女性向けウェルネスブランドのハニー・ポットがオーガニック ソーシャルメディア戦略 を優先する理由

DIGIDAY

イーマーケター(eMarketer) によれば、マーケターは2023年に予算を増やし、ソーシャルメディアやマーテクなどの投資を優先する見込みだという。

しかし、女性向けウェルネスブランドのハニー・ポット(Honey Pot)は、オーガニックソーシャルメディア戦略への強気な姿勢を崩していない。

オーガニックチャネルでエンゲージメントに注視

同社CMOのローラ・テデスコ氏は、「オーガニックチャネルはブランドの声を生き生きと伝え、コミュニティーに再訪の理由を与えることができる」と説明し、そうすることで「コミュニティーに双方向の対話の場を提供できる」といい添えた。

同氏はさらに、「これはコミュニティー主導の戦略であり、ブランドのマーケティング戦略や顧客維持の取り組み以外の話だ。学習のためのソーシャルリスニングとエンゲージメントに焦点を当てている」と続ける。同氏によれば、これはハニー・ポットの戦略の重要な位置を占めているという。その大きな理由として、多くのプラットフォームが性的に露骨なコンテンツと見なされるものについて厳格なルールを定めていること、AppleのiOS 14がターゲティング、トラッキング、測定を混乱させたことが挙げられる。

「有料ソーシャルは(中略)ますます効率が悪くなり、力を失っている」と、テデスコ氏はいう(同氏はハニー・ポットの広告費について詳細を明かしていない)。

ユーザー生成コンテンツやコンテンツクリエイターを活用

有料ソーシャルの混雑、コスト上昇、追跡の難しさに拍車が掛かっていることを理由に、オーガニックソーシャル戦略を優先しているのはハニー・ポットだけではない。食品ブランドのザタレインズ(Zatarain’s)オンライン文学プラットフォームのワットパッド(Wattpad)ジュエリーのD2C(direct-to-consumer)ブランドであるリング・コンシェルジュ(Ring Concierge)などもオーガニックソーシャルメディア戦略への強気な姿勢を貫いている。

ハニー・ポットのソーシャル戦略の大部分はTikTok(フォロワー数4万6700人)、Twitter(同2万5400人)、そして何より、ソーシャルチャネルで最大となるフォロワー数(41万3000人)を擁するインスタグラム(Instagram)にまたがっている。テデスコ氏によれば、8年の歴史を持つハニー・ポットはソーシャルメディアプラットフォーム全体でリーチを拡大するため、ユーザー生成コンテンツやコンテンツクリエイターを活用しており、それが広告費の削減に役立っているという。そのほかにも、セクシーなツイート、インスタグラムのユーザー生成動画といった戦略を採用している。

ハニー・ポットのソーシャルメディアおよびコミュニティー担当ディレクターであるデシリー・ナタリ氏は、「(重要なのは)コンテンツを共有するコミュニティーの力を本当の意味で活用できる瞬間だ。残念ながら、プラットフォームは私たちにある程度の投資をさせてくれる場所ではない」

オーガニックソーシャルは新規顧客獲得と既存顧客維持に役立つ

とはいえ、ハニー・ポットのソーシャルメディア戦略すべてがオーガニックというわけではない。ハニー・ポットは2021年から有料パフォーマンスマーケティングを強化している。また、テデスコ氏によれば、コミュニケーション、CTV、検索、リテールメディアネットワークへの投資も行っているという(同氏から詳細を聞くことができなかったため、ハニー・ポットがどのように広告費を投じているかは不明だ)。

カンター(Kantar)によれば、ハニー・ポットは2022年に入ってから33万4000ドル(約4560万円)近くの広告費を投じている。2021年の実績は約35万7000ドル(約4880万円)だった。パスマティクス(Pathmatics)によれば、ハニー・ポットは1~6月に7万1000ドル(約970万円)近くを有料メディアに投じている。2021年は1年間でわずか4万ドル(約550万円)だった(カンターの数値にソーシャル支出は含まれておらず、パスマティクスの数値にテレビ広告費は含まれていない)。

デジタル広告エージェンシー、グッドウェイ・グループ(Goodway Group)の子会社であるタフ・デジタル(Tuff Digital)でCEOを務めるエレン・ヤンツ氏は、ソーシャルメディアはこの数年で有料化が進み、オーガニックマーケティングが難しくなっていると話す。

ただし、ハニー・ポットが有料メディアへの投資を行いながら、コミュニティー主導のアプローチを取っていることは理にかなっている。ヤンツ氏はDIGIDAYのメール取材に対し、「オーガニックソーシャルは顧客を支持者に変える素晴らしい方法でもある」と述べている。「つまり、オーガニックソーシャルは新規顧客の獲得や教育に役立つと同時に、既存顧客との関係構築にも役立つ」

ハニー・ポットにとっては、テストと学習がすべてであり、オーガニック戦略がそれを可能にしたとテデスコ氏は話す。それでも、2023年はマーケティング予算を倍増する予定だ(同氏は詳細には言及しなかった)。「テストして学び、うまくいっていることから学び、そうでないものから離れる。これが常に私たちのやり方だ」と、テデスコ氏は語った。

[原文:Why a feminine wellness brand is prioritizing its organic social media strategy

Kimeko McCoy(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:島田涼平)

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