「Google Chrome 114」安定版リリース、テキストのきれいな折り返しやポップオーバーなどウェブ開発を助ける要素が多数盛り込まれる

GIGAZINE



ウェブブラウザ「Google Chrome」の最新安定版であるバージョン114.0.5735.91がリリースされました。テキストをきれいに折り返せるCSSプロパティや、特定の要素を最前面に表示するポップオーバーなどの機能が追加されています。

New in Chrome 114 – Chrome Developers
https://developer.chrome.com/blog/new-in-chrome-114/

New in Chrome 114: text-wrap:balance, CHIPS, Popover API and more! – YouTube
[embedded content]

◆テキストを美しく折り返すことが可能に
CSSのプロパティに「text-wrap」が新規で追加されました。text-wrapの値に「balance」を指定することでテキストをできるだけ均等な幅になるように折り返すようになります。


折り返すのに最適な位置を見つけるには計算コストがかかるため、テキストが4行を超えた場合は動作しなくなるとのこと。

◆Cookieの属性に「Partitioned」が追加される
サードパーティーCookieは2024年後半を目安に段階的に廃止される予定ですが、2023年5月の時点ではまだサイト間で同じCookieを共有することが可能になっています。

例えば下図のようにAというサイトとBというサイトで同じCというサイトのコンテンツを埋め込んでいた場合、CはCookie情報をもとに同一のユーザーがAとBの両方のサイトにアクセスしていたことが分かってしまいます。こうしてプライバシーが侵害されてしまうため、サードパーティーCookieは廃止される予定になっています。


同じ「埋め込み」でも、ウィジェットを埋め込む場合の設定の保存など、プライバシーを侵害しない形でサードパーティーCookieを活用したくなる場面があります。Chrome 114から追加される「Partitioned」属性を利用すると、サードパーティーCookieを引き続き利用可能とのこと。ただし、「Partitioned」属性が適用されたサードパーティーCookieはサイトごとに異なるCookieを保存します。こうすることでユーザーが追跡されるのを防止しているわけです。


ポップオーバーAPIをサポート
ポップオーバーAPIを利用すると、特定の要素を画面の一番手前に簡単に表示できるようになります。


ポップオーバーAPIには下記の特徴があるとのこと。

・最上位層への昇格
ポップオーバーされた要素は最前面に表示される特別なレイヤーに表示されるため、z-indexを気にする必要なく利用可能です。

・簡単に閉じる機能
ポップオーバー要素以外の部分をクリックすると、ポップオーバーが閉じてフォーカスが元のページに戻ります。なお、設定次第でこの機能をオフにすることも可能です。

・フォーカス管理
ポップオーバーが表示されている間はタブを押したときにポップオーバー内でフォーカスが移動します。

・キーボード操作可能
「Esc」キーを押すことでポップオーバーが閉じます。

・コンポーネントの紐付け機能
要素のIDと「popovertarget」プロパティを利用することで、JavaScriptを利用せずにポップオーバー機能を実装可能です。


◆開発者ツールのアップデート
Chrome本体だけでなく、開発者ツールにおいても多数のアップデートが行われています。

・DWARFをサポートするWebAssemblyでCまたはC++でのデバッグが可能に

・自動入力関連のエラーを強調表示できるように
Chromeには氏名や住所などを自動で入力する機能が存在しています。この機能をデバッグしやすくするため、設定に問題のあるフォームを赤い波線で表示する機能が搭載されました。


・ウェブサイトの動作確認を行えるように
「Recorder」タブでサイトの操作を記録し、後から同じ操作をリプレイして特定の状態になるかどうかを検証する機能が追加されました。


・Lighthouseのバージョンアップ
URLを扱う監査において、URLがグループごとに表示されるようになり、特に利用されているURLについては「CDN」などの注釈が付くようになりました。

・パフォーマンス測定関連コマンドが追加される
「profile()」および「profileEnd()」コマンドを利用することで当該期間のパフォーマンスを測定できるようになりました。また、「performance.mark()」を利用するとこのコマンドが実行されたタイミングを記録可能になっています。


◆オリジントライアル
今回の更新から、以下の機能がオリジントライアル入りしています。

Background Blur API

◆非推奨化される機能
・JavaScriptプロファイラーパネルが開発者ツールから削除されました
JavaScriptプロファイラーは非推奨の機能であり、代わりにPerformanceパネルを利用するべきとの案内が出ていますが、設定画面の「Experiment」タブで有効化することでまだJavaScriptプロファイラーパネルを復活させることが可能です。

また、Google Chrome 114には16件のセキュリティバグフィックスが含まれています。

なお、次期安定版の「Google Chrome 115」は現地時間の2023年7月18日にリリース予定です。

この記事のタイトルとURLをコピーする

Source