はじめに
人気インフルエンサーからセレブリティに転向した人々にとって、有名なブランドと提携することはオンラインでのプレゼンスを確立する上での通過儀礼のようなものだった。しかし、このような人々によるスポンサー付きコンテンツでフィードが飽和状態になっているために、大勢の視聴者が、特に現在の経済状況において、広告主が彼らを起用するために費やしている金額に懐疑的になっている。
eコマースと同様、アフィリエイトマーケティングもパンデミック中に急増し、アフィリエイトプログラムの50%以上がロックダウン中に収益を増加させた。ブランドがこれまで依存していたマーケティングイベントを開催できなかったために、マーケターの多くはインフルエンサーを利用して顧客とブランドとのつながりを維持した。しかし、最近、デ・インフルエンシングというハッシュタグがTikTokで4億2900万回の再生回数を記録したことや「マスカラゲート(Mascara Gate)」で美容業界の広告の秘密が暴露されたことにより、インフルエンサーマーケティングに対する懐疑心が消費者やブランドのあいだで高まっている。
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ブランドが対面式のイベントを再開したいま、マーケターはアフィリエイトマーケティングの新しい現状とイベントや体験を含む従来のマーケティングチャネルとのバランスを取ろうと努めている。事実、Glossyの2023年第1四半期リサーチラウンドアップ(Research Roundup)では、回答者のほぼ半数である47%がマーケティング費用の大部分を従来のほかのチャネルよりもイベントに割り当てていると述べていた。
このレポートでは、企業がソーシャルとブランドイベントでインフルエンサーを起用して効果的に自社ブランドを宣伝するために行っている取り組みを取り上げる。
良くも悪くもブランドへの関心を生み出すタルトのインフルエンサー旅行
タルト(Tarte)のドバイ旅行の全体的な目的は、ブランドと新製品のファンデーションに消費者の関心を集めるためのソーシャルに注力したイベントを作成することだった。そのために、タルトは、アリックス・アール氏(TikTokでは@alixearle、フォロワー480万人)、メレディス・デュクスベリー氏(TikTokでは@meredithduxbury、フォロワー1780万人)、ミアン・ツインズ (TikTokでは@miantwins、フォロワー690万人) 、モネ・マクマイケル氏(TikTokでは@monetmcmichael、フォロワー300万人)、クリスティーン・エイブラハム氏(TikTokでは@christineabrahamm、フォロワー90.6万人)、ザンドラ・ポール氏(TikTokでは@xandrapohl、81.5万人のフォロワー)といった現在のトップインフルエンサーを招待、共にドバイに旅した。インフルエンサーにはスポンサー付きの素材を投稿する義務はなかったものの、タルトチームはインフルエンサーが旅行を記録し、ビデオを投稿し、彼らのプラットフォームでオーガニックなエンゲージメントを作成してくれることを期待していた。
今年初めにGlossyは独占でタルトコスメティクスのCEO兼創業者であるモーリーン・ケリー氏に話を聞いたが、同氏は豪華な旅行のためのマーケティング予算を優先するというチームの決定を擁護すると語っていた。「当社ではこれまで従来のような広告は行っておらず、その代わりに人間関係の構築やコミュニティの形成に投資している」とケリー氏は述べている。
また、タルトが、コスト節約の可能性からインフルエンサー旅行を選択したことも考えられる。通常、メガインフルエンサーの起用は高額になる。インフルエンサー・マーケティング・ハブ(Influencer Marketing Hub)によると、TikTokで100万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーはスポンサー付き投稿ごとに2500ドル(約33万円)以上を稼ぐという。インスタグラムでは1万ドル(約134万円)以上に急騰する場合もある。
アリックス・アール氏を例に考えてみよう。TikTokコスト見積もり計算機を使うと、ドバイ旅行中に投稿されたアール氏のTikTokの15投稿の見積もりコストは合計3.5万〜6.5万ドル(約468〜870万円)になる。タルトが従来の広告を選んだ場合、控えめに見積もっても29人のインフルエンサー全員からの投稿に対して100万ドル(約1.3億円)以上を支払うことになっただろう。その代わりにタルトは豪華な背景を提供する旅行にクリエイターを招いて、オリジナルコンテンツの作成を促すことを選んだ。コンテンツは、投稿ごとに支払われるようなスポンサー付きの投稿ではなく、オーディエンスの自然な関与を促すようにデザインされている。
ケリー氏からはドバイ旅行への総投資額は共有されなかったが、タルトは旅行のコスト削減のためにセフォラ・ミドルイースト(Sephora Middle East)やほかのブランドと提携して無料で製品が提供されたことには触れた。ソーシャルメディアのコンテンツクリエーターからは動画1本に多額の金額が請求されることを考えれば、ファーストクラスの航空券と贅沢なホテルや食事はブランドにとってもっと手頃な選択肢となることがしばしばある。
タルトの旅行に参加したインフルエンサーは気楽なGRWM(Get Ready With Me)とvlogスタイルの旅ビデオを投稿したが、豪華な旅行の費用に関する消費者からのコメントがすぐにオンラインに浮上してきた。多くのTikTokerはフライトやホテルや旅の詳細を見てイベントの経費について推測したが、これがオンラインで大議論に発展したのである。
そのようなネガティブな報道にもかかわらず、タルトはインフルエンサーを正当化のアンカーポイントとして使い、注目を集めるイベントをゼロから作成することに長けていた。消費者からはより関連性の高い真のコンテンツが求められているため、オーガニックなコンテンツの作成を促進するインフルエンサーの旅行は、設定自体はわざわざ作られたものであるが、美容ブランドが潜在的な顧客とつながるための優れたオプションになる可能性がある。どのブランドでも贅沢なドバイ旅行を主催できるわけではないが、ブランドは、イベント内で外部ベンダーとのパートナーシップを利用して話題を生み出し、マーケティング素材を作成するというタルトの例から学ぶことができる。
重要ポイント
2012年からタルトに勤務しているCMOのサマンサ・キテイン氏は次のように述べている。「伝統的なイベントは同じように感じられて同じように見え始めていた。そのため、何よりもまずクリエイターがもっと有意義な方法で当社の製品 (とブランド) とやり取りできる方法を求めていた。もっとも影響力を持っている人、その時々でそれが誰であろうと、認知度を向上するためにそのような人々に常に依存している」。
•物議を醸すことは証明されているものの、タルトは派手で豪華なイベントをメガインフルエンサーのために実施した。インフルエンサーは何百万もの視聴とオーディエンスとのカジュアルな会話を生み出した。
•タルトはインフルエンサーに依存してオーガニックコンテンツを生成したが、これにより有料投稿のコストを節約できた。
ケイト・スペードのNYFWショーの招待客リストを独占したインフルエンサー
インフルエンサーがイベントに次々と招待されるにつれ、ファッションウィークの観客席の様子は変化している。この新世代のTikTokerの侵入に驚いている参加者もいるが、主要ブランドや小売業者はこの変化を受け入れている。ケイト・スペード・ニューヨーク(Kate Spade New York)はニューヨーク・ファッション・ウィーク(以下NYFW)中にホイットニー美術館でプレゼンテーションを行い、2023年秋コレクションを発表した。没入型のプレゼンテーションとコレクションは、デザイナーによると「服を着る楽しさと喜び」にフォーカスしたものだった。
シニアバイスプレジデントのトム・モラ氏とジェニファー・リュー氏はこのコレクションで「日常生活の瞬間と予想外の出来事を讃える」ことを望んでいた。これは、大勢の人々をバーチャルで楽しませ、パンデミックのあいだもトレンドを牽引したインフルエンサーらをNYFWのショーに招待するというケイト・スペードのビジョンに合致していた。
ゲストリストには、インフルエンサーのマデレーン・ホワイト氏(@madeleine_white、TikTokのフォロワーは410 万人)、チャールズ・グロス氏 (@charlesgross、TikTok フォロワーは130万人)、シミ・ムフムザ氏(@simimoonlight、インスタグラムのフォロワーは29.1万人)、テイラー・ヘイジ氏(@tayhage、TikTokのフォロワーは160万人)、ディラン・マルヴェイニー氏(@dylanmulvaney、TikTokのフォロワーは1080万人)、メアリー・ローレス・リー氏(@marylawlesslee、インスタグラムのフォロワーは94万人)、ケイト・バートレット氏(@katebartlett、TikTokのフォロワーは130 万人)といったインフルエンサーが含まれていた。
ケイト・スペードは、NYFW中にインフルエンサーを招待して新コレクションと自社ブランドに関与してもらうだけでなく、ファッションインフルエンサーのチャールズ・グロス氏とマデレーン・ホワイト氏と提携してライブストリームを共催した。両氏は2023年秋の新作コレクションを着用して登場、ライブストリームでスペシャルゲストとファッション談義を行った。深夜トークショーの司会者のジウェ氏や女優のエマ・ロバーツ氏などのセレブは「自分のスタイルを一言で説明して」「この新コレクションで気に入ったアイテムは」などの質問を受けた。ソーシャルチャネルの視聴者はNYFWの舞台裏の様子にアクセスし、グロス氏とホワイト氏のコメントを聞くこともできた。両氏はハイエンドのラグジュアリーデザイナーについて精通していることで知られている。
消費者を関与させるために、このイベントはTikTok、インスタグラム、Facebook、katespade.comで配信された。このライブストリームはFacebookWatchの視聴者からは好評だったようで、120のリアクション、106のコメント、17の共有があった。また、自宅にいる視聴者にはさらにインクルーシブな体験が提供され、期間限定で舞台裏のコンテンツをライブで視聴したり、ブランド担当者に質問してリアルタイムで回答を受けることができた。
ケイト・スペードはNYFW中にグロス氏とホワイト氏が作成したコンテンツを、ほかのインフルエンサーやセレブのコンテンツと共にTikTokやインスタグラム、Twitterに投稿。これらの投稿は強力なエンゲージメントを獲得した。特にインスタグラムでは5万を超えるいいねを、TikTokでは6.4万回を超えるビューを獲得し、Twitterでは16.3万回のインプレッションを獲得した。
同ブランドと同調する人気インフルエンサーを招待することはケイト・スペードの目標に基づく戦略的な動きだった。CEOのリズ・フレイザー氏は「私たちのように豊かな伝統があると、そのDNAに忠実でありながら、さらに前進したいと思うのが非常に難しい」と述べている。
重要ポイント
フリーランスライター兼インフルエンサー(インスタグラムのフォロワー1.2万人、TikTokのフォロワー10.7万人)のベラ・ジェラルド氏は、イベント開催中とイベント後のエンゲージメントの重要性について次のように述べている。「見て、見られて、そして自分を撮影し、まだ数枚写真を撮り、後日また自分を見せられるようにする」。
•ケイト・スペードはチャールズ・グロス氏やマデレーン・ホワイト氏といった、同ブランドの伝統的なイメージに沿っているだけではなく、ターゲットとして狙っている若い年代にもアピールするインフルエンサーを選んだ。これは特にユーザーの大部分(71%)が18歳〜24歳のTikTokで顕著である。
•インフルエンサーによるライブストリームの主催に加えて、ケイト・スペードはNYFWのインフルエンサーコンテンツを自社のアカウントに再投稿した。再投稿は全プラットフォーム、特にFacebookLiveとインスタグラムで好評を博した。
スーパーボウルでインフルエンサーとリアーナのスターパワーを利用してさらに広範なオーディエンスにアピールするフェンティ
フェンティ(Fenty)は、タルトのように独自のイベントを作成するのではなく、スーパーボウルとそれに関するメディアの瞬間にアクティベーションを集中させてフェンティのブランドにスポットライトを当てた。NYFWでのケイト・スペードと同様、フェンティにはスーパーボウル自体を宣伝する必要はなかった。その代わりに、フェンティはブランドのタッチポイントをすでに確立されている環境に組み込んだ。
(フェンティの各)ブランドは、アメフトに興味のないファンにもスーパーボウルの祭典に参加する方法を提供した。たとえば、ランジェリーのサベージ X フェンティ(Savage X Fenty)はスーパーボウル関連の限定商品をオンラインとポップアップショップで販売した。フェンティビューティ(Fenty Beauty)はフットボールをテーマにした限定版の美容製品をリリースし、インスタグラムでリアーナのハーフタイムルックの製品詳細を共有した。また、フェンティビューティはNFLのレポーターのエリン・アンドリュース氏と歌手兼女優のシェリル・リー・ラルフ氏にも同社の製品を使ってもらい、インスタグラムストーリーの舞台裏動画で紹介した。ハーフタイムショーのパフォーマンス後、人気商品はフェンティのウェブサイトですぐに売り切れた。
「(これらの例は)ブランド色を押し出しすぎたりやり過ぎることなく、フェンティを統合する非常に優れた方法だ」と、クリエイティブ・インフルエンサー企業のエージェンシー・ワカモレ(Agency Guacamole)のプリンシパル、ビラル・カイザー氏は述べている。
フェンティビューティは、ブレットマン・ロック氏(@bretmanrock、TikTokのフォロワーは1520万人)、ミケイラ・ノゲイラ氏(@mikaylanogueira、TikTokのフォロワーは1460 万人)、ゴロリア・ジョージ氏(@golloria、TikTokのフォロワーは110万人)、ステファニー・バレンタイン氏(@glamzilla、TikTokのフォロワーは170万人)ら人気インフルエンサーのスーパーボウルへの旅行を後援した。この「フェンティボウル(Fenty Bowl)」の週末にアリゾナを訪れたインフルエンサーらは、スポーツファンとスポーツ以外のファンである何百万人ものフォロワーを、一連のイベントやフェンティ提供の(インフルエンサーが滞在する)ホテルの客室へと招いた。
タルトのアプローチと同様に、フェンティはインフルエンサーがスーパーボウルの祭典に参加して、フェンティ関連の独自のコンテンツを作成したいと思う機会を生み出した。インフルエンサーはスーパーボウルの洗練された設定や舞台裏への限定アクセスを背景として利用した。
フリーランスライター兼インフルエンサーのベラ・ジェラルド氏(@bellagerard、TikTokのフォロワーは10.7万人)はインフルエンサーにとって「外見がすべて」だとGlossyに語っている。同氏によると、それには3つの理由があるという。「まず、フォロワーのためにクールなことをするように見せたいし、クールなコンテンツを作成したい。そのためには自分がクールな場所にいなければならない。すべての最新イベントに招待されているように思われて、イベントで稼げるコンテンツを作成できるようになりたい」。将来そのようなイベントに招待されたり参加したいなら、インフルエンサーはオーガニックな投稿を行うべきだというプレッシャーを感じるだろう。
しかし、興味深いことに、そしておそらくタルトのドバイ旅行論争直後にスーパーボウルがあったからでもあろうが、フェンティの各ブランドはインフルエンサーの起用を過度に宣伝しなかった。たとえば、フェンティビューティはTikTokではスーパーボウルの週末とイベント後にはインフルエンサーが登場する動画を3本しか投稿しなかった。その代わりに、リアーナのハーフタイムショーのパフォーマンスから人気のあるミームやサウンドバイトを投稿することを選び、インフルエンサーが自分のソーシャルメディアアカウントで投稿することに依存した。それとは対照的に、タルトコスメティクスはTikTokアカウントに7本の動画を投稿し、参加した各インフルエンサーはそれぞれ10本以上の動画を投稿している。
ブレットマン・ロック氏は、インスタグラムの1投稿でフェンティのイベントへの参加を宣伝、この投稿は130万人以上のユーザーから気に入られた。ミケイラ・ノゲイラ氏もインスタグラムに投稿し、27万件を超えるいいねを獲得。スーパーボウルのような大イベントの陰で、このアプローチは、関心のあるオーディエンスがフェンティビューティのプロモーションが強制的ではなくもっと魅力的だと感じるのに役立ったかもしれない。
フェンティのインフルエンサーは、タルトのようにインフルエンサーがメインイベントとして取り扱われたり、ケイト・スペードのように見たり見られたりするように配置するのではなく、(スーパーボウルという)大イベントでは前面に押し出されてはいなかった。その代わりに、インフルエンサーは、セレブとしてというよりも、ファンが経験に関与していると感じられるようにするつながりのポイントとして使われた。フェンティのチームは人気のイベントへのアクセスを(インフルエンサーに)提供して、彼らがもっとも得意とすること、つまりファンとオーガニックにつながることを可能にした。これにより、インフルエンサーはほかの方法では(オーディエンスから)注目されなかっただろうイベントに彼らを関与させることができたのだった。
このように異なるインフルエンサーイベント戦略を用いることには、新規オーディエンスが自分の投稿でスーパーボウルについて言及し、イベント後に話題をさらに盛り上げられる可能性がある。実際、ブランドウォッチ(Brandwatch)によると、スーパーボウルの後、TwitterやTikTokなどのデジタルプラットフォームでのフェンティへの言及は71%増加し、ポジティブなセンチメントは78%上昇し、半数以上(56%)が楽しい表現でオーディエンスの興奮を示すものだったという。
ローンチメトリックス(Launchmetrics)によると、リアーナのハーフタイムのパフォーマンスは、最初の12時間でフェンティビューティに560万ドル(約7.5億円)のメディアインパクトバリュー(MIV)を、最初の12時間でサベージ X フェンティに260万ドル(約3.5億円)のMIVをもたらした。MIVとは、さまざまなチャネルでアーンドメディアプレイスメントとメンションの経済的影響と価値を測定・ベンチマークするローンチメトリックスの方法である。
フェンティはスーパーボウルと一生に一度というリアーナのハーフタイムパフォーマンスの絶大な人気を利用してブランドを強調し、関心のある消費者に関連するコンテンツを探したり、ブランドサイトで購入したりするように誘導できたようだ。リアーナの会社は、フェンティの各ブランドの宣伝のためにコストの高い契約を結ぶ代わりに、主要なインフルエンサーがイベントに参加して製品をオーガニックに宣伝できるようにイベントへのアクセスを提供して、バイラル必至のスポンサーなしの瞬間を利用したのである。
重要ポイント
コマーシャルアート・エンターテイメント会社、スペシャルオペレーションスタジオ(Special Operations Studios)のクリエイティブディレクター、ショーン・フィールド氏は、「スーパーボウルの広告は毎年話題になり、CMのために試合を見る人々もいる。だが、ロビン・リアーナ・フェンティ氏のパフォーマンスは、これまでに見た中で広告と製品とペルソナが融合した最高のパフォーマンスになるかもしれない」と述べている。
•フェンティのブランドは、スーパーボウルで自然なイベントポケットを利用して、画面上でセレブやインフルエンサーに製品を使ってもらうなど、広告の機会を統合した。
•年間でもっとも視聴されるTVイベントであるスーパーボウルを利用して、フェンティのブランドは限定版商品を発売してファンに参加意識を提供した。
まとめ
ブランドはソーシャルメディアのインフルエンサーと従来のスポンサー付き投稿で提携する代わりに、彼らを厳選イベントに招待することにより視聴者を魅了することに成功している。ほとんどの場合はポジティブであるが、時にはネガティブなこともある。
ドバイやNYFW、スーパーボウルへの招待旅行はすべてのマーケティング担当者の戦略に一致するわけではないが、ブランドは自社独自のサイロ化されたイベントを作成したり、既存のイベントに関連付けたりした上述の例から学ぶことができる。上にあげた3ブランドが作成したイベントの瞬間はインフルエンサーのレンズを通してオーセンティックな方法で共有された。これは、体験がもっと自然で印象深いと視聴者に感じてもらうのに役立った。
重要なポイントのまとめ
•ブランドを中心としたイベントを作成する場合、多くの視聴者を関与させるためにオーディエンスを魅了する自然なタッチポイント (アクティブなファンベースを持つ人気のインフルエンサーなど) が必要である。
ーータルトはインフルエンサーの豪華な旅行をメインにしたイベントをゼロから作成した。しかし、自社ブランドを宣伝するという明白な意図により、多くの消費者は押し付けられているように感じられた。
•新たな視聴者層を獲得したり、招待客が限定されている伝統的な特別イベントのリーチを広げたい場合には、ライブストリームなどのソーシャルメディアテクノロジーが重要なサポートを提供する。
ーーケイト・スペードは特に若いZ世代の視聴者に対する活性化を目指しており、現在もっとも人気のあるファッションインフルエンサーらにフレッシュなコレクションを紹介させ、また、旬のインフルエンサー2人を起用して多くの視聴者にライブストリーミングを配信した。
•フェスティバルや大規模なステージなど外部イベントにブランドを結び付ける場合には、自社ブランドにとってオーセンティックな広告の瞬間を活用することにフォーカスする。
ーーフェンティは既存のエンターテイメント中心の大イベントを活用した。その結果、リアーナのパワフルなパフォーマンスと並んで、フェンティの非常に意図的なアクティベーション(同社の独自のインフルエンサーを招待したことなど)は非常に適切であると感じられた。
DANIA GUETIERREZ(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)