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ジュエリー新興企業のリトルワーズプロジェクト(Little Words Project)は、過去10年間にわたってほぼオンラインだけでフォロワーを増やしてきたが、売上をさらに増やすため実店舗に打って出ようとしている。
2013年に設立されたリトルワーズプロジェクトは、2021年11月にニューヨーク市のブリーカーストリートに最初の店舗を開設した。この店舗は現在までに100万ドル(約1億3800万円)の売上を達成し、純営業利益は20%を超えている。同社の事業は収益性があり、収益のランレートが2000万ドル(約27億6000万円)を超えているが、この店舗の売上はこれに加えて大きな利益をもたらすものになる。
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これを受け、同社は小売事業を大幅に拡大し、この1年半で6つの新しい店舗をオープンした。5月にマイアミに新店舗を開設し、6月にはタンパに8つ目の店舗を開設する。小売において重要な点の多くは、各店舗のあいだでどのようなエクスペリエンスや要素を共通にすべきかということだった。たとえば、訪問客が自分でブレスレットを作成できるビーズ細工用のテーブルは、顧客を集めるために大きな効果があった。
開拓されていない多くの可能性
リトルワーズプロジェクトのプレジデント兼最高執行責任者を務めるビル・キャリッグ氏は、同社の小売事業にはいまだ開拓されていない多くの可能性があると考えている。
同氏は次のように述べる。「当社はまだ、1000万人が訪問するようなセンターに店舗を開設したことがない。店舗のP&L(利益と損失)に関して、当社は儲けることに注力してこなかったことを考えると、これからが楽しみだ。当社はよりオーガニックで、経験を重視してきた」。
同社はキャリッグ氏の妻であるアドリアナ・キャリッグ氏によって創設された。リトルワーズプロジェクトの背後にある理念は、文字のビーズを使ったブレスレットによって、ポジティブな気持ちを広め、そのブレスレットが示すメッセージの恩恵を受けられる人にジュエリーを譲ることを奨励することだ。
ブレスレットには、独自のコードが付いたカスタムのタグがある。人々はコードを使って、そのブレスレットをリトルワーズプロジェクトのウェブサイトに登録し、自分のブレスレットがほかの人に渡っていくのを追跡することができる。
ビル・キャリッグ氏は、毎月5000〜6000個のブレスレットが登録され、その数は増え続けていると語る。
D2C事業の飛躍
アドリアナ・キャリッグ氏は、D2Cとして創業したリトルワーズプロジェクトを、当初はソーシャルメディアのフォロワーによって、主にオーガニックな方法で成長させた。その後、展示会に出展し、ブティックやノードストロームとの取引を通じて卸売業を拡大した。
しかし、この事業が指数的に成長しはじめたのは、コロナウイルスのパンデミックがはじまってからだった。「2020年は、当社のD2C事業が、100%を超える勢いで急速に成長しはじめた最初の年だった」と、ビル・キャリッグ氏は述べる。それがさらなるチャンスにつながり、ブランドはターゲット(Target)で全国販売されるようになり、ミュージシャンのリゾ氏は同氏のシェイプウェアブランドのイッティ(Yitty)のキャンペーンでリトルワーズプロジェクトを取り上げた。また2021年には、最初の小売店舗のオープンを決定した。
ブリーカーストリートの店舗が期待を上回る成果をあげたことから、リトルワーズプロジェクトは2022年末、ビル・キャリッグ氏の言葉を借りれば「全速力で」、店舗の開設を開始した。リテールユニオン(Retail Union)を仲介役として、ジャージーショア、ワシントンD.C.、ボストン、サンフランシスコにも店舗を開いた。
これらの店舗では、同社の代名詞となっているポジティブでインクルーシブな雰囲気を包含する空間を作りたいと考えた。これらの空間は、同社の明るいムードを強調する備品で飾られる。たとえば、鏡に「LOVE YOURSELF(自分を愛して)」と記してあり、顧客はそこで自撮りを撮影できる。
「当社は、顧客を招き入れ、販売員とのあいだで、誰のための買い物か、その人は今どんなことを経験しているのか、といったことを話し合えるようにしたかった」と、ビル・キャリッグ氏は述べる。
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これらの店舗では、ほかのブランドの商品の販売も試みている。キャンドルや美容製品など、女性主体の他ブランドの商品を、特に母の日などのギフトに結び付けて店舗で扱うことが多いと、同氏は述べている。
この店舗では、リトル・ワーズ・プロジェクトが他ブランドの商品を扱うことも試みられています。Bill Carrig氏によると、同社はキャンドルや美容製品など、特に母の日などのギフトシーンに関連した、女性主導の他ブランドの商品を店舗で取り扱うことを好んでいます。
しかし、店舗内での売上を促進する大きな要因のひとつは、カスタムのビーズ細工用のテーブルで、買い物客はここで自分だけのブレスレットを作ることができる。同社は今後の店舗において、このテーブルを、人々が誕生日パーティーを開いたり、友達とほかのイベントに参加したりするためのコミュニティ空間として位置付けたいと考えていると、同氏は述べている。
「当社は、新しい顧客のために、このようなコミュニティの拠点を作るというアイデアを実現しようとしている」とビル・キャリッグ氏は述べ、リトルワーズプロジェクトの店舗内顧客の90%はブランドにはじめて触れる顧客であると付け加えている。
2店舗目以降のプレイブック
エムジーツー(MG2)のプリンシパルで、実験的リテールスタジオのザ・ライオネスク・グループ(The Lionesque Group)の創業者でもあるメリッサ・ゴンザレス氏は、リトルワーズプロジェクトのような新興企業が最初の店舗から次の段階に進むと、さらに「リテールプレイブック」の開発をはじめる必要があると語る。
「最初の店舗では、『自分のストーリーをどのように語ればいいか』といった部分に重点を置くだろう。すなわちそれは、ブランドを拡大し、テストと学習を行って、メディアに取り上げられるにはどうすれはいいか、ということだ」と、同氏は述べている。
しかし、それ以降の店舗で重要になるのは、ものごとを体系化して再現する方法を見つけることだとゴンザレス氏は述べる。複数の店舗にわたって同じような雰囲気を作り出すというだけではなく、共有の技術システムを見つけることだと、同氏は述べている。
さらに、新興企業は最初の小売店舗をどのように設置すべきかを知るため、自社のD2Cサイトで収集したデータを利用することが多いと、同氏は述べる。しかし、小売店舗が増えるにつれ、異なるタイプの顧客のデータを大量に収集することになる。
「買い物客が対面でやりとりする方法はオンラインとは異なるため、実際に何が共感を呼んでいるかについて詳しく学ぶほど、食い違いが生じる」と、同氏は述べる。
「より高度で進んだもの」を追求する
リトルワーズプロジェクトが小売店舗を増やすにあたり、いくつか重視する分野があると、ビル・キャリッグ氏は語る。まず、実験的なコンポーネントを増やし、単にカスタムのビーズ細工用のテーブルを設置するだけではない、「より高度で進んだもの」を実現していくことだ。もうひとつは、同社が小売から収集したデータを、商品の品揃えの拡充に役立てることだ。
「当社は顧客から、よりハイエンドの商品が欲しいという要望を大量に受け取っている」と、同氏は述べている。同社が商品の追加を検討する際のもっとも基本的な思考プロセスは、次の通りだ。「ターゲットで購入できるものとも、D2C事業から買い求められるものとも異なる、ユニークな商品を提供することだ。
[原文:After its first store hit $1M-plus in sales, Little Words Project is growing its retail fleet]
Anna Hensel(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Little Words Project