Google 、顧客とブランドのためのショッピングツールを発表

DIGIDAY

世界最大の検索エンジンであるGoogleのeコマースの変化は、顧客発見の最前線とその中心に自社を位置付けたい企業に大きな影響を与える。

9月28日に開催された同社の年に1度のイベント「Search On(サーチオン)」にて、3D製品、バイイングガイド、ショッパブルルックなど、9つの新たなショッピングツールが発表された。この新しいツールによって、新興ブランドが大手企業と並んでサジェスチョンされることが容易になる。このショッピングツールの目的は、願わくばAmazonのようなプラットフォームからブランドやマーケターを奪うことにある。

目玉となるのは、製品の新しいビジュアルフィードで顧客が検索ボックスに「shop」という単語とアイテムを入力すると、商品を見ることができる。これによってユーザーは、その製品に関連するビジュアルフィード、リサーチツール、近隣の在庫を確認することができるようになる。また同プラットフォームは、昨年導入されたファッション商品と並んで、ビューティにもビジュアルフィードを導入している。

このほかにイベントで発表された注目の機能としては、ファッションのパーソナライズドショッピングがあり、検索中に買い物客の好みを学習するGoogleのオプトインのラーニング機能や、トレンドの商品に特化した新しいフィルターなどがあった。また顧客は、スニーカーなどのファッションアイテムを検索すると直接3Dで見ることができるようになる。これは米国で2023年初頭に利用可能になる予定だ。

GoogleのARに対する新たな注目

すべての新機能は、昨年5月にローンチされたショッピング検索とサジェスチョンのためのAI強化モデルであるショッピンググラフ(Shopping Graph)のデータから生まれたものだ。このモデルは350億以上の商品リストを理解し、更新されている。

Googleのショッピングにおける製品担当シニアディレクターのリリアン・リンコン氏は次のように語る。「昨年、アパレル向けのショッパブル検索を開始したが、本日、その体験を美容を含むほかのすべてのショッピングカテゴリーへと拡大する。この体験は、買い物客が口紅やファンデーションなどの製品を試着できるARビューティを含む、当社がローンチした他のビューティ機能の上に構築されている」。

GoogleのARへの新たな焦点はSnapchat(スナップチャット)に対抗するものだ。Snapchatは、アメリカンイーグル(American Eagle)など美容とファッションの数多くのパートナーとともに拡張現実をテストしている。現時点では、GoogleはARの競合製品をローンチしていないが、将来的に同様のAR統合を指し示す可能性のある3D製品オプションを実際に発表している。

新たな機能で期待されること

eコマースコンサルタント会社ヴァーヴォント(Vervaunt)の共同設立者ジョシュ・ダッガン氏は、Googleの変更は、ブランドにとって広告費に関するより明確なソリューションを生んだと考えている。「特にGoogleで何かを買うと、この検索エンジンを通じた購入がさらに簡単になるなど、Googleはより革新的で新しい数々のアップデートを米国で最初に押し出して試験を行い、消費者のための検索体験を絶え間なくテストして進化させてきた」。

またダッガン氏は次のように付け加えた。「Googleが消費者の関心に応えているよい例が、3D画像だ。ブランドはこれを反映したコンテンツを提供することを徹底する必要がある。基本的な最適化は抜本的なものとなるだろう。多くのリリースでは、ブランドの製品フィードとサイトのメタデータ内のデータを使用することになる。新しい機能を活用する準備が整っていることを保証するために、ブランドは適切な製品カテゴリーデータとバンドル設定を確実に用意する必要がある」。

eコマースプラットフォームのCart.comのマーケティングバイスプレジデントであるモニア・アクシンテ氏は、これらの変更で、ブランドにとってデータ開示が容易になることを期待している。「フィードマーケティングレポート(Feed Marketing Report)によれば、商品データの複雑性が高いせいで、ファッション業界の2022年の小売業者はデータをトップレベルの状態に保つためにすでにかなりのプレッシャーに向き合っている」と彼女は言う。

競争が激化する中、Googleは今後もふさわしい役割を果たす

Google独自の調査で、TikTokとインスタグラムがミレニアル世代とZ世代にとって重要な発見プラットフォームであることが判明しているように、トレンド商品による発見を助けることも新たなショッピング機能の焦点となった。

「さまざまなユーザーセグメントとそのニーズ、そして進化するショッピングの嗜好を理解することが、私たちにとって非常に重要だ。YouTubeのショート動画でスタイリングセッションをシェアしたり、Reddit(レディット)などのフォーラムでパイプの詰まりを修理する方法を紹介するなど、今では一般の人たちが作成したコンテンツが急増している」とリンコン氏は述べている。

アクシンテ氏は、TikTokが非キュレーション空間であるために誤った情報が広まる可能性があるとし、「賢明なユーザーは、ファクトチェックや検証のためにGoogleにも頼るだろう」と指摘した。「Amazon、TikTok、その他のプラットフォームとの競争が激化しているにもかかわらず、Googleは今後もふさわしい役割を果たしていくと考えている」。

もっともパーソナライズされたショッピング体験をユーザーに提供

eコマースフロントエンド開発会社パック(Pack)の共同創業者コリー・カミングス氏は、「Google製品群全体におよぶユーザー行動から同社が得られるユーザーデータの幅を考えると、検索大手であるGoogleはユーザーの行動を反映したアイテムを迅速に提示できるし、おそらくウェブ上でもっともパーソナライズされたショッピング体験をユーザーに提供できる」と述べている。「TikTok、インスタグラム、その他のソーシャルプラットフォームは、そのショッピング体験をZ世代やすべてのオーディエンスともっとも関連した状態に戦略的に維持していけるよう手をつくして、いつでも対応できるようにしておくべきだ」。

2020年以降、Googleのショッピング(Shopping)を利用するマーチャントの数は80%増加し、掲載される製品は70%増加している。同じ年にGoogleは商品掲載を無料化し、小規模なブランドにも有名な商品と並んで発見される機会を与えている。ショッピングのセッションは毎日10億回以上発生している。

「我々の観点からすると、当社がもっとも得意としているのは、どのような形であれ世界中のショッピング情報を整理することだ。人々はその結果を見つけるためにGoogleを訪れる」とリンコン氏は言う。「これからのチャンスは、こうしたすべてのコンテンツを理解し、人々にとって意味のある方法でそれらを整理するという我々の能力にある」。

[原文:Google announces relevant shopping tools for customers and brands]

ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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