700km以上の大きさの雷!? 2020年に観測された2つの巨大な雷が世界記録を更新

GIZMODO

規模にビビる。

世界気象機関(WMO)は雷に関する2つの世界記録を認定したと発表しました。1つは稲妻が駆け抜けた距離の最長記録、もう1つは雷が光っていた時間の最長記録です。

記録を更新した雷が観測されたのは北米のグレートプレーンズと南米のラプラタ盆地で、どちらも激しい雷が頻発することで有名なホットスポットでした。この地帯の上空は、いくつかの積乱雲が複合体となって効果的に激しい天候をもたらすメソ対流系(MCS)が起きやすい場所。MCSが生み出す強力なクラスの稲妻「スーパーボルト」は、雲から雲へと約100km(60マイル)あるいはそれを上回る距離を高い高度で横に走ることがあります。

2つの最長記録は、2月1日に発表されました。世界気象機関はそういった事象の門番として気圧、降雨、あられ、風、稲妻、トルネードや熱帯低気圧と関係のある気象の異常をトラッキングしている国連の専門機関です。2つの新記録の詳細は科学ジャーナルBulletin of the American Meteorological Societyに掲載されました。

2020年6月18日、ウルグアイとアルゼンチン北部の上空で単一の「メガフラッシュ」の閃光が17.102秒間も続きました。これまでの記録は2019年3月にアルゼンチン北部に観測された16.73秒間だったので、記録を塗り替えることとなりました。

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Image: WMO

2020年4月29日、一発の雷がテキサス州ヒューストンからミシシッピ州南東部までなんと約768km(477.2マイル)を移動。およそニューヨーク市‐オハイオ州コロンバス間に相当する距離です。この新記録は2018年10月31日にブラジル南部で観測されたものより、約60km(37.3マイル)も長いことになります。

WMOの異常気象と天気の報告担当Randall Cerveny氏はプレスリリースの中で「これらは1発の雷の閃光からの並外れた記録」であって、「環境的な異常とは自然の力の生きた物差しであり、こういった評価を行なえるというのは科学的な進歩でもある」と述べていました。

今回の新記録を捉えたのは、気象衛星GOES-16とGOES-17に搭載された静止軌道雷マッパーでした。これらの観測機器はヨーロッパとアジアを網羅している気象衛星とともに、今では全球規模に近い範囲の雷の閃光を取り扱っています。Cerveny氏は「さらに大型の現象がまだ存在している可能性があり、雷検知技術が向上すれば観測が可能になる」と述べていました。メソスケールの稲妻閃光は1950年代に初めて検知されましたが、検知技術の改良によって記録は幾度となく破られています。

ちなみに米GizmodoのDvorsky記者はメガフラッシュがかつて最長距離を記録した2018年のハロウィンに、トロントからサンパウロ、そして乗り継ぎ待ちを経てリオ・デ・ジャネイロへと飛んだとか。リオに向かう空の旅は今までで最も不安になった大荒れなフライトだったと回想しています。

Dvorsky記者のフライトは無事でしたが、そのような嵐や雷によって人間の命と財産に被害が及ぶ可能性を警戒する必要があります。WMOのPetteri Taalas事務局長はプレスリリースの中で、雷は「毎年、大勢の命を奪っている大規模な危険現象」だとコメント。そのため、今回の報告は「極めて遠い距離を光が駆け抜けられる電気を帯びた雲に対する、世間の安全への懸念を浮き彫りにする」と述べていました。

Source: NOAA National Severe Storms Laboratory, World Meteorological Organization, American Meteorological Society

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