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はじめに
毎週金曜にはげます会会員限定のメルマガを配信しています。限定コンテンツのコラムで「行ってよかった市区町村」を紹介。今回はつりばんど岡村さんからのイチ推しの場所です。
不老不死になれそう青森県西津軽郡深浦町
(つりばんど岡村)
10年前、なんだか面白そうだ、と軽い気持ちで引き受けた青森県五所川原への長期出張で、私は残業地獄を味わうことになった。
そして三ヶ月連続で残業時間が規定時間を大幅に超えたことを理由に産業医面談を受けた。
面談で医師が目の前でピースをして「何本にみえる?」と言うので「2本」と答えたところ「少し休んだ方がいい」と診断されてしまった。
何本が正解だったのか未だに気になる。
会社から休みをもらい、静養先に選んだのは青森県西津軽郡深浦町にある黄金崎、不老ふ死温泉。
名前のインパクトも強いが、旅行雑誌でみたビジュアルもまたインパクトが強くここしかないと思ってしまった。
そして不老不死の身体を求め、青森と秋田の海沿いを走るリゾートしらかみという列車に乗ってその温泉へ向かった。
これは星野鉄郎が機械の身体を求めて、銀河鉄道999に乗り込んだのと同じ図式である。
さて、着いた宿にはひっそりと萩本欽一氏のサイン色紙が飾ってあった。欽ちゃんの知られざる若さの秘訣を知ってしまった思い。
さっそく小走りで「欽ちゃんみたいに不老不死になるー」「始皇帝に勝つ―」などと言いながら露天風呂へ向かう。
この露天風呂は二つに区切られており、一方は混浴、もう一方は女性専用となっている。
生まれて初めての混浴にドキドキしたが混浴に入っているのは私一人であり良かったような、良くなかったような、ま、良かったよな、と思い海を見ながら温泉に浸かる。
その日は風が強く波が温泉にバッシャンバッシャン流れ込み、まるで海全体が温泉になったかのような錯覚を覚えて楽しい。
「いやあ、最高だねえ」
などと鼻歌も出始めたころ、私の浸かる混浴風呂へバスタオル姿の新婚カップルが入ってきた。
私などいないかのように二人で何か話し合いながら、こちらの気も知らずに平常心で堂々と温泉に入ってくる。
あまりの堂々振りにこの新婚カップルが中尾彬、池波志乃夫妻にみえ、風呂から飛び出し小走りで部屋に引き上げてきてしまった。
少しして食堂で夕食を食べていると、先ほどの新婚カップルがまたやってきて他にテーブルがいくつも空いているのにわざわざ隣のテーブルで食べだした。
翌日の朝食のときも同じであった。
(俺を追いかけているのか?)
と思ったら、急に夫のほうが私の耳元で「追いかけて~、追いかけて~、追いかけて~雪~国~」と歌い出したので驚いた。うそです。
その後、宿を出て世界遺産の白神山地、十二湖の青池へ行って帰ってきた。
結局、不老不死になることは出来なかったし一泊二日では大した静養にはならなかったが、この旅行をきっかけにして職場の残業地獄が緩和されることになった。
心から不老ふ死温泉には行ってよかった。
終わってふたたび解説です
三ヶ月連続で残業時間が規定時間を大幅に超え面談を受けたつりばんど岡村さんが行った先は『不老ふ死温泉』でした。名前が最高の温泉ですね。新婚カップルが中尾彬、池波志乃夫妻にみえたということで、相当疲れていたんだと思います。
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