ワインを作る工程では、ワインに異臭が生じないように細心の注意が払われます。新たに、オーストラリアワイン研究所の研究チームによって「金ナノ粒子を用いて異臭の原因となる物質を除去する技術」が開発されました。
Surface nanoengineering technology for the removal of sulfur compounds associated with negative attributes in wines | npj Science of Food
https://doi.org/10.1038/s41538-023-00180-8
Nano tech for better wine – News
https://news.flinders.edu.au/blog/2023/05/16/nano-tech-for-better-wine/
Adding a Touch of Gold to Our Wine Could Make For a More Pleasant Drop : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/adding-a-touch-of-gold-to-our-wine-could-make-for-a-more-pleasant-drop
低品質のワインからは「焦げたゴム」「腐った卵」と形容される異臭が感じられることがあります。研究チームによると、ワインから漂う異臭は硫化水素やメタンチオール、エタンチオールといった揮発性硫黄化合物に起因しており、ワインの欠陥のうち30%は揮発性硫黄化合物の異臭が原因とのこと。
揮発性硫黄化合物を除去するためにワインに銅を投入する方法が用いられることもありますが、ワイン内に銅が多く残留していると人体に悪影響を及ぼしてしまいます。そこで、研究チームは人体に無害な揮発性硫黄化合物除去法として金ナノ粒子を活用できないか確かめることにしました。
研究チームはフィラメントの表面を金ナノ粒子でコーティングし、白ワインと赤ワインに投入しました。24時間後にフィラメントを取り出して各種成分を分析した結果、フィラメントを投入したワインでは硫化水素の量が大きく減少することが判明。さらに、「ベリーの香り」「グレープフルーツの香り」などの好印象な香りを生み出す成分がワインに残留し続けることも明らかになりました。
研究チームによると、金ナノ粒子コーティング技術は「ろ過装置」「保存容器」などワインの生産に関わる多くの器具に適用可能できる可能性があるとのこと。研究チームの一員であるKrasimir Vasilev氏は金ナノ粒子による異臭物質の除去法を「ワイン造りを改善する画期的な技術」と表現しています。
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