大手プレスリリース配信サイト「PR TIMES」でゲームの不正ツールが宣伝されていた問題で、金融庁から警告を受ける海外FX(外国為替証拠金取引)業者が多数紹介されていたことが新たに分かった。
海外FXをめぐっては、国民生活センターへ投資被害の相談が急増している。運営会社は審査体制の不備を認め、「金融商品取引法に抵触する可能性を否定できない」と話した。
「最大レバレッジ1111倍」「怒涛のサービス向上」
FXとは、販売業者に証拠金(担保)を差し入れ、2つの国の通貨の為替相場を予測して売買差益を狙う取引を指す。
FXの勧誘など金融商品取引業に携わるには国の登録が必要で、違反すると5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金が科される。しかし無登録の海外業者が少なくなく、追及も難しいためトラブルの温床となっている。
国民生活センターによれば、FXに関する相談は年々増加し、19年度が751件、20年度は1585件、21年度は3026件あった。22年度も23年3月6日までに2071件寄せられている。金融庁は問題業者には警告書を送り、社名を公表している。
そうした警告を受けた業者が、PR TIMESでたびたび紹介されていた。2022年1月以降、少なくとも十数以上のリリースで、無登録の海外FX業者が登場していた。
たとえば金融メディアを運営するIT企業は、支持されるとうたうFX業者をランキング形式で紹介。リストの11社は無登録業者で、「信頼性が高く、ボーナスキャンペーンを豊富に行っている業者が人気」と分析していた。結果をもとにした比較ページでは、それぞれの業者の特徴を列挙し、「今すぐ口座開設」と書かれたボタンが設置されている。送客数や契約数に応じて得られる「アフィリエイト」収入が目的とみられる。
海外FX業者を利用したFXシステムの提供企業は、「面倒な作業は一切不要。スマホにアプリをインストール、たったそれだけで、最短1時間後には年金2000万円問題の解消が現実的に」と宣伝していた。リリースは22年1月に配信され、現在はキャンペーンページ、企業サイトともに閲覧できなくなっていた。
海外FXの比較サイトを運営する日本企業は、無登録業者とのタイアップ企画をPRする。この業者の特徴を「最大レバレッジ1111倍」と紹介し、「怒涛のサービス向上によって注目度が高まっている海外FX業者です」と勧めた。日本では投資家保護のため、最大レバレッジ(取引倍率)を25倍と定めている。
いずれのリリースも、無登録業者であることや投資リスクには言及していない。