家庭で用いられる天体望遠鏡は、鏡筒や荷台、三脚を備えた屈折望遠鏡や反射望遠鏡が一般的ですが、フランスに拠点を置く天体望遠鏡メーカーのVaonisがスマート天体望遠鏡「Hyperia」を発表しました。Hyperiaには天体自動追跡機能が搭載されており、専用アプリから観察したい天体を指定するだけで自動的に角度を調整したりピントを調整したりできます。
Hyperia – Beyond extraordinary – smart telescope
https://vaonis.com/hyperia/en/
Vaonisが販売しているスマート天体望遠鏡「Hyperia」の外観を紹介した動画が以下。Hyperiaを展開した状態の高さは6.9フィート(約2.1m)で、閉じた状態の高さは5.6フィート(約1.7m)、重量は165ポンド(約75kg)、直径は15.7cmです。
Rise of a titan – YouTube
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Hyperiaの外装には宇宙産業で使用される超々ジュラルミン合金が使われており、雨や高温、極端な低温に対して耐性があります。
Hyperiaにはソニーのフルフレームセンサー「IMX455」が搭載されており、6100万画素の写真を撮影可能です。
Vaonisがこれまで発売したスマート天体望遠鏡のStellinaの210万画素やVesperaの640万画素に比べ、Hyperiaでは画素数が6100万画素と大きく向上しています。
Hyperiaを用いて撮影された画像が以下。6時間50分露出を続けることで、鮮明なタランチュラ星雲の撮影に成功しています。
以下はHyperiaで撮影したNGC 300の画像です。
Hyperiaは従来のStellinaやVesperaよりも屋外での観測に強くなり、外気温や温度のレベルに関係なく、発熱を抑えて常に最適な観測が可能です。さらにHyperiaには、主要な天文台で使用されるような、観測する天体を追跡することができる「ダイレクトドライブモーターリゼーション」が備えられています。ダイレクトドライブモーターリゼーションによって、事前に撮影したい天体を選択して一晩Hyperiaを放置しておくだけで、その天体の鮮明な画像の撮影が可能です。
HyperiaやStellina、Vesperaは従来の天体望遠鏡と異なり、接眼レンズをのぞいて実際に星を目視しません。その代わりに専用のアプリ「Singularity」がVaonisから提供されています。専用アプリを開くと、観測を行う地点の気象状況などを確認することができます。
Hyperiaとの連携が完了すると、画面上に現在地から観測可能な天体の一覧が表示され、ユーザーは観測したい天体を選択します。
観測が開始されると、数秒以内に観測した天体が表示されます。さらにリアルタイムでさまざまな画像を組み合わせることで、ユーザーが選択した天体の解像度や色が次第に鮮明になっていきます。また観測した天体の画像を共有することも可能です。
Hyperiaの色は「シデアルグレー」「シルバー」「マットホワイト」の3色から選択可能で、4万5000ドル(約600万円)から購入可能です。
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