2021年に開かれた東京五輪・パラリンピックのマスコットキャラクター「ミライトワ」「ソメイティ」を描いた飛行機が、遠く離れたアフリカ・ナイジェリアで姿を見せ、日本の航空ファンを驚かせている。
元々は日本航空(JAL)が19年4月、20年夏の大会を見越して国内線向けに就航させた特別塗装機「みんなのJAL2020ジェット」1号機(ボーイング777-200型機)だ。大会はコロナ禍で21年夏に延期される一方で、飛行機は同型機のエンジントラブルの影響で21年に運航停止になっていた。事実上の「お蔵入り」状態のまま国外に売却され、久々に日の目を見ることになった。
同型機のエンジン不具合で運航停止→そのまま退役
飛行機は、JALが07年に日本籍の「JA773J」として導入。19年にオリパラ塗装に衣替えしたが、同型機が使用しているエンジンが日米で不具合を起こし、国土交通省が21年2月に運航停止を指示していた。この時点で羽田-那覇便を運航中だったため、那覇空港に足止めされる状態が続いた。当時の運航停止の対象はJALが13機。JALは21年3月末までに13機を退役させたため、オリパラ期間中にJA773Jが日本の空を飛ぶことはなかった。
この間、JA773Jは米国企業への売却が決まり、21年12月に中部空港とハワイ・ホノルル空港を経て米国に渡っていた。名前も米国籍の「N808KW」に変わり、「飛行機の墓場」として知られるビクタービル空港(カリフォルニア州)などで保管されている写真が航空ファン向けのウェブサイトに投稿されるなどしていた。
新たな動きが確認されたのは23年6月12日朝(日本時間)。ナイジェリア北西部、カノ州を拠点にする航空会社「マックス・エア」が、初めてボーイング777-200型機を導入したことをアピールするツイートを動画つきで投稿した。動画に映った機体は、垂直尾翼にあった「鶴丸」のJALロゴや、機体に大きく描かれた「TOKYO 2020」の文字は白く塗りつぶされたものの、文字の下にあった東京の街並みを描いたイラストや、「ミライトワ」「ソメイティ」は残っている。機体前部にはマックス・エアのロゴも書き加えられた。
現在のナイジェリア籍の名前は「5N-BBN」。航空機の位置を表示するウェブサイト「フライトレーダー24」によると、6月11日に米国を出発し、モロッコのカサブランカなどを経て12日にナイジェリアに着いた。
マックス・エアのツイートでは「より充実した機能と、さらに優れた乗客体験のためのエキサイティングな時代への扉を開いた」などとアピール。コメント欄には、キャラクターが残っていることに驚く日本語の声が相次いで寄せられている。
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)