リーバイス、2022年度業績予想を下方修正:D2C販売が好調もサプライチェーン混乱が影響

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リーバイストラウス(Levi Strauss)の北米での売上において、D2C販売は主要な要素だが、サプライチェーンの混乱が依然としてアパレル・ブランドの足かせとなっており、今年いっぱいについて業績予想を下方修正する動機となった。

リーバイスは6月に行われた第2四半期の決算報告で、2022年の成長見通しを維持した。同社はこの四半期、複数のマクロ経済の要因から変更を余儀なくされたと語った。決算発表のリリースによれば、サプライチェーンの問題から、特に米国において約3000万ドル(約44億1000万円)から4000万ドル(約58億8000万円)の売上損失、すなわち2〜3%の成長の損失が発生している。しかし、D2C販売による売上は好調で、米国における同社の成長をけん引してきた。

D2C販売が貢献

リーバイスのプレジデント兼CEOを務めるチップ・バーグ氏は、10月6日の決算報告で次のように述べている。「第3四半期を迎えて、インフレ、消費者心理の低下、金利上昇などさまざまな圧力が重なり、消費者からの需要は弱まった。一方でこの業界は引き続きサプライチェーンの混乱と販売促進環境の激化を経験している。このような理由から、今期が困難な時期だったのは驚くにあたらない。しかし当社は確固とした結果を残しており、恒常通貨ベースで7%の純収益増加を達成し、これは報告ベースでプラス1%に相当する」。

同社が報告した8月28日までの四半期の収益は15億ドル(約2210億円)で、第3四半期としては最高記録だが、ファクトセット(FactSet)により調査された分析よりも1億ドル(約147億円)少ない。同社の同四半期の純利益は1億7300万ドル(約254億円)で、1年前に報告された1億9300万ドル(約284億円)より11%減少している。

リーバイスは、米国において前年比で収益が3%増加した理由のほとんどが、同社のアウトレット拠点や店舗などのD2C販売チャネルだとしている。この四半期に、直販店舗とeコマースの売上はそれぞれ同社の合計収益の29%と6%を占めた。D2C販売は、2020年全体を通して同社の合計売上の40%に相当した。バーグ氏は同社が「今後はD2C販売主導で運営されていく」ことを望んでいると、昨年CNBCに語った

女性向けアパレル成長の可能性

同社はこの数年にわたり、D2C販売でのプレゼンスを作り上げてきた。2020年には北米で初のネクストジェン(NextGen)店舗を開設した。この店舗はサンフランシスコにあり、買い物客に対してカスタムTシャツのデザインを行う「仕立て店(Tailor Shop)」などの追加サービスを行う。今夏のはじめには、自社のウェブサイトとアプリに「ワッツ・マイ・サイズ(What’s My Size)」アルゴリズムや「シー・イット・イン・マイ・サイズ(See It In My Size)」ツールなど、多くのサイズ調整機能を追加した

サードブリッジ(Third Bridge)の消費者部門アナリストを務めるショギー・エム・エゼイザット氏は、メモで次のように述べている。「リーバイスはD2C販売を推進することで、利益率が高まり、新しい商品ラインをテストする可能性を拓くことができるだろう。当社の専門家は、リーバイスがより利益率の高いフルプライスビジネスを成長させ、アウトレット販売の成長軌道を維持するために、よりバランスのとれたアプローチに注力することを推奨している」。

エゼイザット氏は、女性向けアパレルが「リーバイスにとって大きな成長の可能性がある」と付け加える。バーグ氏は決算発表で、同社の女性向けビジネスは8%成長し、そのおもな原動力がリーバイスのボトムスが7%増加したことによるものだと語った。米国内においてリーバイスのブランドは「1ケタ台前半の成長で、女性向けの新しいフィットが堅調に増加している」と述べた。「今日の女性は緩いフィットの服を選んでおり、ハイウエストのジーンズからミッドライズジーンズへとますます移行しつつあると、同氏は説明する。

外的要因からの見通し

しかし、「2022年の1月から8月にかけて、ジーンズの合計売上(男性用、女性用、子供用を含む)は前年の同時期より1%減少し、この減少は女性向けジーンズによって促進された」と、エヌピーディー・グループ(NPD Group)でファッションアパレルを対象とするディレクターと業界アナリストを務めているクリステン・クラシザンモ氏はメールで語った。「昨年は、促進要因と節約の増加から、デニムなど多くの人気カテゴリーが盛り上がりを見せた。価格が上昇し、消費者が支出をより計画的に行うようになるにつれ、このような成長の大きい年と比較すると、業界は横ばい状態になっている」。

それでも、「この市場はパンデミック前の2019年より9%も成長していることを理解するのが重要だ」と、同氏は付け加えている。

リーバイスが前年比でもっとも減少したのは欧州で、2021年の同期間よりも収益が19%も減少している。これは、同社が3月に、ウラジミール・プーチン氏によるウクライナ侵攻への対応として、ロシアでの操業停止を決定したのが理由の一部であると考えられる。同社は当時のニュースリリースで、「この地域で発生している大きな混乱によって、通常のビジネスが維持不可能になっていることから、リーバイ・ストラウス(LS&Co.)は、新しい投資も含めて、ロシアでの商業活動を一時的に停止している」と、述べていた。

[原文:Levi Strauss slashes yearly forecast amid supply chain pressures]

JULIA WALDOW(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Levi Strauss

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