ロシア軍の残虐行為を暴いた人工衛星の性能はどれほどなのか?

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ロシア軍がウクライナの一部地域から撤退した後、ロシア軍によって殺害された大勢のウクライナ国民の遺体が発見されました。ロシア軍は民間人の殺害を否定していますが、宇宙から撮影された衛星画像によって「ロシア軍の撤退前から遺体が放置されていた」という事実が明らかになっています。科学系メディアのLive Scienceが、この衛星画像を撮影した人工衛星の性能についてまとめています。

Mass grave and bodies in Ukraine imaged from space | Live Science
https://www.livescience.com/bucha-massacre-captured-satellite

ウクライナのハンニャ・マリャル国防次官は、2022年4月3日にウクライナ軍がロシア軍からキーウ(キエフ)全域を奪還したことを発表しました。これに伴って報道各社がキーウ入りし、キーウの北西に位置するブチャで民間人と思われる大勢の遺体が発見されました。遺体発見報道についてロシアは「ウクライナが情報戦争を仕掛けるために用意した偽情報だ」と主張していましたが、報道大手のニューヨーク・タイムズは人工衛星によって撮影された衛星画像や現地で撮影された映像などを分析して「ロシア軍の撤退前から遺体が路上に放置されていた」という事実を突き止めています。

Dead Lay Out in Bucha for Weeks, Refuting Russian Claim, Satellite Images Show – The New York Times
https://www.nytimes.com/2022/04/04/world/europe/bucha-ukraine-bodies.html


ニューヨーク・タイムズの分析には、衛星画像販売サービスを手がけるMaxarの衛星画像が用いられました。Maxarは記事作成時点で4台の撮影用人工衛星を運用しており、そのうち最も高性能な人工衛星「WorldView-3」は、地上の人間・自動車・その他の物体を見分けるのに十分な「1ピクセル当たり約30cm四方」という高解像度な衛星画像を撮影できます。

Maxarによると、WorldView-3は高度618kmを周回しており、気候条件によっては同じ地点を1日に2回撮影することもできるとのこと。この「同じ地点を高画質かつ高頻度で撮影できる」という特徴によって、「ブチャ侵攻前の2月28日に撮影された衛星画像には遺体が写っておらず、ロシア軍がブチャを制圧していた3月11日~30日に撮影された衛星画像には遺体がはっきりと写っていた」ことが明らかになり、ロシア軍による民間人虐殺が証明されたというわけです。

なお、Maxarはロシア軍によるウクライナ侵攻開始以前からウクライナ周辺の衛星画像を撮影しており、ロシア軍の行軍に関する情報や攻撃被害を記録した衛星画像を報道各社に提供しています。Maxarがこれまでに撮影してきた衛星画像の一部は、以下のページにまとまっています。

News Bureau
https://www.maxar.com/news-bureau


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2022年04月06日 19時00分00秒 in ハードウェア, Posted by log1o_hf

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