美容ブランドのE.l.f.は、ホリデーキャンペーンのためにふたつのパートナーを起用した。TikTokでセンセーションを巻き起こしているポップスターのミーガン・トレイナー氏、そしてウェザーチャンネル(The Weather Channel)という意外なパートナーが選ばれた。
天気とパーソナルケアの統計値から生まれたキャンペーン
このキャンペーンはある統計値がインスピレーションになった。ウェザーチャンネルによると、女性の10人中8人が天気に合わせてパーソナルケアや美容ルーティンを変えているということである。
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E.l.f.の統合マーケティングコミュニケーション担当バイスプレジデント、パトリック・オキーフ氏は次のように述べている。「(統計の活用と同時に)、下地とハイライターのハイブリッド製品であるヘイローグロウ(Halo Glow)も取り入れようと考えた。ヘイローグロウの売れ行きが良く、ちょうど再入荷するところだったからだ。そして、グリッター製品とグロウ製品数点をメインにしてホリデーモーメントを生み出したいと考えた」。
E.l.f.は同社のエージェンシーであるシャドウ(Shadow)を利用して全面的なアクティベーションを実現。その結果、トレイナー氏が主演するTikTokや、ウェザーチャンネルのアプリとYouTubeでの広告などのコンテンツを含むこのキャンペーンが生まれた。キャンペーンは12月の1カ月間行われ、その中心は気象学者に扮したトレイナー氏が予報する「グロウストーム」である。
トレイナー氏はTikTokのひとつで次のように語っている。「我々の輝きレーダーによると西からきらめきの強風が予測されている。つまり、皆、グロウストームに備えるべきだ」。
このキャンペーンはTikTokやインスタグラム、FacebookやYouTubeでまだ注目を集めており、現在すべてのプラットフォーム合計で650万回以上の再生回数を誇っている。E.l.f.によるとそのうちの300万回は12月5日のローンチから最初の48時間以内に視聴されたものだという。
TikTokで61.7万人のフォロワーを持つE.l.f.は、このキャンペーンのローンチ以来、トレイナー氏が中心の動画3本を投稿している。約1600万人のフォロワーを抱えるトレイナー氏は1本投稿しており、それは390万回視聴されている。オキーフ氏は「E.l.f.は常にディスラプトする方法を探しており、トレイナー氏はこのキャンペーンにおいて最適なパートナーだった。彼女はE.l.f.を愛している」と述べている。
ブランドのTikTok戦略の新しいフェーズ
このキャンペーンを考案したシャドウのエグゼクティブクリエイティブディレクター、ブライアン・ヴォーン氏にとって、これはブランドがTikTokに登場する方法の変化を表しているという。「TikTokでのブランドアクティベーションの第1章はチャレンジカルチャー(を中心にしたもの)だった。TikTokでの最初の1年はどれもハッシュタグチャレンジに関連していた。その翌年にはブランドは既存のTikTokトレンドにヒントを得てキャンペーンを作成した。(ブランドは)トレンドを再考したり、人気のサウンドを使ってキャンペーンを実施しようと試みていた。現在は第3章だ。TikTokのトレンドに必ずしも推進されたものではない、クリエイティブで制限なく自由奔放に好きなように行える時代だ」。
ヘイローグロウは、TikTokインフルエンサーのミケイラ・ノゲイラ氏からこれはシャーロットティルベリー(Charlotte Tilbury)の人気製品、ハリウッドフローレスフィルター(Hollywood Flawless Filter)に似ていると言われたあと、夏にローンチされてバイラルになった。ヘイローグロウは完売し、入荷待ちは7.5万人に上った。再入荷は12月8日だった。
オキーフ氏は、ヘイローグロウの宣伝よりも重要なのは、このキャンペーンでブランドの認知度をもっと一般的に広めることだと述べている。「E.l.f.はZ世代に対して高い認知度を誇っている。当社は2年連続でZ世代ブランドの第1位であり、主要なメガブランド数社を上回っている。当社を次のレベルに高めるためにほかのオーディエンスも対象にしたい。ミレニアル世代のオーディエンスへリーチを拡大する機会があることを理解している」。
E.l.f.は12月13日と14日に防雪機をつけた玉虫色の車「グロウプラウ」でニューヨーク市を回って、通行人に同社のアドベントカレンダーを配布した。また、キャンペーンに合わせてグリッター製品とグロウ製品の特製キットもローンチしている。
[原文:Elf teams with The Weather Channel and Meghan Trainor for ‘Glow Storm’ holiday campaign]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)