2023年度前期のNHK連続テレビ小説「らんまん」が4月3日から始まる。主人公は植物学者の牧野富太郎(1862-1957)で、俳優の神木隆之介さん(29)が演じる。
同作は2020年度前期の「エール」以来となる男性が主人公。朝ドラでは主人公に女性が据えられ、その生きざまが描かれることが多いが、今作は3年ぶりの男性が主人公の作品だ。制作側に何らかの意図があるのか。J-CASTニュースは識者に意見を求めた。
「たとえ男性が主人公でも…」
データで見てみると、男性が主人公の作品は第108作となる「らんまん」を含めて12作。作品数全体に対する比率は11%であり、男性が主人公の作品が朝ドラでは珍しいことが分かる。
「らんまん」と「エール」以外の他11作は「娘と私」(1961年度・第1作)、「あかつき」(1963年度)、「たまゆら」(1965年度)、「旅路」(1967年度)、「ロマンス」(1984年度前期)、「心はいつもラムネ色」(1984年度後期)、「いちばん太鼓」(1985年度後期)、「凜凜と」(1990年度前期)、「走らんか!」(1995年度後期)「マッサン」(2014年度後期)。初期こそ男女の主人公が交互に登場してきたものの、その後は女性主人公の比率が上がっていった。
「ネットと朝ドラ」の著書で知られるライターの木俣冬氏は、朝ドラに数年に1度のペースで男性が主人公の作品が公開されることについて、「女性主人公続きのマンネリをたまに打破することで、長いシリーズを新鮮に保つという意味合いがあるのではないでしょうか」としつつ、
「とりわけ昨今はジェンダー平等が問われていますから、朝ドラの主人公は女性と決めず、男性にも活躍してほしいという考えもあるかもしれません」
と、時代の潮流にも触れた。
あわせて木俣氏は男性が主人公の朝ドラであっても、女性が主人公の作品とのシリーズとしての共通性は失われていないと指摘する。
「たとえ男性が主人公でも、彼らは娘や妻の生き方を見つめています。彼らの目を通して間接的に女性の生きざまが描かれていたとも言えるのです」
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)