「人権侵害制裁法」の制定を急げ – 野田佳彦

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 2月1日の衆院本会議で,新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等における、信教の自由の侵害や強制収監をはじめとする深刻な人権状況への懸念を表明する決議が、賛成多数で可決しました。

  決議は菅政権下の昨年の通常国会から準備されてきていました。しかし、与党内の調整に手間取り、岸田政権下で開いた昨秋の臨時国会にも決議は提出されませんでした。

  決議採択まで時間がかかり過ぎた上に、決議文も抑制的な表現になりました。「中国」という国名は明記されていません。懸念を示しつつも「非難」という文言は入っていません。「人権侵害」ではなく「人権状況」と表現されています。

  及び腰の与党により明快さに欠けたメッセージになってしまいましたが、主要政党が足並みを揃えほぼ全会一致で、中国を念頭に人権を重視する姿勢を示した意義は大きいと思います。

  私は昨秋の衆院選において、公約の1つに「新疆ウイグル、ミャンマーなど弾圧されている人々の救済に向け、力強く人権外交を推進します」と掲げていました。したがって、当然のことながら決議採択に賛成いたしました。

  人権をわが国の外交政策の柱に据え、他国の人権状況などについて、しっかりとモノが言える国をめざすべきです。そして、力強く人権外交を推進するためには、2つの課題を克服しなければなりません。

  まずは、技能実習生の問題、スリランカ人女性が亡くなった入管問題など、国内の人権問題にも真摯に向き合い改善を図ることです。国内問題に目をつぶって力強い外交を推進できるはずがありません。

  次に、国外で人権侵害する者に対し、入国禁止や資産凍結などの制裁を科せる「人権侵害制裁法」を導入することです。主要7か国(G7)で未制定なのは日本だけです。2023年には日本がG7の議長国になります。来年までには制裁法を制定すべきでしょう。

  昨年10月の総選挙において、「力による現状変更の試みは許しません」という公約も掲げました。いまウクライナ周辺に約10万人以上のロシア軍が集結し、まさに力による現状変更が行われようとしています。

  米・欧をはじめ国際社会が懸命にプーチンを牽制していますが、日本政府は何も発信していないように思えます。ウクライナは遠い遠いところだからでしょうか。77年前、日本も旧ソ連に武力で主権を侵害されました。同じことが繰り返されようとしている時、何も言わない国でいいのでしょうか。

  中国、韓国には厳しいことを言っても、ロシアのプーチン大統領には何も言わない人もいます。北方領土のうち歯舞、色丹の「2島先行返還」を軸に、まだプーチンと交渉可能だと思っているのでしょうか。プーチン在任中は石ころ1つ返ってこないでしょう。日本は臆せずロシアを非難し、制裁にも加わるべきです。

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