ビリー・アイリッシュ 氏とジェニファー・ロペス氏がセレブリティによる香水でトップ5をリードする理由

DIGIDAY

セレブによる美容ブランドへの反発があるにも関わらず、元祖セレブのフレグランスは、いまも賞賛と関心の両方を引き寄せている。MIVに基づく3月のフレグランストップ5は、アイリッシュ・バイ・ビリー・アイリッシュ、JLOグロウ、アリアナ・グランデ・クラウド、フェンティ・オードパルファム、ボーンドリーマーだった。

セレブリティによる美容ブランドへの反発があるにも関わらず、元祖セレブリティ・カテゴリーであるフレグランスは、いまも賞賛と関心の両方を引き寄せている。

ローンチメトリックス(Launchmetrics)とGlossyの最新版データでは、MIVに基づく3月のフレグランスのトップ5は、アイリッシュ・バイ・ビリー・アイリッシュ(Eilish by Billie Eilish)、JLOグロウ(JLO Glow)、アリアナ・グランデ・クラウド(Ariana Grande Cloud)、フェンティ・オードパルファム(Fenty eau de parfum)、そしてインフルエンサーのチャーリー・ダミリオ氏によるボーンドリーマー(Born Dreamer)だった。アイリッシュ・バイ・ビリー・アイリッシュのMIVは160万ドル(約2.18億円)で1位、次いでJLOグロウのMIVが57万1000ドル(約7802万円)、アリアナ・グランデ・クラウドのMIVは52万ドル(約7105万円)、フェンティ・オードパルファムのMIVは38万7000ドル(約5288万円)、最後がチャーリー・ダミリオ氏によるボーンドリーマーでMIVが16万ドル(約2186万円)となっている。MIVはメディア・インパクト・バリューの略で、ローンチメトリックス独自の指標であり、インフルエンサー、印刷メディア、セレブリティ、公式サードパーティパートナー、ブランドのメディアチャネルの影響を追跡するものである。

アイリッシュ・バイ・ビリー・アイリッシュが最初にローンチしたのは、アイリッシュ氏が多忙の頂点を極めていた2021年10月だった。同年6月、彼女は『ヴォーグ(Vogue)』の表紙を飾り、2作目のスタジオアルバム『ハピアー・ザン・エヴァー(Happier Than Ever)』を発表、さらにオースティン・シティ・リミッツ(Austin City Limits)のステージでテキサス州の中絶禁止令について発言している。したがって、現在大人気となっているフレグランスを発売したことは驚きだったが、それはアイリッシュ氏の勢いに合わせたものでもあった。このフレグランスはバニラの香りが強いが、アンバーやカカオのノートもある。ジャン・ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)やキム・カーダシアン氏のアイコニックなフレグランスと同じように、ボトルは人の体の形をしたデザインになっている。アイリッシュ氏はその後、2022年にふたつめのフレグランスとなるアイリッシュNo.2(Eilish No. 2)を発表しているが、ローンチメトリックスのデータでは、オリジナルのグルマンが依然として一位の座をキープしている。

JLOグロウが2位にランクインしたことは、その生みの親であるジェニファー・ロペス氏の不滅のキャリアと、セレブリティ主導のオリジナルフレグランスの継続的な強さの両方を証明している。ロペス氏は、石鹸のようなクリーンな肌の香りを反映させたいと考え、2002年にコティ(Coty)との提携で初のフレグランスとなるグロウを発売した。当時は若い女性向けの「フルーティなグルマン」からの脱却が注目されており、『インスタイル(In Style)』は、JLOグロウはより大人っぽく、かつフローラルな香りだと評した。タイム誌によると、ロペス氏のファッションラインやその他の美容ラインとともに、この香水は発売から2年後の2004年には3億ドル(約410億円)以上の収益をもたらしたという。その後、この香りは多くのグロウのスピンオフにインスピレーションを与えている。ロペス氏は2019年にプロミス(Promise)という25番目となるフレグランスを発売した。WWDによると、ロペス氏のフレグランスフランチャイズは、2002年のローンチ以降、20億ドル(約2733億円)以上の売上高を記録している。そのうちの65%は、グロウ自体の売上だと言われている。

Z世代は購買力を高めており、新しい世代のセレブが業界をリード

「セレブリティが所有する美容ブランドの台頭とともに、セレブの声は美容業界の重要な原動力のひとつであり続けているため、フレグランス市場におけるレレバンスを維持している」とローンチメトリックスのCMO、アリソン・ブリンゲ氏は述べている。「つまり、セレブリティは大規模で熱心なファンベースを持つことで、高い飽和状態にある美容市場で製品の差別化ができる」。

ロペス氏自身にはインスタグラムに2億4300万人のフォロワーがいるが、歌手のアリアナ・グランデ氏のフォロワーは3億6800万人で、それが彼女のフレグランスであるクラウドを3位に押し上げたことは間違いないだろう。グランデ氏は2015年に初めてフレグランスをローンチしたが、クラウドは2018年にデビューした4つ目のフレグランスである。ハリウッドレポーター(The Hollywood Reporter)によると、グランデ氏のフレグランスは世界の売上高で10億ドル(約1367億円)を達成している。クラウドの容器は、モコモコした雲の上に薄い水色のボトルが配置され、蓋も小さな雲の形をした個性的なデザインだ。ノートはラベンダーの花、洋ナシ、プラリネなどの香りである。WWDによると、クラウドは発売当時、初年度に5000万ドル(約68.4億円)の売上を見込んでいた。ハーパーズバザー(Harper’s Bazaar)は、グランデ氏を「最後の偉大なセレブリティパフューマー」と呼び、ケイティ・ペリー氏やテイラー・スウィフト氏といった同世代のAリストのセレブリティが、若い消費者の心をつかむことができなかったと評した。甘い香りが好きな若者は、クラウドの「包み込むような心地よさ」を楽しんでいると同誌は報じている。クラウドは2019年にフレグランス財団のフレグランス・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、業界の賞でも注目されている。クラウドの発売以来、グランデ氏は2019年のサンキューネクスト(Thank U Next)、2022年のゴッドイズアウーマン(God Is A Woman)など新しいフレグランスを作り続けており、後者は91%が天然由来成分である「クリーン」なフレグランスとなっている。

リアーナ氏は以前、2014年から2016年のあいだに少なくとも3つのフレグランスを発売し、セレブリティのフレグランスの領域に乗り出したが成功はしなかった。だが、フェンティの発売で、ついに成功者の仲間入りを果たした。不透明な琥珀色のボトルのフェンティ・オードパルファムは、そのパッケージだけでも明らかに洗練された製品となっている。この香水は、マグノリア、ムスク、タンジェリン、ブルガリアンローズのノートをもつ暖かい花の香りとされている。

そして最後に、チャーリー・ダミリオ氏のボーンドリーマーが5位にランクインしたが、TikTokのインフルエンサーである彼女は、セレブリティの分野でもフレグランスの分野でも比較的新規参入者であることを考慮すると、やや意外なランクインである。しかしダミリオ氏には、1億5000万人のTikTokのフォロワーと、モルフィコスメティックス(Morphe Cosmetics)を所有するフォーマブランズ(Forma Brands)とのパートナーシップという後ろ盾がある。2022年6月に発売されたボーンドリーマーは、ダンジュー(洋ナシ)、ピンクシュガー、オレンジゼストのエッセンシャルオイルのノートが特徴だ。ダミリオ氏がTikTokを好んでいることを考えると、香りではなく、インフルエンサーによって購入が促されるデジタルフレグランスの状況で、PerfumeTokにいかにインパクトがあるかという点は注目に値するだろう。

「Z世代は引き続き購買力を高めているので、ビリー・アイリッシュ氏、アリアナ・グランデ氏、チャーリー・ダミリオ氏といった新しい世代のセレブリティの名前がフレグランス業界をリードしているのを目にする機会が増えているのは、驚くことではない」とブリンゲ氏は述べている。

[原文:Why Billie Eilish and Jennifer Lopez lead the top 5 celebrity fragrances]

EMMA SANDLER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


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