Zoom が今後も「重要な存在」であり続ける方法:ブランドパートナーシップの活用が鍵に

DIGIDAY

ここ1年、Zoomは成長モードであり続けた。これは、日本やドイツ、フランスなどの米国以外のオーディエンスにリーチし、新たな顧客に新商品の存在を知ってもらうために、ブランドとのパートナーシップを活用したからだ。

「今後は必ず広い認識につながる要素を、マーケティングファネルの第1に掲げるようにしたい」。そう話すのはZoomでCMOを務めるジャニーン・ペロシ氏だ。「これからは、多くの消費者から幅広く注目されるようになる。消費者が地球のどこにいようと関係ない」。

国際キャンペーンでグローバルな顧客基盤を構築

Zoomは2022年、ユーザー向けのグローバルキャンペーンを開始した。これは、新規・既存にかかわらず、世界各地のユーザーにZoomにはビデオ会議を超えた能力があることを周知するためのもので、インテリジェントな会話型AI&チャットボットソリューションZoom Virtual Agent(Zoomバーチャル・エージェント)やZoom Team Chat(Zoomチーム・チャット)をはじめとする製品をとくに推している。

同年9月にはオラクル・レッドブル・レーシング(Oracle Red Bull Racing)とパートナーシップを組み、オランダのザントフォールトで開催されるF1オランダグランプリ(Formula 1 Heineken Dutch Grand Prix)を盛り上げ、F1ファン層の取り込みを狙った(なお、本パートナーシップに関する金銭的な合意内容は明らかにされていない)。さらに、ファッションブランドのグッドアメリカン(Good American)とは、2023年春のキャンペーンのZoomイベントや、リモートでもハイブリッドでも行なわれるキャスティングでパートナーシップを結んでいる。

とはいえ、Zoomがこれまで国際的なキャンペーンを一切実施してこなかったというわけではない。このところの動きはグローバル化の一環であり、同社は顧客基盤を北米から日本、シンガポール、英国、ドイツ、フランス、オーストラリアに拡大構築している。「環境の変化や顧客の関心事において、Zoomが常に最前線でほかよりも優位に立ち続けられるようにしているだけだ」とペロシ氏は話す。同氏が具体的な数字を明かさなかったため、Zoomがこの取り組みにどのくらい投資していたのかは不明である。

マーケティング・アナリティクス企業のカンター(Kantar)によると、2022年はこれまでのところ、広告に130万ドル(約1億7600万円)以上を支出しているという。この数字は2021年の支出よりもかなり多い。カンター調べでは、2021年の支出額はわずか63万ドル(約8500万円)を超えた程度だったという(カンターではSNSの支出をトラッキングしていないため、この2つの数字にSNS関連は組み込まれていない)。

Zoomとの「パートナーシップ」が意味するもの

新型コロナのパンデミックが収束を迎えるなか、とくに外での活動が再び活発になったことに加え、Zoomの市場独占を阻止しようと同業他社が画策していることを考えると、Zoomは今後も消費者にとって重要な存在であり続ける方法を模索しなければならない立場にあった。ブランドパートナーシップを活用すれば、Zoomの必要性を維持するのも容易になると話すのは、メディア・エンターテインメント企業QYouメディア(QYou Media)でパートナーシップ、アカウント管理、リサーチ、プランニングを担当するシニアバイスプレジデントのアンドリュー・フォックス氏である。

「すでにオーディエンスを獲得していて、ファンを通じて言葉やメッセージを口コミで広げることができるのであれば、それほど簡単なことはない」とフォックス氏は話す。たとえばF1のパートナーシップの場合、Zoomは巨額な資金を出さなくても、F1のオーディエンスに近づくことができる。「景気後退が今後も続くのではないかと囁かれ、ブランド各社が費用対効果の高いマーケティング戦略を求めているなら、なおさらそうだ」と同氏は指摘する。

マーケティングエージェンシーのCMDで、顧客サービスと戦略に携わるマネジングディレクターのスティーブ・ラザフォード氏によると、Zoomのようなテクノロジー企業がメインストリームをめざす場合、生活用品ブランドとのブランドパートナーシップを結ぶ傾向が今後も引き続き見込まれるという。

「注目度の高いスポンサーシップのチャンスを逃したくないと考えているのは、たとえば一般的な消費財メーカーや金融サービス企業だけでない。テクノロジー企業も、老舗であれスタートアップであれ、同じように考えている。というのも、そうしたスポンサーシップなら、信頼性も、マスマーケットへの訴求性も高いためだ」とラザフォード氏はメールでコメントした。

ZoomのCMOペロシ氏は、「2023年も引き続き、顧客にとってトップ・オブ・マインド(最初に想起されるブランド)であり続けるための計画を用意している」と話す。「進化を続け、これからも新しい製品を市場に投入していこうと私たちが必死に取り組むのは、そうした製品が顧客にとてつもない価値をもたらすと考えているからだ」と同氏は続けた。

[原文:Zoom taps brand partnerships to give growth, new products a boost

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:島田涼平)

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