ファッションと美容のブランドが アート界 に参入:セレブも注目するフリーズ・ロサンゼルス2023

DIGIDAY

2019年にロサンゼルスでデビューして以来、フリーズ・ロサンゼルス(Frieze L.A.)はセレブリティや世界のアートフェアシーンを魅了している。2月16日から19日まで開催された2023年のフェアでは、ファッションと美容のブランドが参加を果たした。

サンタモニカ空港で開催された今年のメインイベントでは、マーゴット・ロビー氏やオーウェン・ウィルソン氏といったセレブリティがあちこちのブースを歩き回る姿が見られ、週末に開催された多様なアフターパーティには数え切れないほどの人々が訪れた。一流ギャラリーと競って精鋭のアート界の注目を集めたのは、イベントのスポンサーとなり、フェアをベースにしたアクティビティを開催し、アーティストとのスペシャルエディションのコラボをローンチした、じつにさまざまなファッションブランドや美容ブランドである。

アーティストとのコラボレーションによるアクティベーション

フリーズでは、スキンケアブランドのドクターバーバラシュトルム(Dr. Barbara Sturm)と高級時計メーカーのブレゲ(Breguet)が、優れた作品を鑑賞してひと休みしたい来場者のためのポップアップ・アクティベーションを主催した。来場者はQRコードをスキャンして登録すると、ドクターバーバラシュトルムの「Anti Inflammatory Lounge(抗炎症ラウンジ)」にアクセスできる。そこでは、無料サンプルやスパの割引クーポンを受け取れるだけでなく、ジュースバーを楽しみ、ミニフェイシャルを受け、赤色光治療器の体験や商品が当たるアーケードゲームで遊ぶことができた。一方、ブレゲは、パブロ・ブロンシュタイン氏のアートワークと歴史的なアーカイブの時計コレクションが展示されたシックなラウンジを主催。さらに、その場では時計職人によるギョーシェ彫りの実演も行われた。会場外ではロエベ(Loewe)が、2月15日にゲティ・ヴィラ(Getty Villa)で同イベントの公式ウェルカムパーティのスポンサーとなっている。

フリーズやアート・バーゼル(Art Basel)のような一流のアートフェアは、生活においてより洗練されたものを鑑賞することに関心がある消費者グループが集うため、ブランドにとって最高のマーケティング機会となっている。アクティベーションは、アーティストやギャラリーとのコラボレーションという形をとることが多い。

ロサンゼルスを拠点とする時計メーカーMVMTは、現代ミニマリストのアーティスト、キム・ローズ氏とチームを組み、限定版「オーダーアンドカオス(Order and Chaos)」コラボレーション・コレクションを発表した。このコレクションは、MVMTがスポンサーとなったローズ氏の初の個展のオープニングでもある18日のパーティで発表された。

MVMTのチーフ・ブランド・オフィサーのスペンサー・スタンボー氏は、「私たちのブランドにはアートをかなり重視する面があり、ファッションとアートの交差はブランドにとって非常に重要だ」と語る。

このコレクションは、300点のネックレスと300点の時計で構成され、価格はそれぞれ248ドル(約3万3800円)となっている。時計の文字盤とネックレスのペンダントは、それぞれローズ氏の作品を切り抜いたものを樹脂でコーティングして作られており、各アイテムには固有の番号が振られ、コレクターズアイテムとして機能する。

「彼女の大判の絵画は5万ドル(約680万円)で売れる。そこに私たちが参入し、作品を解体してバラバラにし、ウェアラブルなアートを手に取りやすい価格で販売することは、当社にとって非常に意義がある」と、スタンボー氏は述べた。

セレブリティも多く出席したパーティ

一方、ファッションブランドのドリス・ヴァン・ノッテン(Dries Van Noten)は、リッソン・ギャラリー(Lisson Gallery)と提携した。両者は共同で、2020年にオープンした同ファッションブランドのLA旗艦店に隣接するギャラリー、ザ・リトルハウス(The Little House)にて、アーティストのライアン・ガンダー氏の展覧会を開催した。

また、16日にメルローズ・プレイスの新店舗を発表したメゾン・マルタンマルジェラ(Maison Martin Margiela)にとって、フリーズ・ロサンゼルスは店舗オープンに最適なタイミングとなった。その夜のグランドオープニングパーティには、ドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界(Stranger Things)』の俳優ジェイミー・キャンベル・バウアー氏やコメディアンのベニート・スキナー氏、そしてLL・クール・J氏といったセレブリティが多数出席、ラッパーのセイント・ジョン氏がTikTokでバイラルとなった曲「Roses」を披露した。

一方、サルヴァトーレ・フェラガモ(Salvatore Ferragamo)は新しいクリエイティブディレクターのマクシミリアン・デイヴィス氏のデビューコレクションを祝うディナーを16日に開催、女優レイチェル・セノット氏、モデルのセーラム・ミッチェル氏、歌手のキロ・キッシュ氏、マライア・エスコバル氏など、Z世代のセレブリティが出席している。

デザインに力を入れたウエストハリウッド店を1月にオープンしたばかりのカルトガイア(Cult Gaia)は、17日にパーティを開き、ブランドの創業者ジャスミン・ラリアン・ヘクマット氏が太陽を見つめている姿を表現した蝋の彫刻を発表した。公式な作品説明によると、その彫刻は「新しいものになるために、温かい光を浴びる準備ができた」人物を象徴している。「形の破壊は、新しい形そのものの表明である。身体が溶けるというメタファーは創造の母となり、破壊そして再生のサイクルとなる」と説明には記されている。

[原文:Fashion and beauty brands tap into the art crowd at Frieze LA 2023]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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