暑さで線路がゆがんで電車が脱線。サンフランシスコ郊外が暑すぎる

GIZMODO

ついに増え始めたな…。

気候変動に既存のインフラが耐えられなくなってきたようです。熱波がインフラに入った小さな亀裂を広げはじめています。6月にカリフォルニア州サンフランシスコ近郊で起こった脱線事故について、BART(ベイエリア高速鉄道)は38度を超える気温が要因になったと説明しています。

コンコードで起こった脱線時に乗車していた約50人の利用客はすぐに避難、数人が軽症を負っただけで済んだようです。なお、事故後は一時的に単線で対応したのち、通常通り複線での運転に戻っています。

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Video: KPIX CBS SF Bay Area / YouTube
脱線事故直後の様子

原因は熱波

BARTは声明で、10両編成のうち1車両が脱線した事故(動画では2両が脱線と伝えています)は、暑さによる線路の変形が原因だったと説明しています。

事故が起こった週のベイエリアは熱波に見舞われており、平年よりも気温が高い状態でした。サンノゼでは6月21日の最高気温が平年よりも7度以上高い39度近くまで上がり、同日として観測史上最高を記録しました。オークランドの一部や、事故があったコンコードでも38度を超え過去最高になったとのこと。

線路の耐熱温度を超える暑さ

直射日光を浴び続ける線路は、気温どころじゃない熱を帯びてしまいます。BARTの広報はSan Francisco Chronicleに対し、線路は耐熱温度を14度上回り、60度にまで達していたと話しています。線路が変形するのも無理ないかもですね。

BARTによれば、暑さに耐えられる限界の温度を11度上回ると、線路はいつ変形してもおかしくないそうです。また、BARTは過去に3度脱線事故を起こしたことがあるものの、暑さが原因の脱線はこれが初めてでした。これが最後になるといいけど…。

相次ぐインフラへの支障

熱波によってインフラに支障が生じたのはこれが初めてじゃありません。昨年6月には、オレゴン州ポートランドで路面電車のケーブルが溶けてしまいました。ミネソタ州では、暑さで道路が陥没したり盛り上がったり亀裂したりなど変形が相次ぎました。また、熱波は電力網への負担増加停電など、より大規模な問題を引き起こす恐れもあります。EPA(米環境保護庁)によると、人間活動に起因する気候変動によって、アメリカでは熱波がより強く、より頻繁に発生、発生する時期も早く、発生すれば長く継続するようになっているそうです。これからもインフラへの影響は避けられそうにない感じですね。


訳者が大学で気候変動を中心に環境学を専攻していた10年以上前に、インフラは建設当時の気候で「100年に一度」のような気象条件を想定しているので、温暖化が進むとその想定を超えてしまい、線路が曲がったり道路が陥没したりといった現象が起こりやすくなると教授が話していたのを思い出します。こうなるとわかっていながら緩和策に投資してこなかったツケを、より高くつく適応策で払わされているというわけですね…。

Reference: KARE11

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