店員は専門家からジェネラリストへ:百貨店 メイシーズ のCSOが語る、実店舗戦略の刷新

DIGIDAY

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メイシーズ(Macy’s)は、店舗事業全体を見直す過程にある。

最近の動きは、この移行を強調するものだ。同社は最新の決算発表で、モール外に多くの店舗を出店することに注力していると語り、これは一貫してモールを支えてきた方針との明らかな決別だ。同社の最高店舗責任者を務めるマーク・マストロナルディ氏によれば、この移行は強く待ち望まれてきたもので、店舗とその運営方法を見直す長期的な戦略の表れであるという。

マストロナルディ氏によれば、同社の戦略は、すなわち「我々が、発見において、利便性において、そしてサービスとエンゲージメントにおいて、優れた存在であるために、何が必要か? ということについて明確に定義すること」なのだという。

マストロナルディ氏は3月30日の米モダンリテールのポッドキャストに参加し、自分の役割にどのように取り組んでいるかを語った。同氏はラスベガスで開催されたShoptalk(ショップトーク)のステージで話をしたその後で、米モダンリテールのインタビューに応じた。このエピソードはメイシーズがCEOの退任を発表した前日に収録されたものだが、会話を通じて、変化というテーマが明白に感じられた。

マストロナルディ氏が力を注いできたことのひとつは、店員がブランド全体とどのように関わるかを見直すことだった。かつてのメイシーズは専門性を重視し、ある店員はメンズウェア担当、別の店員は寝具類担当、といったように特化していた。現在の同社は、ほとんどの店員が事業のあらゆる分野において万能に対応できるように変更している(メイクアップ、ジュエリー、家具など専門性の高い部門を除く)。

マストロナルディ氏は次のように述べている。「当社は、店頭(フロント・オブ・ハウス)チームと後方(バック・オブ・ハウス)チームを作った。店頭チームは、店頭全体で勤務している。そして、週または日によって、さまざまな場所で働くことができる」。

一方で、メイシーズは新しい店舗のコンセプトにさらに力を入れている。同社には現在、「マーケットバイメイシーズ(Market by Macy’s)」のモール外店舗が8店舗あり、マストロナルディ氏が「パワーセンター」と表現する場所に位置している。これらの店舗は、より厳選された商品を扱う小型店舗だ。そして、従来とは異なる種類の買い物客、すなわち暇なときにモールを訪れるのではなく、もっと明確な意図をもって訪れる客を対象にする構想だ。「パワーセンターの顧客は買い物をする頻度が異なる」と、同氏は述べている。

全体として、主眼になっているのは、顧客がどこに存在するのかに注意を払い、店員の役割を見直すことで、メイシーズの再建を目指すということだ。さらに、同社はeコマースと店舗を別個のものとして考えなくなった。これは、サックス(Saks)などの競合他社とは大きく異なる戦略だ。

「この市場には、店舗の顧客とメイシーズ・ドットコムの顧客が別に存在するわけではない。メイシーズの顧客が存在するだけだ。その顧客は店舗を利用することもあれば、オンラインで買い物をするときもある」と、同氏は述べている。

対談のいくつかの要点を以下に紹介する。この対談は明瞭化のため多少の編集を加えている。

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店員を万能型にする

「1年半前の当社の店舗には、モールだけでなく、モール外の店舗であっても、高度な専門性を持った多くの従業員が勤務していた。これらの人々はそれぞれのカテゴリーや分野の専門家だった。当社は彼らを専門的な知識に応じた部署に配置していた。我々は、1年前に方針を変更し、顧客が当社を必要とするときに、より対応できることを重視するようになった。そして、ビジネスの運用面が変化し、毎日大きく異なることを認識している。たとえば、デジタル事業のために、店舗から膨大な量のフルフィルメントを行っている。そして、その一部は予測が困難なものもある。そのため、顧客が当社を必要とする場所で対応できるような柔軟性が必要だ。そこで当社は、店頭チームと後方チームを作った。店頭チームは現在、店舗全体の業務を担当している。そして、週または日によって、異なるさまざまな場所で働くことができる。これは、従業員にとって、1年前に比べて有意義に異なる体験だ」。

モール外への注力

「モール外の店舗は、モール内の店舗とは完全に異なる場所だと考えている。米国の小売業で、当社が商品を販売しているカテゴリーの3分の2はモール外だ。これはモールの重要性を軽視するものではない。しかし、パワーセンターの顧客は、買い物をする頻度が異なる。食料品店を訪れるのと同じように、もっと頻繁に買い物をする。そのため当社は、モールを頻繁に訪れない顧客に販売する方法を見つけだす必要があった。どのようにして商品を顧客に届ければいいだろうか? それが、マーケットバイメイシーズの取り組みの原動力となった」。

店舗とeコマースを融合させた取り組み

「パンデミックを体験してきて、当社がマインドシェアの観点から行った大きな変更のひとつは、店舗の顧客とメイシーズ・ドットコムの顧客が別に存在するわけではないということだ。この市場には、メイシーズの顧客が存在するだけだ。その顧客は店舗を利用するときも、オンラインで買い物をするときもある。これは状況に大きく依存する。そのため当社は、店舗の要員に大きな変更を加え、マーケットに存在するすべての顧客のカスタマーエクスペリエンスに責任を持つよう指示した。これは、店舗でのビジネスと、デジタルビジネスの両方に責任を負うということだ。そして、デジタルビジネスを市場ごとにセグメント化し、要員に対してその市場に責任を負い、市場の顧客に対応させる。これによって市場シェアを獲得し、リピーターを増やすことができる」。

[原文:Macy’s Marc Mastronardi on the department store’s revamped brick-and-mortar strategy]

Cale Guthrie Weissman(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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