【感動】コロナ禍で爆誕した非接触式の駄菓子屋に行ってきた / 千葉県八千代市『まぼろし堂』

ロケットニュース24

駄菓子屋といえば、お婆ちゃんが1人で切り盛りし、近所の子供たちがワイワイ集まっている風景が一般的。が、それもひと昔の話。今ではコロナ禍で、密になること自体が世間の風当たりを強く受ける世の中だ。中には、言われなき誹謗中傷を受けるお店も。

しかし、そんな逆境を跳ね飛ばすアイデア満載の非接触式駄菓子屋が千葉県八千代市に存在する……その名も『まぼろし堂』。そこは非対面式にもかかわらず、レトロ感とエンタメ要素が融合した “次世代ハイブリッド型” と呼べるような駄菓子屋だった……。

・たどり着くのに一苦労

『まぼろし堂』は千葉県八千代市の中心部から離れた場所にある。私(耕平)は、電車で最寄駅である東葉高速鉄道「八千代緑が丘駅」に向かった。が、地図アプリで調べてみると、バスで移動するにしても本数が少なく、さらにバス停からお店までは1km程度離れている。

結局、駅から徒歩で訪問することに決め、歩くこと約40分。農道に出たが、それっぽい建物は見当たらない。


農道を抜けると、地図アプリが指している目的地付近に到着。しかし、駄菓子屋っぽい建物は発見できず……


さらに歩いていると、地図アプリから「目的地に到着しました」の音声が。ただ目の前にあるのは、資材置き場(?)と思われる入口のみ。


まさか、ここが……!? おそるおそる奥に入ってみると、独特な空間が姿を現す!


・河童のヤッペ君

中を見渡すと、駄菓子屋っぽい建物はあるものの、なぜか人の気配が一切無い。


そこにはレトロな自販機や……


懐かしい感じのゲーム機が数台あるだけ。


駄菓子屋っぽい建物も、肝心の入口が見当たらない。


ただならぬ雰囲気が漂うなか、自販機らしきものに近づくと……


「えっ、誰??」


しかも、メッチャ話しかけてくるやん。


このキャラクターは『河童のヤッペ君』と言う名前らしい。とりあえず駄菓子が買いたいことを伝えると、販売機で購入してほしいとのことだ。


・手動販売機!?

ヤッペ君のナビゲートに従い、『お父さんの家呑みセット(500円)』を購入してみる。


「自動販売機」ならぬ「手動販売機」。これが非接触式の新しい駄菓子屋スタイルか……メッチャ斬新! 他にも、昔見たことあるようなハンバーガーの販売機が。


「こ、これは……『グーテンバーガー』じゃないか!?」


昭和のレトロ自販機として、特に40代以上の世代には懐かしさが込み上げてくる人も多いのではないだろうか? さっそく購入すべくボタンを押し、またまた出てきたヤッペ君の指示の通りに、お金をトレイに入れる。


待つこと1分、なつかしのグーテンバーガーが目の前に!


ちなみにグーテンバーガーはすでに生産中止のため、実際は当時の味を限りなく再現したオリジナルのハンバーガーとのことだ。次に隣の販売機を見ると……「coffee stand」だと!?


駄菓子屋なのに、本格的なコーヒーが飲めるということなのか? どんな感じで出てくるのだろう……そして、ここでもヤッペ君が。


コーヒー代250円をトレイに入れて……


しばらくすると、コーヒーがリフト状の台に乗って降りてくる。


ついでにブタめんも購入。


ちなみに購入した商品は、敷地内のテラス席で食べることができる。


・司令室に潜入

ここで疑問に思うのは「なぜ非対面で営業できるのか?」ということ。マスコットキャラクターである河童のヤッペ君がナビゲートする手動販売機という営業スタイルだが、なぜそんなことが可能なのか?

その秘密は店内にある「司令室」。今回、特別に内部に潜入させてもらったぞ! 


ここでお店の管理をしているのが、 “やっちゃん” こと店主の村山保子(やすこ)さんだ。


この司令室からカメラの前でお客さんの到着を待つ。


そしてお客さんが販売機の前に来たら、村山さん扮するヤッペ君が登場するというわけだ。


なぜ、このアイデアが生まれたかというと、冒頭にお伝えした誹謗中傷からだという。実はこのお店、一時期全国的に話題になった「自粛警察」と呼ばれる人から、中傷の張り紙をされた過去がある。そこで村山さんの息子さんが「どうにか営業できないか?」と考えに考え抜いた結果、今の営業スタイルになったとのことだ。


司令室の奥には、かつての店内も。


この記事の執筆時現在、店内での営業再開は未定らしいが、対面型の駄菓子屋としても興味がそそられる雰囲気だ。


ちなみにこのお店、房総方面にツーリングに行くバイカーの中継スポットとしても知られている。特に村山さんの娘さん “あつ姉” が作る本格的な味わいのコーヒーはバイカーに大人気だ。


──いかがだっただろうか。新型コロナの収束はまだ見えないが、そんな環境下でもアイデアと努力で乗り越えられると、この駄菓子屋で教えてもらった気がする。とにかく感動できた空間だったので、ぜひ機会があれば足を運んでいただきたい!

参考リンク:駄菓子屋まぼろし堂 
執筆:耕平 
Photo:RocketNews24.

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