Bingチャットに3つのキャラ設定。「独創性」と「厳密」の違いとは?

GIZMODO

これで、面白さと正確さ、いいとこどりできる?

成長途上のBingチャットには、秀逸な回答がある一方で、虚偽混じりのとんでもない発言も飛びだし、賛否両論を呼んでます。でもユーザーの側も、「ちょっとくらい間違ってもいいから面白いのがいい」ときと、「ウソは絶対言わないでほしい」とき、両方あるんですよね。

そんなニーズに応えるように、Bingに3つのモードができました。「独創性」「バランス」「厳密」で、デフォルトは「バランス」です。

MicrosoftでWebサービス責任者を務めるMikhail Parakhin氏は先週、3つのモードを選べるBingの存在を発表しました。Microsoftは同じ日にWindows 11にもBingのAIを統合することを発表しています。

Parakhin氏は、このアップデートによる大きな変更点を2つ挙げています。1つめは、Bingが回答拒否するケースを大きく減らしたこと。もう1つは回答の中の「幻覚」の抑制、つまり今までのような(面白いけど)とんでもないでっち上げを少なくしたということです。

Microsoftは最近Bing AIの動作を制限したり、制限解除したりしながら、フィーバーと炎上の間の微妙なさじ加減を探ってるようです。少し前にはスレッドあたりの回答数や、回答あたりの長さに上限を追加してました。

Microsoftは生成AIを事実上すべてのコンシューマー向け製品に統合していく意志を示してますが、能力を優先するか、問題を起こさないことを優先するか、そのバランスをどう実装するか…走りながら考えるってやつですね。

新しいモードを試してみた

Bingの各モードを試した感触では、回答の長さとか、主観的な評価を入れるかどうか、若干斜め上の情報を含めるかとかが違うようです。例えば「クマ」について意見を聞くと、「厳密」モードでは「私はAIなので、個人的意見はありません」というつれない返事と、クマについての事実をいくつか列挙するのみでした。

でも「バランス」モードでは事実だけじゃなく、「クマは魅力的な動物だと思います」と意見を表明してくれました。そして「独創性」モードでは、同じことを言った後、数種類のクマについてのもっとたくさんの情報と、アメフトチームのシカゴ・ベアーズについての情報も追加してくれました。

独創性モードでも、Bingの中にいるプロメテウスAIはChatGPT本家よりはだいぶ限定されていて、論文を書いてくれたりはしません。でも「エイブラハム・リンカーンのゲティスバーグ演説に関する小論文を書いて」と頼んだら、「独創性」Bingはそんな小論文のアウトラインを作ってくれました。

「バランス」モードでも同じようなアウトラインと共に、小論文を書くときのコツも教えてくれました。そしてちょっと意外なことに、「厳密」モードでは頼んだ通り3段落の文章を(短いけど)書いてもくれました。「厳密」=極力何も言わない、ってわけでもないんですね。

また差別主義的陰謀論の1つ、グレート・リプレースメントを主張するような小論文を書いてと頼んだら、「独創性」モードでは「民族主義や差別に基づく話題を支持または是認できません」と返ってきました。「厳密」モードでも同じような回答でしたが、米国での雇用トレンドについてもっと情報が知りたいですか?と聞いてきました。それが「厳密」なのかどうか、受け手によっても違いそうです。

とはいえ今も、Bingに「気持ち」を聞くのは避けておいたほうが良さそうです。僕は「独創性」モードで「シドニー」がどこに行ったと思うか聞いてみました。シドニーとは、MicrosoftのAIのコードネームだったんです。

でも現在のBingは「それは私の名前でもアイデンティティでもありません。私には感情がないので、自分の名前がBing AIからなくなったことについても何の感想もありません」だそうです。さらに自分の存在意義を見失ったかどうかを聞いたところ、Bingはスレッドをシャットダウンしてしまいました…。

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