人気復活「ブルックス」、COOダン・シェリダン氏が語る、ランニング再ブームの波に乗り続けるための戦略

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ランニングに特化した企業であるブルックス(Brooks)は、2021年に初めて収益10憶ドル(約1370億円)というマイルストーンを超え、2022年にも過去最高の収益を叩き出した。

2022年、同社の全世界での収益は前年比6%増となり、すべての地域で成長を達成していた。ブルックスランニング(Brooks Running)の2021年の収益は11億1000万ドル(約1520億円)で、2022年の収益は、推定で11億8000万ドル(約1620億円)とされる。2022年にD2Cの売上は16%増加した。

ブルックスは1914年に創設されたが、今日までの道のりは必ずしも平穏なものではなかった。2001年に破産の危機に陥り、その頃、ランニングだけに専念するようになった。この決断は、特に2020年のパンデミックの禍中で、ソーシャルディスタンスを守れる趣味として、多くの人がランニングをはじめたとき、有益なものだと証明された。2020年末、同社はその年に推定160万人のランナーを獲得したと語った。

今のブルックスは記録的なペースで成長している。同社は1年間に新たに6カ国でeコマースサイトを開始し、ロイヤルティプログラムは最近になって会員数が約25万人に達した。また、需要の増加に対応して米国と英国の配送センターを増やすため投資した。D2Cビジネスを成長させることは引き続き重要な課題だが、小売販売も成長させている。同社の著名な卸売パートナーにはDSWや、ディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)、アールイーアイ(REI)などがある。

米モダンリテールは、ブルックスランニングのプレジデント兼最高執行責任者を務めるダン・シェリダン氏と、同社の成長の軌跡と、新市場への展開について話した。以下の対談内容は簡略化と明瞭化のため編集を加えている。

ランニングシューズやアパレルに対する現在の需要はどのようなものか話してほしい。

当社は、この分野が全世界で360億ドル(約4兆9300億円)のカテゴリーだと推定している。そして、これらは人々がランニング、ウォーキング、または単に動くことで生み出されている需要だ。我々はよく、獲得可能な市場とは、足を前に踏み出すすべての人だとよく語っており、これは真実だ。

当社が競争している市場に基づくと、毎週1回以上ランニングをしている人々は、おそらく全世界で1億5000万人程度存在すると推定しており、この数は今後10年間で2倍の3億人に達するとも推測している。

Covidはランニングの急激な増加のきっかけとなった。しかし、全世界を見回せば、ブルックスのすべての市場が成長しており、当社も引き続き成長していく情勢にある。

ブルックスは新たに参入した市場でどのように規模を拡大する計画なのか?

欧州でのビジネスは急激に成長している。昨年は現地通貨ベースで15%の成長を達成した。今年もビジネスを20%成長させる計画で、アジアにも事業を広げる計画がある。昨年の4月に中国でブランドを立ち上げたばかりだが、我々のブランドが中国のランナーにどのように受け止められるか、大きな期待を寄せている。

ランニングのユニークな点は、非常にローカルなスポーツだということだ。ランニングは自宅の周囲で行われるものだ。そのため、当社はあらゆる市場において、マルチチャネルのブランド戦略をとっている。

つまり、ひとつのチャネルを優先しないということだ。ランナーを第一に考える。商品マーケティングや、販売、運営、サービスなど、あらゆる意思決定の中心にランナーを据えている。

ランナーは、複数のチャネルでブランドを研究し、試してみてから、ブランドを購入することを我々は理解している。そのため、当社がブランドとして市場に参入するときは、世界中の最高のランニング小売業者と提携する。そして、我々には、消費者が当社のブランドを見つけ、試すことができる、D2Cのブランドサイトもある。

新しい配送センターに投資して、新市場でeコマースを開始するなど、年間を通して運用能力を大幅に強化してきた。これらの能力を手に入れた今、次は何を達成したいか?

ブルックスでは、こうした戦略を実行するために多くの時間を費やしている。ランナーや小売業者のために我々ができる最大のことは、我々がやると言ってきたことをその通りに実行することだ。注文を受けたら、それを小売業者に対して迅速に処理するために全力を尽くす。

当社は、米国に2つの施設を保有しているが、これらは、注文された商品の約65%を2日以内に小売業者やランナーの自宅に届けられるように配置されている。当社は欧州でも同じネットワークを作り上げようとしている。

また、ドイツのドルトムントにも施設を保有しており、これは現地でのビジネス用に配置されている。さらに、新しく建設した配送センターを通じて、英国市場での事業も広げている。

ブルックスのD2Cチャネルは昨年、16%増加した。D2Cが総売上高に占める割合がさらに増えるよう計画しているか?

当社が競合している大手のプラットフォーム・ブランドのほとんどが、小売パートナーよりもD2Cを優先している。

当社のビジネスに対する見方については、ランナーが主導権を握っており、選択権を持っているため、ランナーがどのチャネルでも買い物ができて、好きな場所で我々のブランドを選択できるよう、マルチチャネル戦略を重視している。

そのうえで、eコマースのトレンドはますます加速し続けると考えている。そのため、我々は、自社サイトを、ランナーが訪れ、我々のブランドを調べるのに優れた場所にすることが使命だと考えている。

[原文:COO Dan Sheridan on how Brooks Running plans to continue riding the resurgence of running]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

Brooks Running
Image via Brooks Running

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