iPhoneなどのApple製品に搭載されている音声アシスタントAIといえば「Siri」ですが、このSiriに話しかけることでプログラマーでなくてもアプリを開発できる方法をAppleが研究していると報じられています。Appleは複合現実(MR)や拡張現実(AR)デバイスの可能性に注目してARグラスやMRヘッドセットをリリース予定と報じられており、そういったMR・ARのアプリ開発に役立てられる見込みです。
Apple Devising Software to Help Anyone Build AR Apps, to Drive Headset Sales — The Information
https://www.theinformation.com/articles/apple-devising-software-to-help-anyone-build-ar-apps-to-drive-headset-sales
Apple is reportedly working on a way to make AR apps that’s as simple as talking to Siri – The Verge
https://www.theverge.com/2023/1/27/23574328/apple-ar-apps-siri-mixed-reality-headset
Apple wants everyone to create ‘Reality Pro’ headset apps using Siri, internal demos focused on health and storytelling – 9to5Mac
https://9to5mac.com/2023/01/27/apple-headset-apps-siri/
Apple’s Headset Will Reportedly Let Customers Create AR Apps via Siri – MacRumors
https://www.macrumors.com/2023/01/27/apple-headset-ar-apps-via-siri/
アメリカのテクノロジー系メディアであるThe Informationが2023年1月27日に公開したレポートによると、Appleがリリースすると噂されているMRヘッドセット用のアプリの開発を、音声アシスタントAIとして知られるSiriを使って可能にする方法に取り組んでいるとのこと。AppleはARやMRの開発を進めるために求人情報や人事異動によってプロジェクトを強化していると報じられている他、2017年にはカナダを拠点にするFabric Softwareというスタートアップを買収しており、このFabric Softwareの技術がSiriによるアプリ開発をサポートしているとThe Informationは述べています。
AppleはAR-VRヘッドセット開発に向けて採用や人事異動などチームを強化している – GIGAZINE
by HS You
The Informationによると、このSiriを用いた開発ツールは、例えば動物のオブジェクトを一から設計して障害物のある空間での動きを計算してアニメーションをプログラムしなくても、動物が部屋の中や現実の物の周りを動き回るアプリを作ることができるそうです。The Informationはこれを、プレイヤーが独自の世界やゲームを制作して他プレイヤーと共有できる「MinecraftやRobloxのようなツール」と表現しており、ユーザーがARアプリを作成してApp Storeで配布できるようになる可能性も示唆しています。
また、ヘッドセットで現実世界の物体をスキャンすることでアプリ用の3Dモデルを作成する方法にも、Appleが取り組んでいるとのこと。スキャンによるモデル作成とSiriを用いたアプリ開発を合わせて動作させることで、ヘッドセット用のARアプリを作るための参入障壁が大幅に下がると考えられるため、「ヘッドセットが高価なのにアプリが満足にそろっていない」というような状況にならず、より魅力的なデバイスをリリースできると期待されています。
一方で、Apple関連のニュースを扱う9to5Macは、今回の報道を受けて、「SiriがARやVRのアプリを作成するために直接使用されているのではなく、ヘッドセットでアプリを開発できるプロセスの初期インターフェースとして、Siriが案内してくれるのではないかと思えます」とコメントし、初期インターフェースとしてSiriが案内した後は、ヘッドセットの異なるオペレーティングシステムが働く仕組みで、Siriはあくまでサポートに回ると予測しています。
The Informationが報じた内容では、Appleの上級幹部は「VRの開発は他のプロジェクトとマッチしておらず孤立している」と考えており、ARアプリの開発に強く興味を示していると記されています。実際に、ティム・クックCEOが繰り返しARを賞賛していたり、健康やライフスタイルに焦点を当てたARデバイスを開発していると報じられていたりと、ARに力を入れていることが確認されています。
なお、The Informationのレポートは2021年にツールのデモンストレーションを見たという情報源を引用しているため、少し古い情報に基づいており、Appleがそれ以降に計画を変更した可能性はあります。Appleの開発状況等についてメディアが問い合わせたところ、Appleは特にコメントを返していません。
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