商品販売事業は、パブリッシャーにとって主要な収益源ではないものの収益全体の一部を構成するパズルのピースのひとつであった。しかし、そのパズルのピースは時間とともにかなり小さくなっていることが判明した。
DIGIDAYリサーチが112人のパブリッシャー勤務のプロフェッショナルを対象に行った調査では、過去2年間で商品を販売して収益を得ている会社の数が減少していることが分かった。そして、アフィリエイト・コマースとは異なり、商品の販売は今後成長する分野ではなさそうだ。
調査では、パブリッシャーの46%が商品販売事業から、収益のうち「非常に小さな割合」もしくはそれ以上を得ていることが分かった。しかし、その数は過去1年間で着実に減少している。半年前には、パブリッシャーの54%が商品の販売から少なくとも「ある程度の割合」の収益を得ていると答えており、1年前には60%がそう答えていた。
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商品販売事業から遠ざかる
商品の販売から収益を得ているパブリッシャーのうち、最も大きな割合を占めているのは、収益のうち「非常に小さな割合」を得ているとの回答で、過去1年間で約4分の1の回答者がこのカテゴリに分類されている。一方で、今年第1四半期時点で収益のうち「非常に大きな割合」もしくは「大きな割合」を得ていると回答したパブリッシャーはたったの8%だった。
非常に不確実な経済状況下において、パブリッシャーは今後数カ月ではこれを変更する計画がないようだ。実際、調査では6カ月前に比べると、商品販売事業に焦点を当てる予定だと答えた会社の数はかなり少ない。
商品を売ることで利益を得ているパブリッシャーの数と同様に、商品販売事業に「非常に小さな」もしくはそれ以上の焦点を当てる予定だと回答した会社の割合は、過去1年間で減少している。とくに過去6カ月で数字に大幅な落ち込みがあった。今年第1四半期時点では、パブリッシャー関係者の46%が今後6カ月間で商品販売事業に少なくとも多少の焦点を当てるとDIGIDAYに回答している。この数字は昨年第3四半期には、全体の3分の2(66%)であり、1年前には70%だった。
大手パブリッシャーは商品販売にフォーカス
DIGIDAYの調査によると、大手パブリッシャー(昨年の収益が5000万ドル[約65億5845万円]以上)の多くが、商品販売事業から少なくともわずかな収益を上げている。具体的には、大手パブリッシャーで働く回答者のうち59%が、商品販売事業から一部の収益を得ていると回答した。
商品販売事業から収益を上げている大手パブリッシャーのなかで最も大きな割合を占めるのは、事業のこの部分から「非常にわずかな収益を上げている」という回答(27%)だ。それに続いて、商品販売事業から「少ない収益」を上げている企業が12%。さらに、「非常に大きな」、もしくは「大きな」収益を上げていると回答した企業は合わせて12%だった。
興味深いことに、大手パブリッシャーのなかでは、今後6カ月間に商品販売事業を少しでも重視する割合がより高くなっている。大手パブリッシャーで働く関係者の66%が、商品販売事業の発展に少なくとも一定の重点を置くと回答した。
そのうち、29%が商品販売事業におく焦点は「非常に小さい」と回答した。しかし15%という少なくない割合が、この分野を「非常に大きな」焦点として捉えており、とくに現在の経済状況において、大手パブリッシャー(一般的に規模が小さい企業よりも資源が豊富である)は、いかなる手段を使っても収益を伸ばすため、商品販売事業に潜在能力を見い出している。
小規模パブリッシャーでは事情は異なる
一方、小規模なパブリッシャーはコンテンツ制作という中心業務以外の事業を追加・構築することに関して柔軟性がない。調査では、小規模パブリッシャー(昨年の収益が1000万ドル[約13億1032万円]未満の企業)のうち、商品販売事業から現在収益を得ているのは3割以下(31%)に過ぎないことが分かった。
商品販売事業で収益を得ている小規模パブリッシャーのなかでも、そこから得ている収益が(全体における)「非常に少ない割合」だという回答が最も大きな割合(11%)を占めている。そして、これは当面変わらないだろう。
この31%という数字は、商品事業の構築に何らかの焦点を当てる予定だと回答した小規模パブリッシャーの割合と同じだ。そのなかでも、当てられる焦点は「非常に小さい」との回答が最も大きな割合(14%)となっている。
つまり、小規模パブリッシャーでは商品販売事業は「非常に小さな」焦点であり、想定できる範囲では今後も「小さな」焦点が続くだろう。
[原文:Digiday+ Research: Fewer publishers seek revenue from selling products — even in this economy]
Julia Tabisz(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)