アドアミー、NYFWで ライブストリーミング によるショッピング可能なショーを展開:これまでの実験の集大成

DIGIDAY

ランジェリーブランドのアドアミー(Adore Me)は2022年2月に初のファッションショーを開催したが、今年、ニューヨークファッションウィーク(以下NYFW)に戻ってきた。2月10日に行われた今年のショーにはライブストリーミングショッピングという新しい要素が含まれた。

ライブショッピング実験の集大成となるNYFWのショー

アドアミーのCMOであるクロエ・シャヌデー氏によると、同社は1年以上にわたってライブショッピングの実験を行ってきたというが、今回はこれまでで最大の実験となる。2月10日のショーのあいだ、オンラインの視聴者はアドアミーのウェブサイトでライブストリーミングを見ることができる。サイトでは、ライブショッピング会社、キャストTV(Caast.tv)のテクノロジーのおかげで視聴者はランウェイを歩きながらリアルタイムでルックを購入できるようになる。

シャヌデー氏は、このアクティベーションはアドアミーのさまざまなライブショッピング実験の集大成であると述べている。初期には、同社は高価なプロ用カメラをレンタルしたり、プロのQVCホストを起用したり、星座に基づいた製品を紹介するテーマストリームの作成やインスタグラムなどの異なるプラットフォームの活用などを試みていた。

シャヌデー氏は、最終的にいくつかの成功戦略が明確に浮かび上がってきたと述べている。

「高い制作価値を目指す価値はないということが早い段階でわかった」とシャヌデー氏。「よそから人を起用するよりは、インフルエンサーパートナーの誰かや自社の従業員をホストにしてスマホで撮影してもっと成功を収められている」。

シャヌデー氏によると、プラットフォームの選択と同社がストリーミングについて顧客に通知する方法が主要な成功要因であるという。アドアミーのインスタグラムには80万人以上のフォロワーがいるが、インスタグラムライブのショッピングイベントに参加したのは数百人だけだった。しかし、同社のメインサイトで開催され、SMS登録者にリンクが送信されるストリーミングは1回につき4000人以上の視聴者を定期的に惹きつけている。これは、アドアミーのSMS登録者数がインスタグラムのフォロワーよりも大幅に少ないにもかかわらずである。ただし、シャヌデー氏からはSMS登録者数は共有されなかった。

NYFWのショーではこのような戦略の多くを起用する予定だ。これは、マーケティングに関してはより少ないリソースでより多くのことを行うというシャヌデー氏の全体的な目標の一環であると同氏は語っている。現在、TikTokでマクロインフルエンサーから1件の投稿を得るよりも、NYFWでファッションショーとそれに付随するライブショッピングストリームを制作するほうが安上がりだとシャヌデー氏は述べている。参考までに、クリスチャン・シリアーノ氏は平均的なNYFWショーの制作費は約4万ドルであると昨年述べている

「当社のようなD2Cブランドは通常ファッションウィークには登場しない」とシャヌデー氏。「だが、当社にとって有効なNYFWへのアプローチ方法を見つけた」。

ライブストリーミングショッピング市場の爆発的な成長

米国のライブストリーミングショッピング市場は成長を続けており、昨年のeコマース収益は約200億ドル(約2.6兆円)に達している。だが、中国の3000億ドル(約39兆円)の市場規模と比べるとまだ小規模である。ノードストロム(Nordstrom)や アルド(Aldo)のような米国企業は(ライブストリーミングショッピングという)機会に投資を続けている。

コアサイトリサーチ(Coresight Research)のCEO兼創業者であるデボラ・ワインスウィグ氏は次のように述べている。「ライブストリームショッピングは中国で短期間で0から3000億ドル(約39兆円)の産業に成長した。米国市場が中国のようになると確信している」。

アドアミーの小規模でコア顧客を対象にしたNYFWショー

アドアミーは最近ヴィクトリアズ・シークレットに買収された。その取引は1月3日に完了している。この新しい親会社はかつて話題を集めた毎年恒例のファッションショーで有名だが、戦略の全面的な改革を行うまでショーの開催を中止した。ヴィクトリアズ・シークレットの最後のファッションショーは2018年である。

シャヌデー氏によると、大規模なポップカルチャーイベントを組織するというヴィクトリアズ・シークレットと同じ方法でアドアミーのショーにアプローチはしていないという。その代わり、アドアミーのランジェリーファッションショーは、コアの既存顧客を対象に、焦点をもっと絞った小規模なものだ。

シャヌデー氏は次のように述べている。「私は(ヴィクトリアズ・シークレットのショー戦略について)内部の知識を持っていない。ヴィクトリアズ・シークレットが別のショーを行うかどうかも、いつ行うのかも知らない。当社の買収以来、ヴィクトリアズ・シークレットはアドアミーが独立しているべきだと強く主張している」。

[原文:Following Victoria’s Secret’s acquisition, Adore Me is airing its own fashion show

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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