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Shopify(ショッピファイ)は最新のアップデートで、決済ページを大幅に刷新する。「ワンページ」決済や、ロイヤルティのメンバーシップ、アドオン、ID認証などの機能をコードレスで提供するなど、より合理的なユーザー体験を提供することを目的としている。
「ワンページ」決済の実装
同社のプラットフォームは米国のeコマース全体の10%、全世界の経済活動において4440億ドル(約59兆1000億円)を占めるといわれており、2月9日木曜日に行われた半年ごとのShopify Editions(ショッピファイエディション)の発表で、これらのアップグレードを公開した。このアップデートには、Shopify Fulfillment Network(ショッピファイフルフィルメントネットワーク)のアップグレードと、Shopアプリで使用するマーチャント(加盟店)向けの多くのカスタマイズツールも含まれている。Shopアプリは2020年にパッケージを追跡するため使用開始されたものだが、そのあとで、ショッピングができるマーケットプレイス形式のプラットフォームへと進化し、ブランドがこの場所で自社商品をプロモートできるようになった。
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しかし、顧客向けの最大のアップグレードは、「ワンページ」決済の実装だ。Shopifyの既存の決済ページでは、買い物客が個人情報、配送情報、請求情報を入力するため、複数のページを順に経由する必要がある。しかし、このワンページアップデートにより、それらの操作が統合され、ページ間での読み込み時間がなくなるため、そのタイミングで顧客が購入を止めてしまう恐れもなくなった。
また、Shopifyは新しい決済エディター(Checkout Editor)もリリースする。これはマーチャントが決済ページをカスタマイズするためのツールで、指定ファイルのコードを編集するのではなく、使用するツールをドラッグアンドドロップして編集を行える。
Shopifyの商品ディレクターを務めるマニ・ファゼリ氏は、これらのアップデートによって、従来よりも簡単に顧客情報を自動入力できるようになるとともに、ロイヤルティプログラム、ギフトの受け取りオプション、アップセルの機会などの拡張機能を追加でき、各マーチャントの個別のニーズに合わせてページをカスタマイズできると、米モダンリテールに語った。
「買い物客の操作において、ルック&フィール、およびエクスペリエンスの一貫性は重要だ。しかし、マーチャントの業務上のニーズや業務プロセスに合わせて決済に独自性を持たせる要素もまた重要だ」と、同氏は述べている。
Shopペイの利用者増加に期待
このShopifyのアップデートは、実店舗が閉店するなか、買い物客がオンラインショッピングに傾いた2020年と2021年に達成した過去最高の売上高に匹敵することが、eコマース事業者にとってますます困難になっている時期に行われたものだ。同社の2023年コマースレポート(Commerce Report)には、Shopifyプラス(Shopify Plus)のマーチャントへの調査結果が含まれており、その35%は2022年に買い物客の平均購入価格が減少したと回答している。回答者の半数は、サイトのトラフィックが減少し、コンバージョン率が低下していると答えている。一方で、UX調査企業のベイマードインスティテュート(Baymard Institute)によれば、eコマースブランドは70%という高いカートの放棄率に悩まされている。
この新しいカスタマイズ機能によって、Shopifyが提供する顧客情報を保存する高速決済サービスであるShopペイ(Shop Pay)を使うマーチャントが増えるかもしれない。Shopifyによれば、このサービスは通常の決済よりも、コンバージョンが72%増加し、モバイルでは91%も増加するという。しかし、このサービスは特定のカスタムチェックアウト(決済)ツールと統合できないため、このサービスを敬遠するマーチャントもいると、ファゼリ氏は述べている。Shopifyは、同社の登録ユーザーの1億人以上がこのサービスにアクセスしていると語る。
「これは、カスタマイズを行う必要があり、買い手が決済を迅速化するための好みの方法を選びたいとき、そのカスタマイズを手放したくないマーチャントにとって、事態を一変させる、真の解放だと我々は考えている」と、ファゼリ氏は述べる。
eコマースへのアクセスを民主化する
決済のアップデートは、発表から数週間で段階的に導入される。これによってShopifyは、サービスが顧客の期待を満たしているかを確認するための時間を確保できると、同氏は述べている。
アエロソールズ(Aerosoles)、ハットヘブン(Hat Heaven)、フィード(Feed)などのブランドと協力してきたeコマース代理店のロスウェル・エヌワイシー(Roswell NYC)でマネージングディレクターを務めるナハール・クルカルニ氏は、新しい拡張機能を加えることで、あらゆる規模のマーチャントがアドオン、ロイヤルティメンバーシップ、非侵襲的ピクセルトラッキングなど、多くのツールへアクセスが可能になり、「eコマースへのアクセスを民主化する」ため役立つと述べている。
「マーチャントが決済用の拡張機能のコーディングを代理店パートナーに依頼する時代は終わった」と、同氏は述べている。
新しいアップデートは、各ブランドが自社のアイデンティティを反映したチェックアウトエクスペリエンスを確保したいことに応えるものだと、同氏は語る。
同氏は次のように述べている。「Shopifyの決済画面はまったく同じなので、URLを見なくてもShopifyだと判別できる。このブランドエクスペリエンスは、今後のマーチャントにとって、決済が、従来操作していたサイトの場所とエクスペリエンスが不連続に感じられないようにするために重要になる」。
ショップアプリのアップデート
ワンページのチェックアウトエクスペリエンスに加え、Shopifyの新しいエディションでは、ショップアプリにも多くのアップデートが加えられている。新しいアップデートは、マーチャントがアプリ内の自社ページのルック&フィールをカスタマイズする選択肢を増やすことを目的にしている。
これには、マーチャントが行えることを、開発者がカスタマイズするため使用できる、新しい開発キットも含まれている。また、マーチャントが商品のコレクション、ベストセラー、レビューなどのレイアウトを使用して、自分たちのショップストアをカスタマイズするためにも使用できる。
Shopifyの商品担当バイスプレジデントを務めるカール・リベラ氏は、このアップデートはブランドが独自のアプリを構築して保守する必要なく新しい買い手を見つけ、「関係を所有する」ために役立つことを目的としていると、米モダンリテールにメールで語った。
同氏は次のように述べている。「より基本的なレベルで、マーチャントから、自分たちのショップストアにより多くの独自ブランドを持ち込む必要があるという声を聞いている。このため当社は、カスタマイズの選択肢を増やし、ショップアプリがマーチャントのオンラインストアの有機的拡張だと感じられるようにした」。
プログレスラボス(Progress Labs)のウェブ開発者であるパトリック・ジョンソン氏は、Shopifyが顧客への新しいコネクターとしてショップを重視していることを、この発表が示していると語る。また、ブランドやベンダーがプラットフォームをよりクリエイティブに使えるようにすることの重要性も示している。これは、さらに多くのブランドがShopifyを使い続ける誘因になる可能性がある。
「Shopifyはより技術的に独立した有能なオプションに向かい、それによってブランドが基本設定のソリューションを利用しながら、カスタムブランドのエクスペリエンスにアクセスしやすくしているように感じられる」と、同氏は述べている。
[原文:Shopify is launching ‘one-page’ checkout and new Shop app updates]
Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Shopify