効
GPUドライバ GRD 536.20 (31.0.15.3620) GRD 536.23 (31.0.15.3623) GRD 536.23 (31.0.15.3623) Adrenaline 23.5.1 (31.0.21001.16014) 31.0.101.4369

 各ビデオカードを搭載するベース機材には、Ryzen 7 7800X3Dを搭載したAMD X670E環境を用意した。

 そのほかの機材や条件については以下の通り。

【表3】テスト機材
CPU Ryzen 7 7800X3D (8コア/16スレッド)
CPUリミット設定 PPT=162W、TDC=120A、EDC=180A、TjMax=89℃
CPUクーラー ADATA XPG LEVANTE 360 ARGB (ファンスピード=100%)
マザーボード ASUS TUF GAMING X670E-PLUS [UEFI=1618]
メモリ DDR5-5200 16GB×2 (2ch、42-42-42-84、1.1V)
システム用SSD Samsung SSD 980 PRO 500GB (NVMe SSD/PCIe 4.0 x4)
アプリケーション用SSD CFD CSSD-M2B2TPG3VNF 2TB (NVMe SSD/USB 10Gbps)
電源 玄人志向 KRPW-PA1200W/92+ (1,200W/80PLUS Platinum)
OS Windows 11 Pro 22H2 (build 22621.1848、VBS有効)
電源プラン バランス
計測 HWiNFO64 Pro v7.46、ラトックシステム RS-BTWATTCH2
室温 約25℃

ベンチマーク結果

 今回実施したベンチマークテストは、「3DMark」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「BLUE PROTOCOL ベンチマーク」、「サイバーパンク2077」、「Microsoft Flight Simulator」、「Forza Horizon 5」、「フォートナイト」、「エーペックスレジェンズ」、「オーバーウォッチ 2」、「モンスターハンターライズ:サンブレイク」、「エルデンリング」、「Blender Benchmark」、「UL Procyon」。

3DMark「Speed Way」

 3DMarkのDirectX 12高負荷テストであるSpeed Wayでは、GeForce RTX 4060が全体2番手となるスコア「2,526」を記録。GeForce RTX 4060 Tiを約21%下回る一方で、GeForce RTX 3060を約19%、Radeon RX 7600を約29%、Arc A770を約5%上回った。

【グラフ01】3DMark v2.26.8113「Speed Way」

3DMark「Port Royal」

 3DMarkのDirectX Raytracing(DXR)テスト「Port Royal」では、GeForce RTX 4060が全体3番手となるスコア「5,971」を記録。GeForce RTX 4060 Tiを約26%、Arc A770を約15%下回る一方で、GeForce RTX 3060を約20%、Radeon RX 7600を約8%上回った。

【グラフ02】3DMark v2.26.8113「Port Royal」

3DMark「Time Spy」

 3DMarkのDirectX 12テストであるTime Spyでは、標準テストのTime Spyと、高負荷版のTime Spy Extremeを実行した。

 GeForce RTX 4060のスコアは5製品中4番手で、GeForce RTX 4060 Tiを18~20%、Radeon RX 7600を3~4%、Arc A770を19~20%下回り、GeForce RTX 3060を約21%上回った。

【グラフ03】3DMark v2.26.8113「Time Spy」

【グラフ04】3DMark v2.26.8113「Time Spy Extreme」

3DMark「Fire Strike」

 3DMarkのDirectX 11テスト「Fire Strike」では、標準テストのFire Strikeのほか、高負荷版のFire Strike ExtremeとFire Strike Ultraを実行した。

 GeForce RTX 4060のスコアは5製品中4番手で、GeForce RTX 4060 Tiを16~21%、Radeon RX 7600を9~19%、Arc A770を16~18%下回り、GeForce RTX 3060を16~25%上回った。

【グラフ05】3DMark v2.26.8113「Fire Strike」

【グラフ06】3DMark v2.26.8113「Fire Strike Extreme」

【グラフ07】3DMark v2.26.8113「Fire Strike Ultra」

3DMark「Wild Life」

 3DMarkのVulkanテストである「Wild Life」では、標準テストのWild Lifeと、高負荷版のWild Life Extremeを実行した。

 GeForce RTX 4060のスコアは、Wild LifeでRadeon RX 7600を約5%下回って全体4番手となっている一方、Wild Life Extremeでは逆にRadeon RX 7600を約9%上回って全体3番手に位置している。そのほかのGPUとの比較では、GeForce RTX 4060 Tiを20~21%、Arc A770を21~28%下回り、GeForce RTX 3060を19~26%上回った。

【グラフ08】3DMark v2.26.8113「Wild Life/Wild Life Extreme」

3DMark「DirectX Raytracing feature test」

 3DMarkの「DirectX Raytracing feature test」は、DXRによるリアルタイムレイトレーシング性能の計測に特化したテストだ。

 26.64fpsを記録したGeForce RTX 4060は全体3番手に位置しており、GeForce RTX 4060 Tiを約30%、Arc A770を約19%下回る一方で、GeForce RTX 3060を約42%、Radeon RX 7600を約37%上回った。

【グラフ09】3DMark v2.26.8113「DirectX Raytracing feature test」

3DMark「PCI Express feature test」

 3DMark「PCI Express feature test」は、バスインターフェイスの帯域幅を計測するテスト。

 今回テストしたビデオカードはいずれもバスインターフェイスにPCIe 4.0を採用しているが、レーン数についてはGeForce RTX 3060とArc A770が16レーンで、GeForce RTX 4060などその他のGPUは8レーン接続となっている。

 テスト結果は各ビデオカードのレーン数に応じたものとなっており、PCIe 4.0 x8接続のビデオカードはGeForce RTX 4060とGeForce RTX 4060 Tiが「13.40GB/s」で、Radeon RX 7600は「14.33GB/s」。PCIe 4.0 x16接続のGeForce RTX 3060が「26.86GB/s」、Arc A770は「22.57GB/s」だった。

【グラフ10】3DMark v2.26.8113「PCI Express feature test」

ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク

 ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、描画品質を「最高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060のスコアは、フルHDでArc A770を約12%上回って全体2番手となっている一方、WQHD以上では逆にArc A770を2~8%下回って全体3番手となっている。その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 4060 Tiを12~16%下回り、GeForce RTX 3060を11~18%、Radeon RX 7600を5~14%上回った。

【グラフ11】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「スコア」

【グラフ12】ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク「平均フレームレート」

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマークでは、画質プリセットを「高品質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060のスコアは全体2番手で、GeForce RTX 4060 Tiを15~19%下回り、GeForce RTX 3060を13~14%、Radeon RX 7600を3~14%、Arc A770を25~71%上回った。

【グラフ13】FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク v1.3

BLUE PROTOCOL ベンチマーク

 BLUE PROTOCOL ベンチマークでは、画質プリセットを「最高画質」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度をテストした。

 GeForce RTX 4060のスコアは全体2番手で、GeForce RTX 4060 Tiを18~20%下回り、GeForce RTX 3060を13~14%、Radeon RX 7600を3~14%、Arc A770を25~71%上回った。

【グラフ14】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「スコア」

【グラフ15】BLUE PROTOCOL ベンチマーク「平均フレームレート」

サイバーパンク2077

 サイバーパンク2077では、グラフィックスプリセット「レイトレーシング:ウルトラ」をベースに、超解像技術の無効時と有効時のパフォーマンスをベンチマークモードで計測した。なお、GeForce RTX 40シリーズはDLSS利用時にフレーム生成を有効化している。

 GeForce RTX 4060のフルHDでの結果に注目すると、超解像オフでの平均フレームレートが「32.26fps」となっている一方、DLSSによる超解像とフレーム生成を有効化すると「97.53fps」まで大きく向上している。これは同条件でGeForce RTX 4060 Tiが記録した120.47fpsに次ぐ数値で、DLSS 3にフル対応したことの優位性を示す結果だ。

 WQHDでもDLSS 3の機能を活用することで全体2番手となるフレームレートを記録したGeForce RTX 4060だが、その数値は平均56.81fpsと60fpsを割り込んでいる。4KについてはDLSS 3の利用でGeForce RTX 4060が全体ベストを記録しているが、この設定ではVRAM容量8GB以下のGPUはメモリ不足によってフレームレートが不安定になっており、GPUの性能を正しく反映した結果になっていない。

【グラフ16】サイバーパンク2077 (v1.63)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ17】サイバーパンク2077 (v1.63)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ18】サイバーパンク2077 (v1.63)「4K (3,840×2,160ドット)」

Microsoft Flight Simulator

 Microsoft Flight Simulatorでは、画質プリセットを「ウルトラ」に設定して、超解像度技術の無効時と有効時のパフォーマンスを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」で、GeForce RTX 40シリーズについてはDLSS有効時にフレーム生成を有効にしている。

 フルHDの結果に注目すると、GeForce RTX 4060は超解像無効時(TAA)に「53.2fps」を記録して全体2番手となっており、DLSS 3を有効化することでフレームレートは「104.9fps」にまで上昇している。一方、AMDの超解像技術であるFSRを有効にすると、GeForce RTX 4060はメモリ不足が生じたような挙動となってフレームレートは逆に「40.3fps」に低下し、比較製品中最下位となっている。

 WQHD以上の設定では、VRAM 8GBモデルはメモリ容量不足によるフレームレートの低下が生じている。GeForce RTX 4060はDLSS 3を有効化することで全体2番手の平均フレームレートを記録してはいるものの、安定したパフォーマンスを期待するのであれば、フルHD以下でプレイするか、グラフィックス設定を調整してVRAM使用量を減らす必要がある。

【グラフ19】Microsoft Flight Simulator (v1.33.8.0)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ20】Microsoft Flight Simulator (v1.33.8.0)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ21】Microsoft Flight Simulator (v1.33.8.0)「4K (3,840×2,160ドット)」

Forza Horizon 5

 Forza Horizon 5では、画質プリセットを「エクストリーム」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でゲーム内ベンチマークモードを実行した。

 GeForce RTX 4060の平均フレームレートは、4KでArc A770を約2%下回って全体3番手となっているものの、WQHD以下では逆に14~20%上回って全体2番手となっている。その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 4060 Tiを13~15%下回り、GeForce RTX 3060を18~31%、Radeon RX 7600を11~17%上回った。

【グラフ22】Forza Horizon 5 (v1.594.508.0.HV)

フォートナイト

 フォートナイトでは、グラフィックスプリセット「最高」をベースに、アンチエイリアスを「TSR最高」にした場合や、NaniteとLumen(およびハードウェアレイトレーシング)を有効にした設定でフレームレートを計測した。テスト時のグラフィックスAPIは「DirectX 12」。

 アンチエイリアス「TAA」でNanite/Lumen無効時のGeForce RTX 4060は全体2番手のフレームレートを記録しており、GeForce RTX 4060 Tiを18~25%下回る一方で、GeForce RTX 3060を6~23%、Radeon RX 7600を7~13%、Arc A770を7~22%上回った。

 Nanite/Lumenを無効にしたまま、アンチエイリアスを超解像の「TSR最高」に設定した場合でも、GeForce RTX 4060のフレームレートは全体2番手を記録。GeForce RTX 4060 Tiを20~25%下回る一方で、GeForce RTX 3060を21~25%、Radeon RX 7600を6~11%、Arc A770を16~26%上回った。

 アンチエイリアス「TSR最高」でNanite/Lumenを有効にした場合でも、GeForce RTX 4060のフレームレートは全体2番手で、GeForce RTX 4060 Tiを18~22%下回り、GeForce RTX 3060を16~20%、Radeon RX 7600を17~42%、Arc A770を17~38%上回った。

【グラフ23】フォートナイト (v25.10)「フルHD (1,920×1,080ドット)」

【グラフ24】フォートナイト (v25.10)「WQHD (2,560×1,440ドット)」

【グラフ25】フォートナイト (v25.10)「4K (3,840×2,160ドット)」

エーペックスレジェンズ

 エーペックスレジェンズでは、描画設定を可能な限り高く設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度でフレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは300fps。

 GeForce RTX 4060の平均フレームレートは、4KでArc A770を約7%下回って全体3番手となっているものの、WQHD以下では逆に2~5%上回って全体2番手となっている。その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 4060 Tiを17~22%下回り、GeForce RTX 3060を18~24%、Radeon RX 7600を0.4~6%上回った。

【グラフ26】エーペックスレジェンズ (v3.0.35.21)

オーバーウォッチ 2

 オーバーウォッチ 2では、グラフィックスプリセットを最高の「エピック」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。テスト時の上限フレームレートは600fps。

 GeForce RTX 4060はRadeon RX 7600とかなり近いフレームレートを記録しており、計測の都合上ある程度の誤差が生じるオーバーウォッチ 2についてはほぼ同等と言って差し支えない結果だ。また、フルHDではArc A770を約3%上回ったが、WQHD以上では逆にArc A770を8~12%下回っている。

 その他のGPUとの比較では、GeForce RTX 4060 Tiを18~23%下回り、GeForce RTX 3060を11~22%上回った。

【グラフ27】オーバーウォッチ 2 (v2.5.0.0.113652)

モンスターハンターライズ:サンブレイク

 モンスターハンターライズ:サンブレイクでは、画質プリセットを「高」に設定して、フルHD~4Kまでの画面解像度で平均フレームレートを計測した。

 WQHD以下でのGeForce RTX 4060は、全体2番手のフレームレートを記録。GeForce RTX 4060 Tiを15~16%下回り、GeForce RTX 3060を9~13%、Radeon RX 7600を2~5%、Arc A770を1~9%上回った。

 一方、4KでのGeForce RTX 4060は「55.9fps」で全体4番手となっており、GeForce RTX 4060 Tiを約15%、Radeon RX 7600を約0.4%、Arc A770を約8%下回り、GeForce RTX 3060を約6%上回った。

【グラフ28】モンスターハンターライズ:サンブレイク (v16.0.0.0)

エルデンリング

 エルデンリングでは、画質プリセット「最高」をベースに、レイトレーシング無効時と有効時の平均フレームレートをフルHD~4Kまでの画面解像度で計測した。ゲームの上限フレームレートは60fpsで、自動描画調整は無効にしている。

 レイトレーシング無効時のGeForce RTX 4060は、フルHDで上限の60fpsを維持できているものの、WQHD以上では60fpsを割り込んで全体4番手のフレームレートとなっている。WQHD以上ではGeForce RTX 4060 Tiを8~10%、Radeon RX 7600を8~4%、Arc A770を8~14%下回り、GeForce RTX 3060を15~19%上回った。

 レイトレーシングを「最高」設定で有効にした場合、GeForce RTX 4060はフルHDで全体3番手のフレームレートを記録している。WQHD以上になるとフレームレートの安定感が失われはじめ、4KではGeForce RTX 3060を下回ってしまっている。もっとも、4KではどのGPUも30fpsを割り込んでおり、まともにプレイできないという意味では横並びであるとも言える。

【グラフ29】エルデンリング (v1.09.1)「レイトレーシング無効」

【グラフ30】エルデンリング (v1.09.1)「レイトレーシング有効」

Blender Benchmark

 Blender Benchmarkでは、標準で用意されている3つのシーン(monster、Junkshop、classroom)をテストした。テストに用いたBlenderのバージョンは「3.5.0」。

 GeForce RTX 4060のパフォーマンスは全体2番手で、GeForce RTX 4060 Tiを17~20%下回り、GeForce RTX 3060を21~53%、Radeon RX 7600を155~181%、Arc A770を99~141%上回った。

【グラフ31】Blender Benchmark 3.1.0 (Blender v3.5.0)

UL Procyon「AI Inference Benchmark for Windows」

 AI性能を計測するUL Procyonの「AI Inference Benchmark for Windows」では、Precisionの設定を「float32」と「integer」に設定したさいのスコアをそれぞれ計測した。

 GeForce RTX 4060のスコアは全体2番手で、GeForce RTX 4060 Tiを21~22%下回り、GeForce RTX 3060を17~21%、Radeon RX 7600を8~52%、Arc A770を29~42%上回った。

【グラフ32】UL Procyon v2.5.798「AI Inference Benchmark for Windows」

システムの消費電力とワットパフォーマンス

 ワットチェッカーを使ってシステムの消費電力を測定し、アイドル時の最小消費電力と、ベンチマーク実行中の平均消費電力および最大消費電力をグラフ化した。

 なお、比較用GPUの1つであるArc A770が低消費電力モードに入るためには、PCIeのASPMを有効化した上で、Windowsの電源オプションにてPCI Express:リンク状態の電源管理を「最大限の省電力」にする必要がある。このため、今回は同設定を標準の「適切な省電力」と「最大限の省電力」に設定した場合の2パターンでアイドル時消費電力を計測している。

 GeForce RTX 4060のアイドル時消費電力については、適切な省電力で84.8W、最大限の省電力で82.4Wだった。これは比較製品中2番目に高い数値だが、GeForce系GPUは80W前後なので特におかしな結果ではない。なお、GeForce系GPUはPCIe省電力設定の影響が少ないが、Radeon RX 7600は約9W、Arc A770が30W以上もアイドル時消費電力が低下している。

 ベンチマーク実行中の平均消費電力に関しては、209.4~225.0Wを記録したGeForce RTX 4060搭載システムが、全てのテストで最小の消費電力となっている。TGP=115WのGeForce RTX 4060が、順当にその省電力性を示した結果だ。

【グラフ33】3DMark実行中とアイドル時のシステムの消費電力 (平均/最大)

【グラフ34】ゲームテスト実行中のシステムの消費電力 (平均/最大)

 ベンチマーク実行中のシステム平均消費電力で、ベンチマークスコアや平均フレームレートを割ることによって「ワットパフォーマンス」を算出した。また、GeForce RTX 3060搭載システムのワットパフォーマンスを基準に指数化したグラフも用意している。

 GeForce RTX 4060搭載システムのワットパフォーマンスは、GeForce RTX 3060搭載システムを38~55%も上回っており、全体ではGeForce RTX 4060 Ti搭載システムに次ぐ電力効率を実現している。システムの消費電力に占めるGPU消費電力の割合がGeForce RTX 4060 Tiより少ないことを考えると、GeForce RTX 4060自体の電力効率は相当に優秀なものであることが伺える。

【グラフ35】各GPU搭載システムのワットパフォーマンス(スコア/平均消費電力)

【グラフ36】GeForce RTX 3060 搭載システムのワットパフォーマンスを100%とした場合

ベンチマーク実行中のモニタリングデータ

 モニタリングソフトのHWiNFO64 Pro v7.46を使って取得した、FINAL FANTASY XVベンチマーク(4K/高品質)実行中のモニタリングデータをまとめてみた。なお、GPUの温度と消費電力については、動作リミットの対象となるパラメーターをまとめているため、異なるメーカー間での比較はできない点に注意してほしい。

 GeForce RTX 4060のGPU温度は最大68.1℃(平均66.1℃)で、温度リミットの83℃には十分な余裕がある状態をキープしている。一方、GPU消費電力は最大117.4W(平均114.1W)を記録しており、電力リミットである115Wをフルに使って動作している様子が伺える。

 テスト実行中のGPUクロックは平均2,680MHzとなっており、ブーストクロックの2,490MHzを上回るブースト状態を維持している。メモリクロックは常に2,125MHz(約17Gbps)で一定で、こちらは電力や温度などによるスロットリングは生じていないようだ。

省電力性にも優れたフルHDゲーミング向けミドルレンジGPU

 ミドルレンジGPUであるGeForce RTX 4060は、フルHD解像度でのゲーミング性能にフォーカスした製品であり、フルHDであればDLSS 3なしでもGeForce RTX 3060 12GBに明確な差をつけて上回った。8GBというVRAM容量は必ずしも十分と言えるものではないが、フルHDであればグラフィックス設定を多少調整するだけで対応できる場合が多いはずだ。

 また、省電力性もGeForce RTX 4060の魅力だ。単に電力効率が高いだけでなく、TGPが115Wに抑えられているためシステム全体の消費電力を抑えることができる。これは単に電気代を削減できるだけでなく、電源ユニットのコストを削減できたり、発熱量の小ささからPCの冷却がより容易になるというメリットもある。

 299ドルでGeForce RTX 3060を上回る性能と省電力性を兼ね備えたGeForce RTX 4060は、新たにゲーミングPCを構築したいユーザーや、GeForce GTX 16/10シリーズからのアップグレードを狙うユーザーにとって注目のミドルレンジとなり得るGPUだ。折しも円安が進んでいるため国内での販売価格に不安はあるが、コストパフォーマンスという面でも魅力ある選択肢となることを期待したい。

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