「にっぽん縦断こころ旅」のように、自転車でゆっくりと旅をしてみたい。
しかし時間や手間など、実際にやるのは大変である。
そこで、誰にでも簡単にこころ旅のような旅ができる方法を思いついたので報告したい。
にっぽん縦断こころ旅とは
「にっぽん縦断こころ旅」とは、NHK BSプレミアムで放送中の旅番組である。
俳優の火野正平さんが旅人となって、人々の思い出の場所に自転車で訪れるのだ。
番組では、まず火野さんが視聴者から寄せられた「心の風景」の手紙を朗読。
そしてチャリオと名付けられた自転車でその地を訪れ、書かれた風景をみながらまた同じ手紙を朗読するという流れである。
途中の景色や、人々と出会いなどが、火野正平さんの魅力とともに伝わって来る癒し番組なのである。
レンタサイクルと、自分宛の手紙
心の旅と言えば自転車であるが、僕は自転車を持っていない。
そこでレンタサイクルを借りることにする。
次に心の風景が書かれた手紙はどうするか?
誰かに書いてもらうのは大変だ。
そこで、自分で心の風景の手紙を書くことにする。
レンタサイクルで自分宛の手紙、これなら誰でも簡単にこころ旅ができるのだ。
まずは番組通り手紙を読むところからはじめよう。
私の心の風景は、新潟県の関谷浜です。
私は3年ほど前、デイリーポータルZのライターになるため、ライターへの登竜門である投稿コーナーに投稿しておりました。
毎週公開されるそのコーナーは、入選を5回果たすとゲスト執筆の機会を与えられるというものです。
私は記事を投稿した週は、心を落ち着けるため、いつも関谷浜で海を眺めながら祈るような気持ちで結果をみていました。
しかし半年間に渡って投稿を続けましたが、記事は掲載されるものの力及ばず入選は一度だけという状況。
これではゲスト執筆までに何年かかるのかと不安になっておりました。
自分には才能がないのかもしれない。この海を見ながらそう思いました。
もう次で、投稿は最後にしよう、それで入選しなければライターになる夢は諦めよう。
だから最後の記事にふさわしい記事を書こうと決め、気合を入れて記事を作成。
自分でも納得の行く記事ができあがり自信満々で投稿。
最後になるかもしれない結果発表も関谷浜で待ちました。
しかし、結果は入選どろこか掲載もなし。
これで自分には才能がないことがはっきりした。
それまで禁酒をしていましたが、心が乱れ、今日ぐらいは酒を飲んで憂さ晴らしをしようとスーパーへ行き、安物のウイスキーを買い物かごにいれました。
その瞬間です。デイリーポータルZの編集部から「今回の記事は素晴らしいので、投稿コーナーではなく通常の記事として、
そのまま掲載したい」というメールが届きました。
私は慌ててウイスキーを棚に戻し、代わりにぼた餅を購入。
この浜に引き返し、海を見ながら食べたぼた餅の味が今でも忘れられません。
一度よかったら、私の心の風景を見に、新潟県の関谷浜へお越しいただけませんか?
以上である。
それでは自転車でセルフこころ旅に出かけよう。
出発
目的地の関谷浜までレンタサイクルで向かう。
関谷浜までおよそ6キロの旅に出発だ。
学校の横を通り過ぎる。
今年の四月から自転車のヘルメット着用は義務付けられているが、今から30年も昔の高校時代、近隣では私の通う高校だけ学校指定の白くてでっかいヘルメットの着用が義務付けられていた。
当時、学校から離れるとノーヘルになる生徒が多いので、それを取り締まるように体育教師たちが物陰に隠れて見張っていたことを思い出した。
だからこうして学校の横を走っていると、今にも竹刀を振りかざした体育教師たちが群れを成して飛び出してきそうな感覚をおぼえておかしかった。