再現度高すぎるコアファイターや2頭の馬が引くローマ軍の戦車など「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」で見事な走りを見せた個性的な手作りカートをじっくり見てきました

GIGAZINE
2022年10月23日 21時00分
取材



1950年代にアメリカの子供たちが石けん箱に車輪をつけて坂道を走らせて遊んでいたのが起源とされる、手作りカートを使って坂道を爆走するレース「ボックスカートレース」の日本大会「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」が、2022年10月22日(土)に大阪の万博記念公園で開催されました。レースに参加できるカートは「全長3.5m×全幅2m×全高2.5m・最大重量80kgで、ブレーキとハンドルを完備していること」が条件で、参加者は最低限の規定をクリアしたデザインやコンセプトを自由に決めてカートを手作りします。そんな個性豊かなカートの一部を実際に会場でじっくり見てきました。

Red Bull Box Cart Race Osaka 2022
https://www.redbull.com/jp-ja/events/red-bull-soapbox-japan-2022

「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」レース本編の様子は以下の記事にまとめられています。

食い倒れ人形・駅の自動改札・おでんの屋台など手作りカートが万博記念公園の坂道を爆走した「Red Bull Box Cart Race Osaka 2022」レポート – GIGAZINE

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

レース開始前、スタート地点の裏に参加予定のカートがずらりと並んでいました。


最初に気になったのは、会社の仲間や家族で東京から参加したチーム「タップマンズ」のカート。JR東日本の自動改札を模したデザインで、「公園を歩いていたら突然自動改札がある!」と周囲の人の視線を集めまくっていました。


「満員電車に乗った時に自動改札が走り出したら面白いのではないかと思い、満員電車に乗れずに改札がトランスフォームして走るというイメージで作りました」とのこと。通勤で毎回使っている自動改札の実物をちゃんと測り、ほぼ原寸大で忠実に作っているとのこと。


Suicaの残額表示もちゃんと表示されているなど、細かい部分まで演出が行き届いています。


さらにスタート前の時点では無停電電源装置(UPS)を積んでおり……


スイッチを入れるとちゃんと中に仕込まれている電装が光るという手の込みよう。製作期間は毎週末使って2カ月ぐらいだそうです。


チーム「タップマンズ」の自動改札は、レースではトップランナーとして出場。最初の傾斜で加速した自動改札機がすごい勢いで走っていく姿はあまりにもシュールで、会場は大受け。


ほぼ原寸大の自動改札機ということで比較的大きなカートですが、見事ゴールまで走り抜けました。


続いて目を引いたのが、巨大なRX-78 ガンダム。シンボリックなトリコロールカラーは遠く離れた場所からもよく目立っていました。


カートはガンダムではなく、この巨大なコアファイター。


シルエットだけではなく、表面にはスジ彫りが施され、本格的な塗装がされています。このコアファイターを作るため、あらかじめ3Dモデルを製作してプロに塗装してもらったそうで、すさまじいクオリティに納得。


関西でコスプレ造形を中心にマルチに活動する「BUILD BANG」のカートで、今年で3回目の出場とのこと。


過去の大会では宇宙刑事ギャバンで爆走したこともあるそうです。


会場で特に目を引いた巨大なガンダムは、なんと内部に人が入れる構造になっており、オープニングのパフォーマンスでも活躍していました。


「操縦者はアムロ・レイのコスプレをするんですよ」とのことで、コスプレする前に1枚。脇に抱えているのは出場時に被るヘルメットですが、これもかなりの出来栄えでびっくり。


実際のレースでは、地球連邦軍モビルスーツパイロットを着たアムロのコスプレをした操縦者がコアファイターにまたがり、コースを爆走。なぜか中腰を保ちながら絶妙なバランスで走り続ける姿に観客も笑いながら応援していました。ただし、走り出した直後に両翼が外れてしまいました。

©Kunihisa Kobayashi / Red Bull Content Pool

実際にコアファイターがコースを駆け抜ける様子がTwitterにムービーで投稿されていました。


ゴールに無事到達。


ゴール後のコアファイターがこんな感じ。コース中の衝撃で垂直尾翼やコクピット部分がややよれてしまっていました。


ハンモックをそのまま設置した豪快なデザインのカート。チーム「大阪芸大83OBオッサンズ」の「SANITATEM 1983 GG-R TURBO」です。2台の自転車を溶接し、芝生や丁寧に塗装されたブロック、「てんごく」と書かれた木の札が飾られています。


ハンモックに寝ている羊の着ぐるみは、操縦者のコスチュームです。


チーム「大阪芸大83OBオッサンズ」のメンバー。その名の通り、大阪芸術大学のOBで構成されたチームです。


メンバーが着ている衣装の背中にはチームのロゴが描かれていました。


レースでは、ハンモックに寝ながら操縦するというトリッキーなドライビングスタイルを見せました。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

しかし、重心がやや上の方にあるからか、途中でひっくり返ってしまうアクシデントも。


すぐに復帰して再走開始。

©Jason Halayko / Red Bull Content Pool

無事完走した瞬間


チーム「ネバーサレンダー」のアキレス号。古代ローマ帝国軍の戦車のようなデザインで、2頭の馬が引っ張っているシルエットが目を引きます。


特に凝っているのが、馬の足元。


操縦者の手元にある手綱に糸がつながっており、この糸を動かすと足も動く仕組みになっています。


最終調整中のチーム「ネバーサレンダー」のメンバー。製作期間は土日に作業をすすめてだいたい2カ月ほど。製作費用は12万ほどかかったそうですが、意気込みを聞くと「華々しく散りたい」とのこと。


実際のレースでは、古代ローマ帝国兵の衣装に身を包み、レースを爆走。しかし、スタート直後の段差を超えたところから明らかに馬を支える骨が崩壊していくので、会場の観客も笑いながら見守っていました。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

なんとかゴールにたどり着いたものの、2頭の馬はひっくり返って何かの塊のような形に。ずっと馬の鼻を地面にこすりつけ続けながら走る姿が印象的でした。


しかし、まさしく意気込み通りに派手に壊れながら最後まで走り抜き、「今日はもう1位といっていいでしょう」と胸を張ってコメントするローマ兵。


学校の課外実習の一環で作ったという都島工業高校の生徒のチームが「ミヤコニック」です。カートは「ぱぱさん~CAR CHASE~」という名前。


その名の通り、「脱獄囚がスーパーでお金や果物を盗んできた」という設定で、スーパーのカート風の車にはスイカやパイナップル、コインがあしらわれていました。


そして後ろには大きなレッドブルの缶と、「レッドブル、翼をさずける」というキャッチコピーにならって羽がついています。製作期間は週2回の授業と課外活動で約3週間ほどかかったそうです。


警察を挑発する脱獄囚よろしく、最高の煽りフェイスを決める操縦者。


レースでは、カートを押すチームメンバーが警察官の格好をして、カートを後ろから追いかけるという構図が再現されました。


比較的低めの車高で安定した走りを見せて、完走。ゴールゲートを越えてチェッカーフラッグが振られました。


周りから暖かい拍手を受けながら退場するチーム「ミヤコニック」


タカラトミー公式のチーム「チョロQ」の「チョロQ Go!」号は、チョロQをそのままカートにしたデザイン。店頭のディスプレイを製作する企業による紙製の外装となっています。操縦者はタイアップキャンペーンを担当する漫才コンビ・錦鯉の長谷川雅紀さんです、


外装は紙製ですが、フレームは金属でしっかりした作り。


ヘッドライト部分にはちゃんと電装が仕込まれています。


レースでは見事な走りを見せて完走。紙製の外装は非常に丈夫で、過酷なレースでもまったくよれていません。


なお、後ろに積んでいる10円玉は、実際のチョロQの後ろに10円玉を乗せるとウィリー走行が可能というネタを取り込んでいるとのこと。実際のレースでは幸か不幸か、ウィリー走行で暴走することはありませんでした。


チーム「たこ焼きちゃんと焼けるかな」の「デリシャスたこ焼き号」は巨大なたこ焼き屋台が特徴。


チーム「たこ焼きちゃんと焼けるかな」のメンバー。たこ焼き型のヘルメットを被る操縦者と、その上司という同乗者、そしてパフォーマンスを彩ったたこガールの2人。


カートの上に掲げられた巨大なのれん


たこ焼き機にはたこ焼きが並んでおり……


中央のたこ焼きは下から噴き上げられてクルクルと回る仕組み。


巨大なたこ焼きののれんは風圧に負けず、ゴールまでたこ焼きを一つも落とすことなく、見事に走り抜けました。


同じ屋台でも、チーム「飲酒と製作ズ」の「ちょいと一杯のつもりで飲んでいつのまにやらボックスカートレース」号は、おでんの屋台。提灯やのれんだけではなく、酒瓶や品書きなど、小物にもこだわった出来。


しかし、やはりスタート直後の加速による風圧には弱く、最初の坂を駆け下りた時点で屋根とのれんが吹き飛んでしまいます。

©Jason Halayko / Red Bull Content Pool

走っていくうちにどんどん外装が外れていき、後ろにはバラバラになったパーツが転がっています。

©Suguru Saito / Red Bull Content Pool

ゴールした時にはほとんど骨組みだけの状態に。


「ちょいと一杯のつもりで飲んでいつのまにやらボックスカートレース」号が特に他のカートと違って個性的だったのが、2人で向かい合うようにして乗り込み、おちょこと徳利(とっくり)のついたハンドルを二人で引き合うようにして操縦する「おしゃくステアリングシステム」でした。操縦している姿が酒を酌するように見えるというわけ。安全面でいえばかなり挑戦的なシステムですが、見事完走。観客を大いに沸かせました。


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