農家は少ないのになぜ農業ゲームは人気なのか?

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数ある職業のうち農業に従事する人はアメリカで1.4%日本で3%と、製造業や卸売・小売業、医療・福祉などに比べて少数ですが、「Farming Simulator」などの農業シミュレーションゲームを遊ぶ人は多く、一部のゲーマーを魅了し続けています。このような農業シミュレーションがなぜ人気なのかという点について、人類学者のロビン・カットライト氏が考察しています。

The Anthropology of Farming Simulator – SAPIENS
https://www.sapiens.org/archaeology/farming-simulator-anthropology/

人類は歴史の大部分において狩りをし、植物を集め、魚を捕り、自然の生息地から他の資源を収集して生活していましたが、よりおいしく、より管理しやすい食事を確保するべく、農耕・牧畜といった手段を学び始めていきます。

一所に定住して農業に専念し、農機具や化学肥料が生まれ、知識が体系化されていった結果、世界中に住む何億人、何十億人もの人々の生活をまかなえるほどに農業は優れたものへと進化しました。

農業の知識は農業を体験できるシミュレーションゲームにも取り入れられており、その中でも知名度の高いゲームが「Farming Simulator」です。Farming Simulatorは非常にリアルに作られており、400種類以上の道具を使用してさまざまな農作物を育てることができます。

by Marco Verch

カットライト氏は「農家は少ないのに、なぜ農業シミュレーションゲームをプレイする人は多いのでしょうか」と指摘。この理由として、ビデオゲームが擁する「コミュニティの構築力」があげられるそうです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行で人々は物理的に接近する機会を減らしましたが、一方でゲームを始めとするオンラインでのつながりが増えていきました。人類学者によると、Farming Simulatorのような没入型オンラインゲームは退屈で不快な日常からプレイヤーを解放してくれる一方で、共感的な「つながり」をプレイヤーにもたらすので、現実以上に「本物だ」と感じられるアイデンティティを獲得できるとのこと。

このほかにも、生まれ故郷を思い出して郷愁に浸ったり、実際の農家が経済的に手の届かないような設備を試したりするという目的でもプレイされています。いずれにせよ、単なる食糧生産システムに魅力を感じているのではなく、農業という行為そのもの、農業を通じた人との関わりが重視される傾向にあるそうです。


カットライト氏は「オンラインゲームは隔離によって孤立した多くのプレイヤーにとって、社会的生命線となりました。また、農業シミュレーションゲームは、人々が自然界との関わりを持とうとするための手段の一つかもしれません。かつて多くの人々の日常生活に不可欠なものであったものを、理想化されたものではあるものの、再び取り戻そうとする誠実な試みであるともいえます」と述べました。

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