AIがコントラクトブリッジで8人の世界チャンピオンを打倒、「AIによる人間に近い思考」が示されたブレイクスルーに

GIGAZINE



囲碁ポーカーといったアナログゲームや、戦闘シミュレーションDota 2といったデジタルゲームで人間に勝利している人工知能(AI)ですが、新たにカードゲーム「コントラクトブリッジ」で人間を打ち負かしたことが伝えられました。

The Nukkai Challenge: Can advanced AI beat the world’s best bridge player? – YouTube
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The Nukkai Challenge | An AI breakthrough
https://challenge.nukk.ai/

AI based on Imperial research beats world champion bridge players | Imperial News | Imperial College London
https://www.imperial.ac.uk/news/235238/ai-based-imperial-research-beats-world/

Artificial intelligence beats eight world champions at bridge | Artificial intelligence (AI) | The Guardian
https://www.theguardian.com/technology/2022/mar/29/artificial-intelligence-beats-eight-world-champions-at-bridge

コントラクトブリッジは4人のプレイヤーが2人ずつでペアとなり、4組52枚のカードを使って得点を重ねていくゲームです。ゲームの目標を決める「オークション」、実際にカードをプレイする「プレイ」の2つのフェイズが存在します。

今回、フランスのスタートアップ企業NukkAIは8人のコントラクトブリッジ世界チャンピオンを集めて、自社開発のAI「Nook」と対戦してもらいました。なお、この対戦ではオークションフェイズが省かれ、あらかじめ目標が決められた状態でスタート。まず人間1人が自分の手札と自分のペアになる人の手札を両方操作する「ダミープレイ」を別の2体のAIペア相手に行い、その後Nookが全く同じ手札&全く同じ敵を相手に「ダミープレイ」を行って、人間とNookのどちらがより高い得点を取れたかを競う形式で行われました。

2日間で10ゲーム80セット、計800ゲームがプレイされ、Nookは平均して80セット中67セットで人間に勝利したとのことです。


これまで囲碁やチェスなどで使われてきたAIは大量のデータセットから機械学習を通じて判断を下すもので、その思考プロセスが人間にとって不明瞭な「ブラックボックス」型AIと呼ばれるものでした。一方、Nookは思考プロセスが人間に近い「ホワイトボックス」型AIであり、最初にゲームのルールを学習し、実際にゲームをプレイすることで改善していくという手法が採られているとのことです。

Nookの研究に携わったインペリアル・カレッジ・ロンドンのスティーブン・マグルトン教授は「これはホワイトボックス型AIにおける画期的な結果で、最先端のAIシステムにおける重要な進歩を表しています。科学、技術および産業といった他の分野で活躍が期待できます」と述べました。


研究に携わっていないブラウン大学のマイケル・リットマン教授はホワイトボックス型AIの進歩を歓迎しながらも「コントラクトブリッジでもっとも多くのコミュニケーションやブラフを必要とするオークションフェイズが含まれていなかったのは残念だ」としました。

実際にNookと対戦したNevena Senior氏は「プレイフェイズもオークションフェイズと同じくらい重要です。Nookが十分に経験を積んだ人間のスキルを模倣してたことにうれしい驚きを感じました。Nookのクリエイターは素晴らしい仕事をしました」と述べました。

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